こんにちは
藤井名人への挑戦者が豊島九段に決まりましたね。棋界最高峰の順位戦A級にて最終局菅井八段を破り7勝2敗の好成績を収められ堂々の1位となりました。苦しめの将棋でしたが粘り強く指し継がれていた印象です。一方の降級は、広瀬九段、斎藤八段となりました。このお二人が降級してしまうA級の凄まじさが垣間見えます。まだ年齢的にも即カムバックは十分あり得るのではとみています。
第82期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)
さて今回は、先日放送されたNHK杯準々決勝第4局佐藤天彦九段と佐々木勇気八段の対局を振り返りたいと思います。
佐藤天彦|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩
▲4八銀 △9四歩 ▲9六歩 △3二銀
▲5八金右 △4三銀 ▲6八玉 △3三角
▲4六歩 △4二飛 ▲7八玉 △6二玉
▲4七銀 △7二銀 ▲5六銀 △7一玉
▲8六歩 △5二金左 ▲8七玉 △8四歩
▲7八銀 - 図1
両者は順位戦A級に在籍されており、今期いずれも4勝5敗の成績で残留を決められています。佐藤九段は1勝4敗と窮地に追い込まれた時期もありましたが、振り飛車党への大変革を経て残留にこぎつけました。普通ではないと思います。本対局も佐藤九段が四間飛車に構えたのに対して、佐々木八段は腰掛銀に構えつつ玉を左美濃(天守閣美濃)に囲う作戦でこられました。
図1から
△7四歩 ▲4八飛 △7三桂 ▲1六歩
△8二玉 ▲1七桂 △5四歩 ▲6六角
△8三銀 ▲2五桂 - 図2 △2二角
▲4五歩 △7二金 ▲4四歩 △同 角
▲同 角 △同 銀 ▲6六角 △5三金 - 図3
佐々木八段は今期初の順位戦A級入りを果たしました。スイスのジュネーブ生まれで才能豊かな差し回しが特徴的でしょうか。盟友の永瀬九段とは全く異なる棋風がよく比較されたりするように思います。当時藤井四段のデビュー以降の連勝記録をストップさせたことでも一時有名になりましたね。本局佐々木八段が攻撃的な右四間飛車に飛車を振り、▲6六角~▲2五桂(図2)で上手く開戦した感じです。4筋で角交換がなされてから、攻撃の手を緩めず再度▲6六角と打っていきましたが、佐藤九段も△5三金(図3)と力強く受け一歩も譲りません。
図3から
▲8五歩 △同 歩 ▲8四歩 - 図4
△9二銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲同 角
△6四歩 ▲7四歩 △5五歩 ▲7三歩成
△同 金 ▲5五銀 △4三角 - 図5
中盤戦です。佐々木八段の攻め、佐藤九段の受けと予想されて展開となりました。先手の▲8四歩(図4)は大きな拠点です。この歩を打つために▲6六角打ちと再度打っていったのですね。以降佐々木八段が桂得を果たしましたが、佐藤九段も△4三角(図5)と鋭いカウンターを用意していました。先手玉に王手をかけつつ次に△5四銀を可能にする(△4三角が無いと▲4二飛成とされ飛車を巣抜かれる)一石二鳥の一手です。華々しい技の掛け合いとなりました。
図5から
▲8八玉 △5五銀 ▲6五桂 △6二銀 - 図6
▲5三桂成 △同 銀 ▲4三飛成 △同 飛
▲5二角 △7六桂 ▲9七玉 △4二飛
▲8五角成 - 図7
図5の局面は佐藤九段の方が若干形勢的には良かったようです。しかしながら佐々木八段鋭い攻めが続き▲6五桂に対する△6二銀(図6)のところで形勢が逆転したようです。▲5三桂成で金を剥がしてからの▲4三飛成~▲5ニ角が鋭かったです。佐藤九段も△7六桂の王手で反撃しますが、▲9七玉となって寄せにくい形になりました。▲8五角成(図7)と玉頭に馬を作りかなり先手が手厚くなりました。
図7から
△7四歩 ▲4三歩 △7二飛 ▲8三金 - 図8
△同 銀 ▲同歩成 △同 金 ▲8四歩
△7三金 ▲8三銀 △7一玉 ▲7二銀不成
△同 玉 ▲2二飛 △6二銀 ▲4二歩成 - 図9
終盤戦です。ちょっと形勢に差がついてしまいました。佐藤九段△7四歩と玉頭の嫌味な角を責めますが、ここから佐々木八段の寄せが始まります。8四歩の拠点を活かして▲8三金(図8)と打ち込み、後手の飛車を奪ってからの▲2二飛~▲4二歩成(図9)でと金ができて攻めが切れることが無くなりました。
図9から
△8八銀 ▲8六玉 △9九銀不成 ▲5二と
△8八飛 ▲8七銀 △7一銀 ▲5三と
△6二香 ▲7六馬 △7五歩 ▲6二と
△同 銀 ▲5四桂 △4四角 ▲6二桂成
△同 角 ▲5四馬 - 図10 △6三桂
▲8五香 △8二歩 ▲5三銀 △7一金
▲6二銀不成△同 金 ▲2一飛成 △6一銀
▲5一角 △8九飛成 ▲7四桂 - 図11
△同 金 ▲6二角成 △同 玉 ▲5三金
まで121手で先手の勝ち
苦戦の佐藤九段も△8八銀~△9九銀成らず~△8八飛と攻めますが足りない感じです。佐々木八段の攻めは鋭く、馬を転換させての▲5四馬(図10)はいかにも厳しいです。最後佐藤九段が△7一金~△6一銀と固めましたが、▲5一角~▲7四桂(図12)で受けが無くなり佐々木八段がそのまま寄せ切切りました。
一局を通して、両者の持ち味が十二分で出た一局でしたが、早指しの短期決戦の将棋では攻める側が勝ちやすいようにみえます。それは百も承知で受ける振り飛車を指される佐藤天彦九段も好きですね。これからも応援したいです。勝った佐々木八段は準決勝で増田康宏七段と対戦することとなり、こちらも大注目ですね。
↑↑↑水匠5での解析結果↑↑↑
今回は、この辺りで失礼します。
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