香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

第73回NHK杯決勝 藤井聡太NHK杯 対 佐々木勇気八段

こんにちは

叡王戦の挑戦者が決まりましたね。竜王戦棋王戦に引き続き三度伊藤匠七段が藤井聡太叡王に挑戦することとなりました。挑戦者決定戦では難敵永瀬九段を破り堂々の挑戦となります。勝ちまくってますね。藤井竜王名人以外には負けてない印象です。ここまでのタイトル戦で1持将棋が最高の戦績で未だに勝ち星にたどり着いていません。どういった作戦・戦略で臨むのか注目です。藤井叡王としては、並行して行われる豊島九段との名人戦もあり大変だと思うのですが、ここまではそんな憂いを吹き飛ばすほどのタイトル戦での成績を収めています。伊藤七段・豊島九段に付け入るスキがあるのか4月から始まるタイトル戦は目が離せません。

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<第9期叡王戦五番勝負 日程・会場>

第1局 4月7日 (日) 愛知県名古屋市「か茂免」

第2局 4月20日(土)石川県加賀市アパホテル&リゾート 佳水郷」    

第3局 5月2日(木)愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」                  

第4局 5月31日(金)千葉県柏市柏の葉カンファレンスセンター」        

第5局 6月20日 (木) 山梨県甲府市常磐ホテル」

 

<第82期名人戦七番勝負 日程・会場>

第1局 4月10・11日(水・木)東京都文京区「ホテル椿山荘東京」                 

第2局 4月23・24日(水・木)千葉県成田市成田山 新勝寺」      

第3局 5月08・09日(水・木)東京都大田区羽田空港第1ターミナル」                  

第4局 5月18・19日(土・日)大分県別府市「割烹旅館もみや」        

第5局 5月26・27日(日・月)北海道紋別市「ホテルオホーツクパレス」

第6局 6月11・12日(火・水)愛知県名古屋市「亀岳林 万松寺」

第7局 6月25・26日(火・水)山形県天童市「天童ホテル」

 

さて今回は、佐々木勇気八段が藤井聡太NHK杯を見事破り初優勝を飾ったNHK杯決勝の対局を振り返りたいと思います。

棋譜再生 - NHK将棋 - NHK

藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

初手から

▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩    

▲7六歩    △3二金 ▲7七角    △3四歩    

▲6八銀    △7七角成  ▲同 銀    △2二銀

▲4八銀    △3三銀    ▲7八金    △6二銀    

▲4六歩    △7四歩 ▲4七銀    △1四歩    

▲1六歩    △6四歩    ▲6八玉    △7三桂

▲3六歩    △6三銀    ▲9六歩    △9四歩    

▲3七桂    △4二玉 ▲4八金    △6二金    

▲5六銀    △8一飛    ▲6六歩    △5四銀

▲2九飛    △5二玉    ▲7九玉    △4二玉    

▲8八玉 - 図1   

振り駒で佐々木八段の先手となりました。面白い展開です。双方変化することなく現代角換わりの定跡形へと進みました。▲7九玉~▲8八玉とするところでは、▲6九玉と途中下車したり、▲7九玉の形で仕掛ける手順もあるところかと思います。この後の佐々木八段用意の作戦に注目といったところです。

 

図1から

△6三銀 ▲6七銀    △5四銀    ▲5六歩    

△4四歩    ▲5九飛    △3一玉 ▲5五歩    

△4三銀    ▲4五歩 - 図2   △同 歩    

▲同 桂    △4四銀左 ▲4六歩    △6五歩    

▲同 歩    △同 桂    ▲6六銀左  △6四歩 - 図3

後手△6三銀の待機策をみて佐々木八段も▲6七銀と銀矢倉に組み替えました。この後▲5九飛と中央に飛車を振り替え▲5五歩~▲4五歩(図2)と開戦していきました。銀が攻めに参加していないので軽い攻めに感じます。ジャブといったところでしょうか。その後後手も△6五歩~△6五桂と桂馬を捌き、先後同型に近い形となりました(図3)。玉と飛車の位置が違うだけですね。

 

図3から

▲6三歩    △7二金    ▲3五歩    △同 歩    

▲2九飛    △7五歩 ▲1五歩    △同 歩    

▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △2三歩

▲2九飛    △7六歩    ▲7三歩    △同 金    

▲6二歩成 - 図4 

中盤戦です。先手が一発▲6三歩とたたきの歩を入れた後、3筋1筋と歩の突き捨てをいれてから2筋で飛車先の歩交換を行いました。この間後手はじっと7筋の歩を進めます。7筋の歩が切れたのを見て▲7三歩と金頭を叩き、金を上ずらせて▲6二歩成とと金を作る戦果を得ました。と金は大きそうですが、歩損をしており形勢的にはまだ均衡がとれているようでした。

