今週の注目の対局予定(2024/07/14~07/20)
こんにちは
今年も日本シリーズが開幕していますね。先日は関西のライバル対決、豊島将之九段と糸谷哲郎八段の対戦が行われました。対局前のインタビューによればお二人はもう25年以上将棋を指し続けられているとのことで感慨深いですね。結果は、豊島九段が勝利されましたが、中盤豊島九段の端攻めに対して糸谷八段が見せた切り返しが綺麗に決まり、短時間で良く手が見えるものだと感動した次第です。日本シリーズは全国各地で公開対局で行われ、対局が生で見れるのが醍醐味の一つですね。いつか観戦したいと思っています。
豊島将之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
糸谷哲郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
さて今回は、今週(2024/07/14~07/20)の注目対局を確認したいと思います。
07月14日(日)
NHK杯テレビ将棋1回戦第15局
近藤誠也七段 対 齋藤裕也四段
B級1組在籍で脂の乗り切った関東の実力者の近藤七段と藤井竜王名人の兄弟子杉本八段門下の齋藤四段の対戦となりました。対局は既に放送されており、齋藤四段の三間飛車に対して先手番の近藤七段が居飛車穴熊で対抗して勝利を収められました。最終版先手玉に詰み筋があったかもしれないだけに齋藤四段としては残念な結果となりました。
近藤誠也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
齊藤裕也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月15日(月)
ALSOK杯王将戦二次予選
ALSOK杯第74期王将戦二次予選 (shogi.or.jp)
斎藤慎太郎八段 対 藤本渚五段
旬の超トップ棋士しか入れない超難関の王将リーグ入りを目指しての予選が進んでいます。二次予選の注目カード斎藤八段と藤本五段が対戦されます。斎藤八段は居飛車の本格派で本筋王道の指し回しと終盤の正確さに定評があります。一方の藤本五段、現代風の力戦・急戦系を指し回し雁木に精通されており、終盤も寄せの鋭さを持ち合わせています。注目でしかありませんね。楽しみな一戦です。
斎藤慎太郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
藤本渚|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月16日(火)
第50期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント/五番勝負 (shogi.or.jp)
棋王戦挑決トーナメントが進行しています。重量級の対戦が組まれています。会長職を兼務しているとは思えない勝ちっぷりを見せ続けているレジェンド羽生九段と現代振り飛車党総帥菅井八段が対戦されます。対戦成績は、菅井八段が9勝6敗とリードしています。タイトル100期を期待している身としては、羽生九段に勝ってほしいと願っているところです。
羽生善治|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
菅井竜也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月17・18日(水・木)
壮絶な戦いの第1局で開幕した王位戦の注目の第2局は、北海道函館市「湯本 啄木亭」にて行われます。用意周到の準備をみせて後手番を千日手でかわし、指し直し局も勝利寸前のところまで持っていった渡辺九段には、本シリーズ益々期待せずにはいられません。第1局瀕死の状態にまで追い込まれた藤井王位としても手強さを感じている所ではないでしょうか。先手番で迎える渡辺九段の作戦が気になるところですが、相掛かりで挑まれるのではと予想します。これに対して藤井王位が雁木などの変化球を用意してくる可能性もあるとみています。
藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
渡辺明|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月17日(水)
竜王戦決勝トーナメント
第37期竜王戦 決勝トーナメント・七番勝負 (shogi.or.jp)
