香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記42 後手村田システム4

こんにちは

叡王戦第2局が始まっていますね。本局先手番で負けられない伊藤七段の角換わり指向の序盤駒組に対して、藤井叡王が”サザン早繰り銀”といった変化球を用意されていました。最近藤井叡王が後手番で工夫を凝らすことが見受けられるようにみえます。後手番での作戦に苦労されている印象を受けます。序盤研究を極めていると謳われている伊藤七段の実力を見込んでいるとも言えますね。藤井叡王2連勝となるか、伊藤七段が初勝利を飾るか注目です。

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さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で村田システムで挑みました。ご紹介するのも4局目となりました。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △3二金    

▲7八金    △6二銀 ▲9六歩    △9四歩    

▲3八銀    △4二銀    ▲5八玉    △5四歩 - 図1

居飛車の将棋では、先後問わず村田システムを指して経験値を上げるよう試みています。対応を間違わなければ急戦で潰されることが無く、力戦調の持久戦になりやすいように思います。ただ守勢の展開になりやすく、先手で採用するのはもったいないかなとも思い始めています。本局お相手の方は、飛車先の歩交換を保留して1筋の端歩と▲5八玉と早めに上がる工夫をされてきました。

 

図1から

▲7六歩    △5三銀右  ▲2四歩    △同 歩    

▲同 飛    △2三歩 ▲2八飛    △7四歩    

▲2七銀    △4四銀    ▲2六銀    △3四歩

▲2五銀    △3三銀上 - 図2 

 

お相手の方は、飛車先の歩交換から飛車を深く引き(▲2八飛)、続けて▲2七銀から棒銀でこられました。こちらの弱い角頭を目指した要注意の作戦ですが、本譜の通り△4四銀~△3三銀(図2)としてぴったり間に合います。一手遅れると棒銀が炸裂するので注意が必要です。

 

図2から

▲4六歩    △3一角    ▲4八金    △8五歩

▲3六歩    △8六歩    ▲同 歩    △同 角    

▲8七歩    △6四角 ▲4七金    △5五歩

▲3七桂    △5二飛 - 図3   

銀交換をされてくるかと思いきや、これを保留して駒組を進めてこられました。こちらは、△3一角と引き角にしてから歩交換を果たし一歩を手に入れました。ここから△6四角~△5五歩と先手玉頭の位を取り、さらに△5ニ飛と転換して玉頭に力をためていきました。早めに中住まいに形を決めた手を咎める意図でしたが、こちらも玉飛接近で良い形ではないので要注意とみていました。

 

図3から

▲6八銀    △4一玉 ▲1六歩    △7三桂    

▲1五歩    △6二金 - 図4   ▲1八香    

△5一飛 ▲4五歩    △5三銀    ▲2四歩    

△同 歩    ▲同 銀    △同 銀 ▲同 飛    

△2三歩    ▲2六飛    △5四銀 - 図5   

そろそろ本格的な戦いが始まりそうな局面です。こちらは△7三桂~△6ニ金(図4)と隙なく駒組を進め力を貯めましたが、先手は2五で威張っている銀を活かして1筋の端歩を突いてこられました。この歩を受けると先手からの端攻めが早くなりそうなので、受けませんでした。ここら辺までの駒組は、先手が棒銀と端歩にかなりの手を掛けており、こちらは中央へ殺到するできる体制を整えておりまずまずの局面かなと思っていました。ここからようやく先手の方が2筋で銀交換を挑んでこられ、△2三歩と受けたのに対して▲2六飛と浮き飛車に構えてこられました。これに対してこちらも△5四銀(図5)と形を整え本格的な戦いに備えました。

図5から

▲1四歩    △同 歩 ▲1三歩    △同 香    

▲2五桂    △5六歩 - 図6   ▲同 歩    

△4六銀 ▲3五歩    △4七銀成  ▲同 玉    

△4五銀 - 図7   

▲1四歩から本格的な戦いが始まりました。端の突き捨てから▲1七歩と垂らして、こちらの手薄なところを突いてこられました。ただ手順に△1三同香とした手が、先手の角筋から香車を逃がす手でもあり、後の△5六歩(図6)が指しやすくなった意味もあります。▲同歩に対して△4六銀~△4七銀成として先手の守りの金を剥がして△4五銀(図7)と攻め駒を前進させた局面は、手の流れと駒の働きが良く指しやすさを感じていました。AI先生も-後手勝勢と評価されていました。

 

図7から

▲3四歩    △3六金 ▲同 飛    △同 銀    

▲5八玉    △2八飛    ▲4八歩    △2五銀

▲2二歩    △3七角成  ▲3九金    △1八飛成  

▲2一歩成  △5六飛 ▲5七銀打  △7六飛 - 図8   

局面は終盤戦です。△3六金の王手飛車取りで飛車を手に入れ、△2八飛と打ち下ろし寄せを目指しました。先手も角筋を活かして△2ニ歩と反撃されてこられましたが、玉を4一でとどめている形が生きて厳しい一撃とはなりませんでした。桂馬は取られましたが、この間に△5六飛~△7六飛と自陣の飛車を捌きつつ、右辺への玉の逃走ルートを確保しました。

 

図8から

▲3三歩成  △7八飛成  ▲3二と    

△5二玉 - 図9 ▲4七金    △同 馬    

▲同 玉    △3六金    ▲5六玉    △5四香

まで後手の勝ち

▲3三歩成を手抜いて△7八飛成と入り先手玉はほぼ受け無しの形です。▲3ニとと迫ってこられましたが△5ニ玉(図9)と逃げこちらの玉は捕まらず勝負ありです。最後は先手玉を寄せ切り勝つことができました。

一局を通して、先手の棒銀にしっかり対応した後、相手の手に乗りながら中住まいの玉頭に攻め込むことができました。こちらがかなり手得できたのも大きかったかなと思います。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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