図4から

△8六歩 ▲同 歩    △4五銀    ▲同 歩    

△7四桂 - 図5   ▲4四歩    △同 銀

▲6五銀    △同 歩    ▲3四銀    △8六桂    

▲4三桂    △2二玉 ▲3一角 - 図6   

と金を作られましたが藤井NHK杯も飛車先を突き捨ててから△4五銀で桂馬を食いちぎり、奪った桂馬を△7四桂(図5)と打ち込みます。銀取りとともに△8六桂を狙っています。厳しそうにもみえますが、佐々木八段は想定範囲なのか指し手は止まらず、▲4四歩から攻め合いを挑みます。研究範囲なのでしょう玉頭に迫った△8六桂にもひるまず▲4三桂~▲3一角(図6)と迫ります。激しい展開のまま終盤戦へ突入していきます。

 

図6から

△1二玉    ▲1五香    △1三歩    ▲8七金    

△2四銀 ▲7一と    △8二飛    ▲7二と - 図7   

△同 金    ▲2二歩    △9八桂成 - 図8

▲3一角に対して後手△同飛とすることもできず、△1ニ玉と耐えます。▲1五香 △1三歩を決めてから、▲8七金~△2四銀と双方玉頭を厚くします。ここら辺がプロの呼吸なのでしょうか。この局面で指された▲7一と~▲7二(図7)とは見えにくい手に思えます。後手玉と反対方向にと金を動かす手ですが、△同飛は8筋から後手の飛車が外れ▲8六金と桂馬を取られますし、本譜の△同金も2段目の飛車の利きが遮られ後手玉の守りが弱体化しています。100手近くになっていますが研究手だとしたら驚愕です。佐々木八段リードしたかにみえましたが、▲2二歩は若干緩手だった可能性があり、ここから藤井NHK杯の猛攻が始まりした。まずは△9八桂成(図8)から始まります。

 

図8から

▲同 香    △9九角    ▲7八玉    △6六歩    

▲5六銀    △3一金 ▲同桂成    △6七角    

▲同 銀    △同歩成    ▲同 玉    △8七飛成 - 図10

あっという間に形勢は逆転してしまいました。この瞬間は後手玉が絶対詰まない格好となっており、後手の攻めはかなりの無理が許されます。瞬く間に先手の守り駒が剥がされ△8七飛成(図9)と王手をかけられた局面は先手絶体絶命のピンチです。しかも藤井NHK杯が攻めています。

 

図9から

▲5八玉    △6七銀    ▲4七玉    △5六銀不成

▲3八玉    △5五角成 ▲2四飛 - 図10   

△3七金    ▲2九玉    △2八金    ▲同 飛    

△同 馬 ▲同 玉    △2六飛    ▲3九玉    

△2七龍    ▲3八銀 - 図11   

このまま藤井NHK杯が寄せ切ると思われたところで事件が起きました。△5五馬と詰めろをかけた手が良くなかったようで、この瞬間▲2四飛が詰めろ逃れの詰めろとなりました。一瞬の出来事でした。再度逆転です。△5五馬では△6六馬として△4八馬からの詰めろをかけるのが明快だったようです。▲2四飛は、先手玉が2九に逃げれるスペースを作った手で、本譜も後手からの詰みを逃れています。佐々木八段の鋭い切れ味が出ました。藤井NHK杯も2筋に龍飛を連結させ攻防に利かせますが、▲3八銀としっかり受けて先手玉は寄りません。

 

図11から

△2八龍 ▲4九玉    △4七歩    ▲5八金    

△4八歩成  ▲同 金    △4七歩 ▲5八金    

△4八歩成  ▲同 金    △4七歩    ▲5八金    

△4八歩成 ▲同 金    △4七歩    ▲5八金    

△3六歩    ▲4六角 - 図12    △3八龍

▲同 玉    △3七銀    ▲同 角    △同歩成    

▲同 玉    △3五銀 ▲1三香成  △同 玉    

▲1五飛 - 図13    △1四歩    ▲3五飛    

△1七角 ▲2四銀    △同 玉    ▲2五金    

△同 飛    ▲同 飛    △3四玉 ▲5二角

まで169手で先手の勝ち

藤井NHK杯は持ち時間が無くなり大ピンチですが、大量の持ち歩を打ち捨て時間を稼ぎ何とか妙手をひねり出そうとしました。しかし、佐々木八段の指し手は正確で、▲4六角(図12)の詰めろ龍取りが厳しく刺さりました。以降藤井NHK杯最後の猛攻も佐々木八段が冷静に凌ぎ、後手玉を即詰みに打ち取りました。昨年決勝の雪辱を果たす見事な初優勝となりました。

一局を通して、佐々木八段用意に用意を重ねた作戦が功を奏してリードを奪いましたが、一瞬の緩手を突いて藤井NHK杯があっという間に勝勢までもっていってしまいました。そのまま寄せ切るかと思われた瞬間、今度は藤井NHK杯に緩手が出てしまい、これを見事に佐々木八段が咎め見事に寄せ切りました。終盤の攻防、ドラマがあり大変面白い将棋でした。両者の切れ味凄まじかったです。佐々木勇気八段おめでとうございました。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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今週の注目の対局予定(2024/03/17~03/23)