1組3位の久保九段と2組優勝の佐々木八段が決勝トーナメントで激突されます。対抗形の将棋となることが予想されますが、気になる対戦成績は3勝3敗で全くの五分です。直近は佐々木八段が3連勝しており、佐々木八段が実力をつけてきていることが伺えます。久保九段のどこに飛車を振るのか注目ですが、四間飛車穴熊を予想します。
久保利明|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
ヒューリック杯 第4期 白玲戦・女流順位戦 A級 (shogi.or.jp)
福間香奈女流五冠 対 伊藤沙恵女流四段
順位戦A級の順位1位と2位で西山白玲への挑戦権を掛けたプレーオフが行われることとなりました。今期順位戦では、伊藤女流四段が相振り飛車の将棋を制していました。本局も相振り飛車の将棋となり、福間女流五冠が何らかの修正策を用意してこられるのではとみています。
福間香奈|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
伊藤沙恵|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月18日(木)
竜王戦決勝トーナメント
第37期竜王戦 決勝トーナメント・七番勝負 (shogi.or.jp)
1組4位の広瀬九段と、同じく1組5位の斎藤八段が対戦されます。だんだん挑決が見えてくるだけに、緊張感はますます上がっていきますね。対戦成績は、斎藤八段の4勝3敗となっています。いづれも居飛車本格派で相手の作戦を堂々と受ける棋士です。広瀬九段が先手なら矢倉、斎藤八段が先手なら角換わりの将棋になるのではとみています。
広瀬章人|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
斎藤慎太郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月19日(金)
竜王戦決勝トーナメント
第37期竜王戦 決勝トーナメント・七番勝負 (shogi.or.jp)
佐藤康光九段 対 池永天志六段
竜王戦決勝トーナメントがさらに進みます。1組2位の佐藤九段と3組優勝の池永六段が対戦されます。池永六段は、トーナメント1回戦で郷田九段を破っており、今回も羽生世代の壁に挑みます。会長職を羽生九段に受け継ぎ充実著しい佐藤九段が、若手の壁となれるのか注目です。
佐藤康光|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
池永天志|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月20日(土)
将棋日本シリーズ1回戦第3局
JTプロ公式戦 | 将棋日本シリーズ | JTウェブサイト (jti.co.jp)
昨年度銀河戦で藤井竜王名人を見事破り優勝された丸山九段と関西の第一人者振り飛車党総帥の菅井八段が早指し棋戦で対戦されます。対戦成績は、菅井八段が6勝1敗とリードしており、丸山九段としては公開対局の場で借りを返したいところでしょう。注目の対局は、石川県金沢市「石川県産業展示館」にて行われます。
丸山忠久|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
菅井竜也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
今週は、竜王戦決勝トーナメントや王位戦第2局と注目の対局が多く予定されており、目が離せませんね。
今回は、この辺りで失礼します。
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今週の注目の対局予定(2024/07/07~07/13)
こんにちは
王位戦の二日目が始まっていますね。後手渡辺九段の右玉に対して藤井王位が左美濃から角道を止めてじっくりとした将棋になっています。封じ手以降の組み立てが勝ち負けに直結しそうな緊張が続く中盤戦です。どんな終盤戦・勝敗となのか目が離せません。
さて今回は、今週(2024/07/07~07/13)の注目対局を確認したいと思います。
07月07日(日)
NHK杯テレビ将棋1回戦第14局
三浦弘行九段 対 徳田拳士四段
棋聖獲得経験のあるベテラン三浦九段に関西の若手徳田四段が挑みます。勢いのある若手に対して、作戦家の三浦九段がどのような将棋を指すのか注目です。居飛車の力戦系の将棋になると予想します。
三浦弘行|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