こんにちは

この週末は羽生九段、藤井竜王名人の対局が多く観れて充実していますね。土曜日放送されたABEMA地域対抗戦では、チーム北海道東北を相手に羽生九段が怒涛の4連勝を飾りチーム関東Aを決勝トーナメントに導きました。この光景は前にもみていますが、予選9勝1敗は圧巻の成績です。一人で勝ってしまった一手も過言ではありません。藤井竜王名人とともに羽生九段のABEMAルールでの強さが際立ちますね。今後の戦い益々見逃せません。

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さて今回は、今週(2024/03/17~03/23)の注目対局を確認したいと思います。

 

03月17日(日)

NHK杯テレビ将棋トーナメント決勝

対局予定・結果 - NHK将棋 - NHK

藤井NHK杯覇者 対 佐々木勇気八段

遂に決勝戦です。昨年に引き続き藤井NHK杯と佐々木八段の対戦となりました。既報の通り、佐々木八段が見事初優勝を飾りました。非常に面白い内容の対局でした。佐々木八段が中盤リードするものの、藤井NHK杯が盛り返し勝勢までもっていったのですが、の最終盤での一瞬の緩手を見逃さず佐々木八段が大逆転勝利をものにしました。本局藤井竜王名人の年間最高勝率の記録更新が掛かっていた一局で、最多連勝30勝目を阻止した時と同様に、今回も佐々木八段が記録更新を阻止することとなりました。佐々木八段持ってますね。華のある天才棋士です。価値の高い初優勝おめでとうございます。

藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

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棋王コナミグループ杯第4局

棋王戦中継サイト/TOPページ- (shogi.or.jp)

藤井聡太棋王 対 伊藤匠七段

藤井聡太棋王の2勝1持将棋で迎えた第4局は、栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で行われています。執筆中の現在も対局は続いていますが、伊藤七段苦しめでしょうか。後手番の藤井棋王が「豊島流村田システム」を採用したことでも話題となっていますね。このまま防衛となるのか、挑戦者が一矢報いるのか注目です。

藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

03月19日(火)

ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント

ヒューリック杯第95期棋聖戦決勝トーナメント (shogi.or.jp)

森内俊之九段 対 山崎隆之八段

藤井棋聖への挑戦権をかけた決勝トーナメントが進行しています。永世名人の称号を持っているレジェンド森内九段と関西を代表するトップ棋士の山崎八段が対戦されます。両者の対戦成績は、森内九段の8勝9敗でいい勝負ですね。戦型は、山崎八段だけに力戦系の将棋となりそうです。山崎八段の自由奔放な指し回しを森内九段が重厚に対応していくことになるのではとみています。

森内俊之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

山崎隆之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

03月21日(木)

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑決リーグ

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑戦者決定リーグ (shogi.or.jp)

佐藤天彦九段 対 石井健太郎七段

リーグ戦黒星スタートとなってしまった両者の対局です。ここから白星を挙げていきたいところですが、佐藤九段は奇跡的なA級残留を決め、石井七段はB級1組昇級を果たす等調子自体は悪くないのではとみています。対戦成績は佐藤九段の3勝1敗で若干リードといったところです。後手番の佐藤九段が序盤の細かい駆け引きを経て四間飛車もしくは向かい飛車にするのではとみています。

佐藤天彦|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

石井健太郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

03月22日(金)

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑決リーグ

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑戦者決定リーグ (shogi.or.jp)

斎藤慎太郎八段 対 佐々木大地七段

ここまで2連勝スタートの佐々木七段と1勝1敗スタートの斎藤八段が対戦されます。ちょっと気が早いですが、本局佐々木七段が勝つと昨年に引き続き連続挑戦も現実味を帯びてきますね。両者東西に分かれており対戦数が少ないですが、対戦成績は斎藤八段の2勝となっています。先手番の佐々木七段が大得意の相掛かりで挑むのではとみています。

斎藤慎太郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

佐々木大地|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント

ヒューリック杯第95期棋聖戦決勝トーナメント (shogi.or.jp)

永瀬拓矢九段 対 石川優太五段

佐々木勇気八段 対 西田拓也五段

森門下の振り飛車党が関東を代表するA級棋士に挑む構図となっていますね。両対局とも公式戦は初対局となります。西田五段は三段リーグ時代に佐々木八段と対戦があるようではあります。玄人肌の振り飛車がどこまでA級棋士に通用するのか注目ですね。

永瀬拓矢|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

石川優太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

西田拓也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

今週はこの他にも竜王戦王将戦棋王戦の予選も数多く行われる予定となっているようです。注目です。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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自戦記40 相村田システム

こんにちは

棋王戦五番勝負の第4局が行われますね。第1局が伊藤匠七段の”持将棋定跡”で話題となりましたが、その後の第2局、第3局と藤井聡太棋王の正確な指し回しに伊藤七段も為す術がないといったところでしょうか。これまで角換わり腰掛銀シリーズとなっていますが、先手番の伊藤七段の用意の作戦が注目されるところです。このまま、一気に防衛なるのか挑戦者が一歩踏みとどまるのか目が離せません。

kifulog.shogi.or.jp

2024年3月17日 五番勝負 第4局 藤井聡太棋王 対 伊藤匠七段|第49期棋王戦 (shogi.or.jp)

棋王戦コナミグループ杯中継plus : 揮毫 (shogi.or.jp)

藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が先手番で珍しい相村田システムの戦いとなりました。

 

初手から

▲2六歩    △8四歩    ▲7八金    △8五歩    

▲4八銀    △3二金 ▲6八銀    △6二銀    

▲5六歩    △5四歩    ▲5七銀右  △4二銀

▲6九玉    △5三銀右  ▲2五歩 - 図1   

先手番となった私はいつも通り村田システムを目指した駒組を進めていましたが、気づけば双方角道を開けずに中央へ銀を繰り出す村田システムとなりました。珍しいのではないかなと思います。私自身初めてでどんな展開になるのかドキドキするところです。

 

図1から

△6四銀    ▲2四歩    △同 歩
▲同 飛    △5三銀上  ▲6六銀    △2三歩    

▲2五飛    △4一玉 ▲5八金    △5二金    

▲7六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛

▲7七銀上  △8二飛    ▲8七歩    

後手△6四銀と繰り出した局面で飛車先の歩交換にいきました。本譜▲2四歩の局面で△5三銀と上がって5四の歩を守ってこられましたが、△2三歩と受けられたとしても横歩は取れなさそうです。以降▲2五飛と高飛車に構えて後手の攻めに備えましたが、後手も飛車先の歩交換を行い△8二飛と深く飛車を引きつけました。双方が一歩を手持ちにして徐々に本格的な戦いが起こりそうな局面となりました。

 

図3から

△7四歩    ▲7九角    △4四銀 ▲3六歩    

△3四歩    ▲3七桂    △3一角    ▲4六角 - 図4   

△3三桂 ▲2九飛    △5五歩    ▲同 歩    

△7五歩    ▲同 歩    △同 銀 ▲同 銀    

△同 角    ▲6六銀    △6四角    ▲6五銀打 - 図5

そろそろ中盤戦です。後手の△7四歩と飛車のコビンが空いたのをみて▲7九角~▲4六角と転換しました。この角は角頭を3七桂で守られているので当分後手の飛車を睨む好位置に居座れそうです。後手も7筋から反撃されてきましたが、△7五同角に強く▲6六銀と上がり続く△6四角にも▲6五銀打として中央の勢力を掴みに行きました。双方の玉頭だけに、5筋の勢力争いが急所と見ました。

 

図5から

△4二角 ▲5四歩 - 図6   △5五歩    

▲同 銀    △同 銀    ▲同 角    △6四銀

▲同 銀    △同 角    ▲同 角    △同 歩    

▲5三銀    △5一金 ▲6四銀不成 - 図7

△4二角と逃げた一手に、▲5四歩の突き出しが飛車取りにしつつ拠点を作る味の良い一手でした。以下角銀交換となりこちらの手番で拠点を活かして▲5三銀と打ち込んでいきました。この辺りはこちらがかなり優勢になっていたようです。後手△5一金と踏ん張った手に▲6四銀不成としましたが、あまり良くなかったようです。後手からの△5五角打(桂香両取り)を防ぎつつ、▲5三歩成を狙った一手でした。AI先生的にはこれを良しとせず、▲8三銀(△同飛には▲7四角の王手飛車)や▲5ニ銀打(△同飛には▲9六角の王手飛車、△同金には▲同銀成 △同飛 ▲6三角の王手飛車)等攻め続ける手を推奨されていました。

 

図7から

△8六歩    ▲同 歩    △同 飛    ▲8七歩    

△3六飛 ▲3八歩 - 図8   △5六飛    

▲7四角    △3一玉    ▲5六角    △5七歩

▲6八金右  △5八銀    ▲7九玉    △5九銀打  

▲5七金 まで83手で先手の勝ち

終盤戦です。形勢はまだ若干先手が指しやすい感じだったようです。後手は飛車先に歩を合わせて反撃してきました。△3六飛と回ってきた手に対して手堅く▲3八歩と受けましたが、この一手もAI先生は良しとされていませんでした。ここでも攻める手を推奨されており、▲5三歩成として▲6三角の王手飛車を狙う手や、▲2一銀や▲2四歩と挟撃体制を築く手が候補手に上がっていました。本譜は後手の方がうっかりされて王手飛車が決まってしまい、以降も後手の攻めを丁寧に受けて勝つことができました。

一局を通して、珍しい相村田システムとなりましたが▲4六角で飛車を牽制しつつ銀を手厚く打っていき優勢な局面に導くことができました。以降AI先生の推奨する通り、攻め続けていたら完勝していたかもしれませんが、見つけれなかったのは反省ですね。まだまだ経験値が足りていない感じで、今後に活かせればと思っています。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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第82期名人戦・順位戦 振り返り

こんにちは

ちょっと間が空いて久しぶりのレポートになります。年度末となり全順位戦の対局が終了したので、今回は各組の振り返りをしていきたいと思います。順位戦組合せ当初と中間の振り返りのレポートの下記リンクもご参考まで。

gedankyosha.hatenablog.com

gedankyosha.hatenablog.com

 

C級2組

第82期名人戦・順位戦 C級2組 (shogi.or.jp)