徳田拳士|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月10日(水)
大成建設杯清麗戦第1局
福間香奈清麗 対 加藤桃子女流四段
清麗戦が開幕します。注目の第1局は、東京都港区「The Okuro Tokyo」で行われます。挑戦者決定戦では、プロ棋士編入試験を受験する実力者西山女流三冠を相手に加藤女流四段が手厚い将棋で完勝されていました。福間清麗としては、女流居飛車党最強の挑戦者になります。注目ですね。
福間香奈|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
加藤桃子|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月12日(金)
順位戦A級2回戦
第83期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)
順位戦A級の2回戦が始まります。1回戦では、順位下位棋士が揃って上位棋士に勝つ下克上的な状況が起こりました。本局のお二人も敗れており、本局は初日を出したいところでしょう。同世代の棋士同士で、対戦成績も菅井八段の9勝7敗と拮抗しています。意地のぶつかり合い、大熱戦必至の対局が予想され大注目です。
永瀬拓矢|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
菅井竜也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
07月13日(土)
将棋日本シリーズ1回戦第2局
JTプロ公式戦 | 将棋日本シリーズ | JTウェブサイト (jti.co.jp)
公開対局で行われる早指し棋戦のJT杯1回戦です。香川県高松市「サンメッセ香川」で行われる第2局は、関西のライバルと言ってもよいでしょう豊島九段と糸谷八段が対戦されます。角換わり系の力戦将棋を好む糸谷八段に対して、近年定跡形に限らず意欲的な作戦が目立つ豊島九段の対戦とあって戦型予想は難しいですね。対戦成績は、豊島九段が22勝8敗と大きくリードしており、糸谷八段としては借りを一つでも返したいところでしょう。
豊島将之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
糸谷哲郎|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
今週は、各組順位戦も行われ多くのドラマが生まれることでしょう。楽しみですね。
今回は、この辺りで失礼します。
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自戦記44 対後手角交換四間飛車 玉頭位取り
こんにちは
渡辺九段が1年ぶりにタイトル戦に登場している王位戦が開幕しましたね。名人失冠後調子を落とされていた時期もあったようにみえましたが、ここにきて復調されました。充電期間を経てタイトル戦での新たな渡辺九段が見れることを期待したいと思います。
さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が先手番で対抗形の将棋となりました。早速見ていきたいと思います。
初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲4八銀 △4二飛
▲4六歩 △6二玉 ▲4七銀 △7二玉
▲7六歩 △8二玉 ▲6八玉 △8八角成 - 図1
後手の方が4筋に飛車を振り、対抗形の将棋となりました。こちらの▲7六歩にも△4四歩と角道を止めずに、こちらの▲6八玉をみて△8八角成と角を交換してこられました。角交換四間飛車でよくある手順で、居飛車側が穴熊に組みづらくしている意味合いがあります。
図1から
▲同 銀 △2二銀 ▲7八玉 △3三銀
▲5八金右 △7二銀 ▲9六歩 △9四歩
▲3六歩 △2二飛 ▲3七桂 △4四歩 - 図2
角交換は双方玉の囲いを進めました。角を交換しているので、駒組は慎重に行う必要がありここら辺りは神経を使います。図2の△4四歩はあまり見られない指し方で、△4四銀の方が多いのではと思います。
図2から
▲5六銀 △3二金 ▲7七銀 △1四歩
▲1六歩 △4二銀 ▲6八金寄 △4三銀
▲7五歩 △3三桂 ▲6六歩 △5四銀
▲6五歩 - 図3