組合せ発表当初の昇級予想は、◎佐々木大地七段、〇本田奎六段、〇八代弥七段、▲藤本渚四段でしたが、最終結果は、冨田誠也五段、高田明浩五段、藤本渚五段の三名がC級1組昇級および五段昇段となりました。八代七段は今年も惜しかったです。ダブルタイトル挑戦を果たした佐々木七段とともに、お二人がいまだにC級2組に在籍されているのは将棋界の七不思議のひとつでしょう。謎です。今期各棋戦で勝ちに勝ちまくった藤本五段は、今後タイトル挑戦を果たすのもそう遠くないのではないかと思います。一方今期降級点を取った青野照一九段は、年齢制限で引退となられました。竜王戦1組通算6期、順位戦A級通算11期で通算800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成されている大棋士です。序盤の研究に長けていて四間飛車に対する鷺宮定跡や横歩取り青野流などは升田幸三賞を受賞されていますね。お疲れさまでした。

冨田誠也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

高田明浩|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

藤本渚|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

C級1組

第82期名人戦・順位戦 C級1組 (shogi.or.jp)

組合せ発表当初の昇級予想は、◎伊藤匠六段、〇服部慎一郎六段、〇斎藤明日斗五段、▲三枚堂達也七段でしたが、最終結果は、服部慎一郎六段、古賀悠聖六段、伊藤匠七段の三名がB級2組昇級となりました。2名的中でした。全勝された服部六段は素晴らしい成績ですね。古賀六段も安定した戦いぶりがみられ途中昇級ライバルの伊藤七段を破るなど好成績を収めました。伊藤七段は今年も勝ちまくっており(藤井竜王名人を除く)順当な昇級ですね。候補に挙げていた斎藤明日斗五段は後半失速気味で残念でした。好成績を収めたものの惜しくも昇級を逃した都成七段、出口六段あたりが来期リーグ戦をリードしていくのではとみています。

服部慎一郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

古賀悠聖|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

B級2組

第82期名人戦・順位戦 B級2組 (shogi.or.jp)

組合せ発表当初の昇級予想は、◎高見泰地七段、〇青嶋未来六段、〇渡辺和史六段、▲久保利明九段でしたが、最終結果は、大石直嗣七段、高見泰地七段、石井健太郎七段の三名がB級1組昇級となりました。いずれも30代前半の実力者ですね。高見七段は叡王1期の実績もありようやくたどり着いたといった印象です。候補に挙げていた青嶋六段は惜しかったです。オールラウンダーな才気あふれる指し回しが印象です。来期順位を上げてチャンス大だと思います。また、谷川永世名人は年齢を感じさせない安定した戦いぶりで好成績を収められているのも目立っていますね。

大石直嗣|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

高見泰地|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

石井健太郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

B級1組

第82期名人戦・順位戦 B級1組 (shogi.or.jp)

組合せ発表当初の昇級予想は、◎羽生善治九段、〇近藤誠也七段、▲澤田真吾七段でしたが、最終結果は、千田翔太八段、増田康宏八段のニ名がA級昇級および八段昇段となりました。この組は予想が大きく外れました。残念です。着実に実力をつけご結婚にも後押しされた千田八段は堂々の1位昇級です。初参加で1期抜けの増田八段も立派でした。こちらは噂の恋人の存在が大きかったかもですね。会長職の激務をこなしながら来期降順で迎える羽生九段に大注目です。
千田翔太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

増田康宏|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

A級

第82期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)

組合せ発表当初の昇級予想は、◎豊島将之九段、〇永瀬拓矢王座、▲佐々木勇気八段でしたが、最終結果は、豊島将之九段が見事名人挑戦権を獲得されました。本命的中です。前半から安定して勝ち星をあげられ、苦手と思われる冬場連敗してしまいましたが最終局ライバルの菅井八段を破り堂々の名人挑戦です。一方残念ながら広瀬九段と斎藤八段が降級となってしまいました。このお二人が降級してしまうA級のレベルの高さに驚愕です。その他、A級初参戦の佐々木八段、中村八段が苦しみながらも残留を果たしたり、前半1勝4敗の窮地に立たされながらも起死回生の振り飛車へのモデルチェンジを果たした佐藤九段など多くのドラマが生み出されました。

豊島将之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

大注目の名人戦の日程は下記の通り既に発表されています。絶対王者藤井聡太名人は普段通りの居飛車の王道で迎え撃つことが予想できますが、挑戦者の豊島九段は振り飛車を指すなど戦型等かなり工夫を凝らすことが多くなった印象があり、本シリーズに向けてどういった作戦を用意してくるのか大注目ですね。

名人戦・順位戦 |棋戦|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

全組を通して、12名の昇級者(名人挑戦含む)に対して5名的中することができました。的中率0.417はまずまずかなと思っています。また来期も昇級予想していこうと思っています。楽しみです。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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今週の注目の対局予定(2024/03/03~03/09)

こんにちは

棋王戦の第3局が始まってますね。三度角換わり腰掛銀ですが、これまでとはちょっと変わった形になっています。中盤の難所を迎え形勢は五分、伊藤七段が後手番でブレイクする展開となるか注目です。

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さて今回は、今週(2024/03/03~03/09)の注目対局を確認したいと思います。