こちらの▲5六銀と腰掛銀に構えたの対して先手は△3ニ金とこられました。玉から離れる一手で指しにくそうにみえますが、後の進行をみると3三の銀を中央に繰り替える準備だったのかもしれません。後手が2筋に備えているのを見て、こちらとしては中央から玉頭方面でポイントを取っていきたいところです。この方針に沿って思い切って▲7五歩~▲6五歩と二つの位を取っていきました。
図3から
△2一飛 ▲8八玉 △2四歩 ▲7八金上
△2五歩 ▲同 桂 △同 桂
▲同 歩 △3七角 ▲2九飛 △4六角成
▲6六桂
玉頭の二つの位はかなりのポイントかなと思います。後手の玉頭を圧迫しています。このまま戦いが起こるのはこちらの玉のコビンが空いている状態なので、さらに玉を8筋に収めてから▲7八金と引き締めほぼ囲いは完成しました。しかし、ここはちょっとバランスを崩していたようで、図4の△2五歩と後手から仕掛けてこられた局面では図Aの△5九角と打たれるスキがあったようです。桂取りになっていて受けるのが難しそうです。本譜はさいわいなことにこの順をスルーして、桂交換後に後手が馬を作る展開となりました。手番を得た局面で▲6六桂と位を活かして銀取りに打った一手は感触が良かったです。
図5から
△4三銀 ▲7四歩 △6二桂 - 図6
▲7三歩成 △同 馬 ▲7五歩 △7四歩
▲同 歩 △同 桂 ▲同 桂 △同 馬
▲3七角 △7三歩 ▲6六桂 △8四馬
▲7四歩 - 図7
中盤戦です。▲7四歩に△同歩と取れば▲同桂~△7三玉~▲8二角の王手から4六の馬を素抜くイメージでした。本譜は読みになかった△6二桂と受けに打ってこられ考えましたが、後手の馬を責めつつ後手玉のコビンを攻めていきました。角と桂馬で美濃囲いを攻めが続きそうかなとみていました。
図7から
△6四歩 ▲同 歩 △6三歩 ▲7三歩成
△同 馬 ▲7四歩 △6四馬 ▲5五銀
△7五馬 ▲5四銀 △6四歩 ▲7三歩成 - 図8
後手玉を睨んでいる3七角の利きが強烈で指しやすしさを感じていました。しかし、後手の馬が玉頭で威張っており、常に気になっていました。図8の▲7三歩成は、歩を成り捨てて▲7六歩と丁寧に傷を消す意図だったのですがあまり良くなかったようです。
図8から
△同 玉 ▲7六歩 △8四馬 ▲4三銀成
△同 金 ▲7五銀 △同 馬 ▲同 歩
△6三銀打 ▲3二角 - 図9
予定通り▲7六歩と打った局面は危なかったようで、本譜の△8四馬に代えて△6六馬~△5四銀(図B)とされる手順がありました。二枚替えで拠点の桂馬も取られてしまい、こうなると先手が苦しかったです。本譜はさいわいにこの手順をスルーして、拠点の桂馬が残り攻めが繋がる展開になりました。
図9から
△5一飛 ▲4三角成 △6五銀 ▲同 馬
△6二玉 ▲4三馬 △6五桂 ▲4二銀
△7七桂成 ▲同金右 △7六歩 ▲同 金
△6五銀 ▲同 金 - 図10 △同 歩 ▲7四桂打
まで先手の勝ち
終盤です。引き続き3七の角の利きが強烈でこちらが優勢です。最後まで急所の6六の桂馬と3七の角が居座る展開で、最後は▲6五金と強く出た手が決め手で△同歩以降後手玉が詰みとなりました。
一局を通して、後手の△4四歩~△3ニ金と玉側が手薄になったのを見て玉頭に二つの位を取ったのが功を奏してペースを掴みました。途中危ない局面もありましたが、美濃囲いを攻めるために打った▲6六桂と▲3七角が良く働き寄せ切ることができました。
今回は、この辺りで失礼します。
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考察34 相掛かりヒネリ飛車 その4
こんにちは
今週は棋聖戦・叡王戦とタイトル戦が二つ行われますね。棋聖戦が執筆現在対局中で、山崎八段の後手向かい飛車に対して藤井棋聖が上手く対応されているようにみえます。こういった展開は織り込み済みで、ここからちょい悪逆転術が炸裂するのか期待せずにはいられませんね。
藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
山崎隆之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
さて今回は、以前の考察に引き続き”ヒネリ飛車”についてレポートをしたいと思います。今回がヒネリ飛車の最終レポートとなります。
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩
▲2六飛 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲7六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲7七桂 △8二飛 ▲7五歩 △4二銀
▲8五歩 △6四歩 ▲7六飛 △6三銀
▲4八玉 △4一玉 ▲6八銀 △3四歩
▲1六歩 △3一玉 ▲6六歩 △3三角
▲6七銀 △2二玉 ▲5六銀 △4四歩
▲9七角 △6二金 ▲4六歩 △4三銀
▲6八金 △5四歩 ▲5八金寄 △5五歩
▲4七銀引 △5二金 - 図13
局面を図13に戻します。前回考察した a)▲8六飛に代わり、b)▲3九玉と深く囲う手(図17)を調べて行きたいと思います。
図13から b)▲3九玉 - 図17
△4二角 ▲3六銀 - 図18 △9三桂
▲8六飛 △6五歩 ▲4五歩 - 図19
玉を3九まで動かせば先手かなり安心感が得られそうですが、ここからどう攻めていくかが難しそうです。後手△4二角と先手の角筋をケアする一手に対して、AI先生は▲3六銀とダイアモンド美濃を崩して後手玉頭に向かう銀上がりを推奨されていました。玉は金銀3枚で美濃囲いの低い陣形に収まっており、4七にいた銀はあくまで攻めで使うのが本筋なのでしょうか。ここから後手は△9三桂と跳ねてから8筋6筋から攻め立て、先手は▲4五歩と互いの玉頭から攻め合います。
図19から
△同 歩 ▲8四歩 △7五角 ▲7六飛
△9七角成 ▲同 香 △8四飛 - 図20
中盤の難所といった局面です。後手△7五角の飛び出しから角交換となり、手番を得た後手が△8四飛と気持ちよく飛車を捌きます。図20の局面は、玉の固さは互角、駒割は後手の三歩得、駒の働きも飛車の差で後手が良さそうにみえます。AI先生は、互角を示しておりもう少し進めてみます。
図20から
▲8五歩 △7四飛 ▲同 飛 △同 歩
▲6五桂 - 図21 △7六角 ▲4八金寄
△7八飛 ▲1五歩 △同 歩 ▲6一飛 - 図22
飛車を成らすわけにはいかないので当然▲8五歩とする手に、後手は強く△7四飛とぶつけ勢い飛車も交換となります。手番を得た先手の続く▲6五桂が良い感触です。歩を取りつつ桂馬を中央に捌く一手で、後手の9三桂より働いています。ここから先手は△7六角~△7八飛と急所に大駒を設置して先手玉をにらみますが、先手玉は▲4八金寄の一手でかなり堅くなりました。ここから一手▲1五歩の突き捨てを入れてから▲6一飛と打ち下ろした局面で区切りとしたいと思います。図22の局面は、お互い大駒が相手陣に打ち下ろされていますが、これを援護する小駒が無いためすぐに寄るといった局面ではなさそうです。先手は9一の香車を取りつつ6五の桂馬を上手く使っていきたいところです。一方の後手は△5六歩の突き捨てからと金を作っていく展開が予想されます。AI先生の評価は+24互角となっています。
以上で相掛かりヒネリ飛車の考察レポートを終了したいと思います。”将棋の必勝戦法”と謳われた時代もあったようですが、後手も最善を尽くすと先手が優勢に導くのも難しそうです。ただし先手もしっかりと美濃囲いの堅陣に組み上げるまで我慢すれば、もともと攻撃力が高いので勝ちやすい戦法なのかもしれませんね。
今回は、この辺りで失礼します。
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今週の注目の対局予定(2024/06/16~06/22)
こんにちは
先日放送されたABEMAトーナメント2024予選、チーム永瀬対チーム斎藤は激戦でしたね。優勝候補の一つに上がるチーム永瀬が、フルセットの末何とか勝利を収めました。敗れたチーム斎藤ですが、既に1勝あげており決勝トーナメント進出が決まりました。リーダーの斎藤八段が3連敗の誤算がありましたが、代わって三枚堂七段が3連勝の好成績を収めました。逆転の将棋が多く、悪くなっても粘り強く一瞬のチャンスを見逃さない瞬発力も発揮されてました。チーム斎藤のポテンシャルの高さが伺え、決勝トーナメントでも活躍が期待できるのではないかとみています。
さて今回は、今週(2024/06/16~06/22)の注目対局を確認したいと思います。
06月16日(日)
NHK杯テレビ将棋1回戦第11局
大橋貴洸七段 対 門倉啓太五段
順調に昇段を重ね現在B級1組に在籍の大橋七段と、3段時にNHK杯で読み上げをされていた門倉五段の一戦です。対局は既に放送されており、相居飛車の力戦調の将棋となり大橋七段が勝利されています。終盤二転三転する展開となり、門倉五段にも勝機のある局面があっただけに残念だったことでしょう。最後は大橋七段が自分の飛車を見捨てて、急所の桂馬の支えている歩を取り払う好手が出て勝ち切りました。