 

03月03日(日)

NHK杯テレビ将棋トーナメント準決勝第1局

対局予定・結果 - NHK将棋 - NHK

佐々木勇気八段 対 増田康宏七段

NHK杯もいよいよ準決勝となりました。昨年度準優勝されている佐々木八段と誰もが実力を認める関東の若手増田七段の一戦となりました。対局は既に放送されており、先手番の佐々木八段が意欲的に早繰り銀を採用して難解な中終盤を読み切り勝ち切りました。強い将棋でした。改めて振り返りたいと思います。来週は藤井NHK杯と羽生九段の一戦が予定されており、こちらも大注目の一戦です。

佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

増田康宏|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

棋王コナミグループ杯第3局

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藤井聡太棋王 対 伊藤匠七段

第2局に藤井棋王が勝利を収めて迎えた第3局は、新潟県新潟市「新潟グランドホテル」にて行われています。毎年利用されている会場で、新潟日報の社旗が掲げられるのがお馴染みですね。角換わり腰掛銀で先手藤井棋王が5八金型を採用する珍しい指向を見せています。どんな展開になるのか見逃せません。

藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

03月04日(月)

叡王戦本戦準決勝

第9期 叡王戦 | 株式会社不二家 (fujiya-peko.co.jp)

永瀬拓矢九段 対 糸谷哲郎八段

叡王戦もいよいよ準決勝となりました。東西を代表するトップ棋士が激突します。両者の対戦成績は永瀬九段の11勝2敗と偏っており、糸谷八段としては苦手意識もありそうなところです。戦型は角換わり系の将棋となりそうですが、力戦を好む糸谷八段が自分の土俵に引きずりこめるか注目ですね。

永瀬拓矢|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

糸谷哲郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

03月06日(水)

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑決リーグ

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑戦者決定リーグ (shogi.or.jp)

豊島将之九段 対 斎藤慎太郎八段

順位戦A級で晴れて名人挑戦を決めた豊島九段と奇しくも降級となってしまった斎藤八段が対戦されます。これまで挑決リーグでは、豊島九段1敗、斎藤八段1勝となっています。両者の対戦成績は豊島九段の7勝5敗で、矢倉もしくは角換わり腰掛銀の将棋が多く意外と相掛かりは指されていないようです。最先端の研究将棋にはならないような気がします。根拠はありません。

豊島将之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

斎藤慎太郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

03月06日(水)

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑決リーグ

伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦挑戦者決定リーグ (shogi.or.jp)

佐々木大地七段 対 藤本渚四段

両者ともに1回戦で勝利を得て、勢いに乗って本局に臨みます。佐々木七段は昨年の挑戦者で実績は十分、一方の藤本四段は今期ここまで最高勝率収め勝ちまくっており、1回戦でも名人経験者の佐藤天彦九段を退けています。恐らく初手合いとなりますが、先手番の藤本四段が相掛かりもしくは雁木調の力戦将棋の誘導するのではとみています。

佐々木大地|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

藤本渚|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

今週はこの他にもB級1組、B級2組、C級1組の順位戦最終局が予定されており、昇級降級が決定する大一番も予定されています。見逃せませんね。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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自戦記39 後手村田システム3

こんにちは

順位戦A級最終局を終えて興奮冷めやらぬところですが、YouTubeで終局直後のインタビューがアップされてました。大きな戦いを終えたばかりの中で、勝ち負け、挑戦降級いろいろな背景を踏まえて、慎重に言葉を選んで話される姿に人間味を感じた次第です。名人挑戦権を得た豊島九段は、ここから藤井名人への戦いが始まります。準備調整が上手くいき、素晴らしい名人戦棋譜が生まれることを願っています。

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さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で村田システムで挑みました。ご紹介するのも3局目になります。以前とはまた違った戦いになりました。以下後手番目線の局面図を示します。

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初手から

▲7六歩    △6二銀 - 図1    ▲2六歩    

△3二金    ▲2五歩    △4二銀 ▲2四歩    

△同 歩    ▲同 飛    △2三歩    ▲2八飛    

△5四歩 ▲4八銀    △5三銀右 - 図2 

先手からの初手▲7六歩に対する△6二銀がちょっと工夫した一手でした。村田システムであれば角道は開けずに飛車先を突く△8四歩が普通ですが、先手が振り飛車でこられた場合は右四間飛車で進めたいので先手の作戦が分かるまでは飛車先も突きたくないというのが趣旨です。最近思いついた工夫で試行錯誤中です。本局は、先手が居飛車でこられたので村田システムでいく作戦としました。

 

図2から

▲4六歩    △8四歩    ▲4七銀    △8五歩

▲7七角    △4一玉    ▲6六歩    △6四歩    

▲6八銀    △7四歩 ▲6七銀    △5二金    

▲7八金 - 図3   

こちらが村田システムを採用した場合、足早に棒銀で弱そうな角頭を攻めてくる方が多いように思いますが、本局の先手の方は▲4七銀~▲6七銀とツノ銀に構えて中央を手厚く指してこられました。

 