大橋貴洸|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
門倉啓太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月17日(月)
ヒューリック杯棋聖戦第2局
藤井棋聖先勝で迎えた注目の第2局は、新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」にて行われます。毎年棋聖戦が行われる新潟県の名湯ですね。第1局は、予定通りの力戦調の将棋となりましたが、早い段階から藤井棋聖が強い指し手を続けそのまま押し切る展開となりました。本局後手番の山崎八段はすでに苦しい展開となりましたが、自由奔放な指し回しが出るのか注目です。
藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
山崎隆之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月18日(火)
順位戦A級1回戦
第83期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)
菅井竜也八段 対 増田康宏八段
先日の佐藤天彦九段と永瀬九段の一戦を皮切りに、今年度の順位戦A級リーグが開幕しています。本局は関西を代表するA級棋士の一人菅井八段と今年度からA級に初参加の増田八段が対局されます。これまで順当に昇段をされてきた増田八段が遂にA級まで昇ってこられ、最高峰のA級リーグでどのような戦いぶりを見せるのか注目ですね。過去の対戦は、菅井八段が4勝1敗と先輩の意地をみせています。菅井八段の力強い振り飛車に対して、増田八段の作戦に注目です。展開によって銀冠穴熊を採用されるのではとみています。
菅井竜也|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
増田康宏|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月19日(水)
順位戦A級1回戦
第83期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)
順位戦A級1回戦が続きます。残念ながら名人戦で藤井名人に敗れてA級1位で再スタートされる豊島九段が、A級2年目の佐々木勇気八段と対局されます。面白いカードですね。最近作戦の幅を広げてどんな作戦でくるのか読めないのが豊島九段で、本局も後手番ながら何らかの作戦を練ってくるものと予想されます。もう一局は、名人挑戦経験もある稲葉八段と、今期初のA級入りを果たした千田八段が対戦されます。これまで公式戦で5局指されており、千田八段の3勝2敗となっています。居飛車の研究勝負となるのか、後手番の稲葉八段が何らかの変化球を用意されるのか注目です。
豊島将之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
稲葉陽|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
千田翔太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月20日(木)
第9期叡王戦五番勝負第5局
大大大注目の世紀の一戦の叡王戦最終局は、山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われます。前局藤井叡王がカド番で後手番という窮地に立たされながらもしっかり凌ぎました。まずは振り駒でどちらが先手番を取るのか、後手番となった側がどんな作戦を用意してくるのか注目です。本局藤井叡王が勝てばしばらく8冠制覇が続き、逆に負ければ将棋界の勢力図にインパクトを与えることが予想されます。今後の将棋界の覇権を占うことも含め見逃せません。
藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月21日(金)
順位戦A級1回戦
第83期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)
最近復調の兆しが見える渡辺九段と、A級2年目で脂がのった中村八段の対戦です。対戦成績は2勝2敗の五分で、昨年の順位戦では、中村八段が勝利を収めています。本局先手番で迎える渡辺九段としては、昨年の借りを返すべく万全の態勢で臨んでこられることでしょう。戦型は、相居飛車の激しい展開となることが予想され、中村八段が積極的に早繰り銀でこられるのではとみています。