図3から

△9四歩    ▲3六銀    △3四歩 ▲2五銀    

△3三銀 - 図4   ▲2四歩    △同 歩    

▲同 銀    △同 銀 ▲同 飛    △2三歩    

▲2八飛    △5五歩 - 図5    

様子見の一手△9四歩に対して、先手は▲3六銀~▲2五銀と”鎖鎌銀”で攻めてこられました。これは要注意で△3四歩~△3三銀(図4)と備えておけば潰されることはありません。2筋で銀交換となり手番を活かして△5五歩(図5)と中央の位を取りました。

 

図5から

▲3八金    △5四銀 ▲4七金    △6三金    

▲3六歩    △7三桂    ▲3七桂    △1四歩

▲9六歩    △6五歩 - 図6   

2筋の銀交換で先手が銀と歩を手持ちにしてポイントを取りましたが、こちらも5筋の位を取りいい勝負にみえます。駒組が飽和状態になりつつあり、相手の▲9六歩をみて△6五歩と開戦していきました。あまり待つ手もないかなと思っていました。棋譜を今振り返ってみると▲9六歩に代えて▲2五銀打(図A)とされていたら対応に苦慮したかもしれません。AI先生は図Aの局面を互角と評価していますが、2筋突破を防ぐ△3三銀打には▲4五桂があります。悩ましく今後の課題かもです。

 

図6から

▲同 歩    △同 桂    ▲8八角    △6六歩 - 図7

▲同 銀    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛    

▲8七歩    △8五飛 ▲6八玉    △3五歩    

▲同 歩    △3六歩    ▲2五桂    △3七歩成

▲同 金    △5六歩 - 図8   

△6五歩の開戦から△6五桂と捌いていきました。▲8八角と逃げた手に対して△6六歩(図7)としましたが、あまり良くなかったようです。▲6六歩と打たれるのを防いだ手でしたが、飛車先の歩交換をして△8五飛とした局面で▲6五銀と桂馬を取られる手がありました。△同銀、△同飛とする手に▲7七桂されてしびれてしまいます。本譜は何とかスルーして△3五歩からの手順で先手の金を3筋に追いやり△5六歩(図8)と角道を開けつつ玉頭に迫りました。

 

図8から

▲同 歩    △5七銀    ▲同 銀    △同桂成

▲同 玉    △8八角成  ▲同 金    △3九角 - 図9   

▲4八飛    △5九銀 ▲3八金    △4八銀不成

▲同 金    △2七飛 - 図10   

先手の玉頭に迫り終盤戦です。△5六歩の局面で数手後の王手飛車(図9)がみえて攻めが繋がりそうかなとみていました。こちらの玉は薄いのですが、先手の攻め駒が無い状況なのでこちらの攻めが切れなければ勝てそうです。銀で先手の飛車を奪って王手桂取りに△2七飛(図10)と迫りました。もう一息です。

 

図10から

▲4七角    △3五飛 ▲3三歩    △同 桂    

▲同桂不成  △同 金    ▲3八歩    △6五桂 - 図11

▲5八玉    △5七歩    ▲4九玉    △4八角成  

▲同 玉    △4七飛成 ▲同 玉    △5八角    

▲4八玉    △4九金

まで100手で後手の勝ち

こちらの王手に対して▲4七角と合駒をしつつ桂取りを防がれました。ちょっと見えてなくて慌てました。ここで△3八角成~△3七金として角を奪う順のあったようでしたが、△3五飛としてあまり使えていなかったもう一枚の飛車も攻めに参加させました。△6五桂(図11)からは上から押していき何とか寄せ切ることができました。

一局を通して、5筋の位を活かして開戦したところまでは良かったですが、△6六歩(図7)と打った手と△8五飛と引いた手は危なかったでした。幸運にも危機をスルーすることができ玉頭から上手く攻めを繋げることができました。また村田システムの経験値を積むことができました。今後の対局に生かしたいところです。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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第73回NHK杯準々決勝第4局 佐藤天彦九段 対 佐々木勇気八段

こんにちは

藤井名人への挑戦者が豊島九段に決まりましたね。棋界最高峰の順位戦A級にて最終局菅井八段を破り7勝2敗の好成績を収められ堂々の1位となりました。苦しめの将棋でしたが粘り強く指し継がれていた印象です。一方の降級は、広瀬九段、斎藤八段となりました。このお二人が降級してしまうA級の凄まじさが垣間見えます。まだ年齢的にも即カムバックは十分あり得るのではとみています。

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第82期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)

 

さて今回は、先日放送されたNHK杯準々決勝第4局佐藤天彦九段と佐々木勇気八段の対局を振り返りたいと思います。

棋譜再生 - NHK将棋 - NHK

佐藤天彦|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

初手から

▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    

▲4八銀    △9四歩 ▲9六歩    △3二銀    

▲5八金右  △4三銀    ▲6八玉    △3三角

▲4六歩    △4二飛    ▲7八玉    △6二玉    

▲4七銀    △7二銀 ▲5六銀    △7一玉    

▲8六歩    △5二金左  ▲8七玉    △8四歩

▲7八銀 - 図1   

両者は順位戦A級に在籍されており、今期いずれも4勝5敗の成績で残留を決められています。佐藤九段は1勝4敗と窮地に追い込まれた時期もありましたが、振り飛車党への大変革を経て残留にこぎつけました。普通ではないと思います。本対局も佐藤九段が四間飛車に構えたのに対して、佐々木八段は腰掛銀に構えつつ玉を左美濃天守閣美濃)に囲う作戦でこられました。

 

図1から

△7四歩    ▲4八飛    △7三桂    ▲1六歩    

△8二玉 ▲1七桂    △5四歩    ▲6六角    

△8三銀    ▲2五桂 - 図2   △2二角

▲4五歩    △7二金    ▲4四歩    △同 角    

▲同 角    △同 銀 ▲6六角    △5三金 - 図3    

佐々木八段は今期初の順位戦A級入りを果たしました。スイスのジュネーブ生まれで才能豊かな差し回しが特徴的でしょうか。盟友の永瀬九段とは全く異なる棋風がよく比較されたりするように思います。当時藤井四段のデビュー以降の連勝記録をストップさせたことでも一時有名になりましたね。本局佐々木八段が攻撃的な右四間飛車に飛車を振り、▲6六角~▲2五桂(図2)で上手く開戦した感じです。4筋で角交換がなされてから、攻撃の手を緩めず再度▲6六角と打っていきましたが、佐藤九段も△5三金(図3)と力強く受け一歩も譲りません。

 

図3から

▲8五歩    △同 歩    ▲8四歩 - 図4   

△9二銀 ▲7五歩    △同 歩    ▲同 角    

△6四歩    ▲7四歩    △5五歩 ▲7三歩成  

△同 金    ▲5五銀    △4三角 - 図5   

中盤戦です。佐々木八段の攻め、佐藤九段の受けと予想されて展開となりました。先手の▲8四歩(図4)は大きな拠点です。この歩を打つために▲6六角打ちと再度打っていったのですね。以降佐々木八段が桂得を果たしましたが、佐藤九段も△4三角(図5)と鋭いカウンターを用意していました。先手玉に王手をかけつつ次に△5四銀を可能にする(△4三角が無いと▲4二飛成とされ飛車を巣抜かれる)一石二鳥の一手です。華々しい技の掛け合いとなりました。

 

図5から

▲8八玉    △5五銀 ▲6五桂    △6二銀 - 図6    

▲5三桂成  △同 銀    ▲4三飛成  △同 飛

▲5二角 △7六桂    ▲9七玉    △4二飛    

▲8五角成   - 図7   

図5の局面は佐藤九段の方が若干形勢的には良かったようです。しかしながら佐々木八段鋭い攻めが続き▲6五桂に対する△6二銀(図6)のところで形勢が逆転したようです。▲5三桂成で金を剥がしてからの▲4三飛成~▲5ニ角が鋭かったです。佐藤九段も△7六桂の王手で反撃しますが、▲9七玉となって寄せにくい形になりました。▲8五角成(図7)と玉頭に馬を作りかなり先手が手厚くなりました。

 

図7から

△7四歩 ▲4三歩    △7二飛    ▲8三金 - 図8   

△同 銀    ▲同歩成    △同 金 ▲8四歩    

△7三金    ▲8三銀    △7一玉    ▲7二銀不成

△同 玉 ▲2二飛    △6二銀    ▲4二歩成 - 図9 

終盤戦です。ちょっと形勢に差がついてしまいました。佐藤九段△7四歩と玉頭の嫌味な角を責めますが、ここから佐々木八段の寄せが始まります。8四歩の拠点を活かして▲8三金(図8)と打ち込み、後手の飛車を奪ってからの▲2二飛~▲4二歩成(図9)でと金ができて攻めが切れることが無くなりました。

図9から

△8八銀    ▲8六玉    △9九銀不成 ▲5二と    

△8八飛    ▲8七銀    △7一銀    ▲5三と    

△6二香 ▲7六馬    △7五歩    ▲6二と    

△同 銀    ▲5四桂    △4四角 ▲6二桂成  

△同 角    ▲5四馬 - 図10    △6三桂    

▲8五香    △8二歩 ▲5三銀    △7一金    

▲6二銀不成△同 金    ▲2一飛成  △6一銀

▲5一角    △8九飛成  ▲7四桂 - 図11    

△同 金    ▲6二角成  △同 玉 ▲5三金

まで121手で先手の勝ち

苦戦の佐藤九段も△8八銀~△9九銀成らず~△8八飛と攻めますが足りない感じです。佐々木八段の攻めは鋭く、馬を転換させての▲5四馬(図10)はいかにも厳しいです。最後佐藤九段が△7一金~△6一銀と固めましたが、▲5一角~▲7四桂(図12)で受けが無くなり佐々木八段がそのまま寄せ切切りました。

一局を通して、両者の持ち味が十二分で出た一局でしたが、早指しの短期決戦の将棋では攻める側が勝ちやすいようにみえます。それは百も承知で受ける振り飛車を指される佐藤天彦九段も好きですね。これからも応援したいです。勝った佐々木八段は準決勝で増田康宏七段と対戦することとなり、こちらも大注目ですね。

↑↑↑水匠5での解析結果↑↑↑

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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