今期の順位戦が始まっており、今週はA級の他にもB級1組も開幕する予定となっています。ここに羽生九段、広瀬九段、斎藤八段がいることが不思議でまさに「鬼の棲み処」ですね。今週も注目の一局目白押しです。
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自戦記43 対先手中飛車 力戦
こんにちは
ABEMAトーナメント2024の予選が進行していますね。先日は、新リーダー中村八段率いるチーム中村がフルセットの末チーム渡辺に勝利しました。序盤は、岡部四段が3勝あげる活躍を見せてチーム勝利に王手を掛けましたが、ここからチーム中村の粘りが素晴らしくフルセットの渡辺対決を和史六段が勝ち切りました。中村八段、佐々木大地七段、渡辺六段全員の粘り強い棋風がそのままチーム戦に発揮された感じでした。対戦相手は嫌でしょうね。今後も楽しみです。
さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で先手の方の中飛車に対して力戦調の将棋で挑みました。以下後手番目線の局面図を示します。
初手から
▲5六歩 △8四歩 ▲5八飛 △6二銀
▲4八玉 △4二玉 ▲3八玉 △8五歩
▲7八金 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲9六歩 △8二飛 ▲8七歩 △6四歩
▲6八銀 - 図1
初手▲5七歩の中飛車宣言からのスタートとなりました。中飛車に対しては超速で対抗することが多いのですが、本局お相手の方が角道を開けずにこちらの飛車先歩交換を甘受する力戦調の将棋になりました。こちらは1歩を手持ちにしてまずまずといったところで、ここからは穏やかに駒組を進める方針です。
図1から
△7四歩 ▲7六歩 △6三銀 ▲5九飛
△3二玉 ▲2八玉 △5二金右 ▲3八銀
△1四歩 ▲1六歩 △9四歩 ▲6六角
△3四歩 - 図2
先手の方は▲5五歩を保留されていました。これに歩調を合わせてこちらも角道を開ける△3四歩を保留していました。端を突きながら角道を開けるタイミングを計っていましたが、▲6六角と覗いたタイミングで△3四歩(図2)を指しました。互いの角が向かい合い緊張が走りますが、上がったばかりの角を交換してくるのは指しにくいかなと思いました。
図2から
▲7七桂 △3三角 ▲8九飛 △5四歩
▲8六歩 △6六角 ▲同 歩 △4四角
▲6七銀 - 図3 △7五歩 ▲同 歩
△7六歩 ▲同 銀 △6六角 ▲6七金
△4四角 ▲8五歩 △8三歩 - 図4
角が向かい合ったまま駒組が進み、先手の方は飛車を8筋に転換してこられました。結局こちらから角を交換しましたが、▲7一角と打たれるのを嫌って△4四角と打っていきましたが感触が悪かったです。その後7筋でちょっかいを出したものの戦果が得られず、△8三歩(図4)と誤った局面は苦しいと感じていました。
図4から
▲9八香 △9三香 ▲4六歩 △4二金上
▲4五歩 △6二角 ▲6五歩 △3三桂
▲6四歩 △同 銀 ▲9一角 - 図5
図4の局面をAI先生は+668先手有利と評価されていました。苦しい中盤です。苦しいながらも金無双に玉を囲い崩れないよう心掛けました。▲4五歩と角頭を攻められた手に対して、端に効かすように△6二角と引きましたが、本譜の手順を考えると△5三角が勝ったかもしれません。▲6四歩の取り込みに対して△同銀としましたが、▲9一角が厳しく刺さりました。
図5から
△7三角 ▲8二角成 △同 角 ▲8四歩
△7五銀 - 図6 ▲8三歩成 △6四角
▲8五飛 △7六銀 ▲同 金 △6七角
▲6五飛 △3七角成 ▲同 玉 △7六角成 - 図7
飛車角交換となり苦戦が続きました。金無双の堅陣だけが頼りです。▲8四歩と角頭を攻めてこられた手に対して△7五銀は勝負手で、▲同銀には△7八角打を狙った手です。先手の方もこれを見破り▲8三歩成と突破してきましたが、△6四角と角を逃げながら3五の銀にヒモをつけギリギリの対応をしました。▲8五飛と執拗に銀を狙ってきましたが△7六銀~△6七角と捌き、▲6五飛の角の両取りに対しても△3七角成~△7六角成として勝負勝負と迫りました。
図7から
▲6一飛成 △4五桂 ▲2八玉 △7七馬
▲7一飛 - 図8 △3六桂 ▲1八玉
△2八金 ▲1七玉 △4四馬 - 図9
▲2六歩 △7一馬 ▲同 龍 △1五歩 - 図10
▲2五歩 △1六歩 ▲2六玉 △3五銀
まで後手の勝ち
駒割はこちらの駒損でしたが、金無双の玉形がまだしっかりしていて、7七の桂取り、△4五桂の王手、7六の馬が4九金を狙っている等希望を持っていました。図7から先手当然の▲6一飛車成に対して、一旦△4五桂の王手を利かして▲2八玉をみてから▲7七馬と桂馬を取りました。この手に対する▲7一飛(詰めろ馬取り)が良くなかったようです。狙いの△3六桂の王手から△2八金で先手玉を1七に追いやり、△4四馬(図9)と王手飛車に引きつけるぴったりの手がありました。▲2六歩の受けに△7一馬と飛車を取ってこちらの玉の詰めろを解除し、▲同龍の一手に△1五歩が決め手です。”端玉には端歩”です。こちらの玉は最後まで金無双の形が残っており何とか勝ち切ることができました。
一局を通して、力戦調の将棋で指し手の選択が難しい中盤でミスをしてしまい苦しくしてしまいましたが、終盤放った勝負手が功して逆転することができました。駒損ながらも固い玉形が生きた一局でした。
今回は、この辺りで失礼します。
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今週の注目の対局予定(2024/06/02~06/08)
こんにちは
昨日は、ABEMAトーナメントのチーム稲葉対チーム佐々木の対戦が放送されてましたね。結果は既報の通りチーム稲葉の勝ち、井上門下の強さを見せつける結果となりました。本大会での稲葉八段、藤本五段の強さは実証済でしたが、今回初出場の上野四段も落ち着いた指し回しで堂々の2勝を稼ぎチームに貢献しました。毎回若手二人を率いて好成績を収めてきた稲葉リーダーとしては、今回選出の二人もかなり期待できそうな手応えを感じたのではないでしょうか。このチーム強いです。この先も見逃せません。一方の敗れたチーム佐々木は、今回初リーダーとなった佐々木勇気八段がリーダーシップを発揮しようと奮闘されていましたが、ちょっと気負いすぎな印象を受けました。次局以降は、本来の自由奔放な指し回しの中にきらりと光る天才的な一手を期待したいです。
さて今回は、今週2024/05/12~05/08)の注目対局を確認したいと思います。
06月02日(日)
NHK杯テレビ将棋1回戦第9局
伊藤匠七段 対 梶浦宏孝七段
若手通しの注目の一戦です。対局は既に放送されており、後手番で角換わり腰掛銀を受けた梶浦七段が勝利されました。下馬評通り、伊藤七段が中終盤かなり押し気味に指し進めていましたが、ちょっと見え難そうな受けの一手を見逃してしまい大逆転を食らってしまいました。早指し棋戦ならではの怖い一面を見てしまったといった感じでした。
梶浦宏孝|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月05日(水)
王座戦挑戦者決定トーナメント準々決勝
第72期王座戦挑戦者決定トーナメント (shogi.or.jp)
重量級の一戦です。勝てば準決勝で糸谷八段と羽生九段の勝者と対戦することになります。対戦成績は14勝14敗で全くの五分ですが、直近は広瀬九段が4連勝となっています。両者居飛車党同士ですが、最近の豊島九段は意欲的な作戦選択が多く戦型予想はちょっと難しいです。先の名人戦でも採用された振り飛車の可能性も少なからずありそうです。
広瀬章人|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
豊島将之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
06月06日(木)
ヒューリック杯棋聖戦第1局
山崎八段が15年ぶりにタイトル戦に登場する大注目の棋聖戦の第1局は、千葉県木更津市「龍宮スパホテル三日月」にて行われます。現代将棋界を席巻するAI研究とは一線を画しつつ、独自の力戦将棋でファンを魅了している山崎八段を応援する声は多いのではないでしょうか。どんな戦法が出てくるのか予想ができないであろう藤井棋聖としては、これまでのタイトル戦挑戦者とは勝手が全く異なり大変なシリーズとなるやもしれません。大注目です。
藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
山崎隆之|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
今週は、この他にも男性棋戦および女流棋戦が多く予定されています。見逃せませんね。
今回は、この辺りで失礼します。
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