香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記33 後手村田システム

こんにちは

今週末は王将戦の第2局が行われていますね。第1局の後手番で早くもブレイクを果たした藤井王将が有利な展開となっています。ただし振り飛車党の菅井八段としては、先後の違いはあまり気にならないのかもしれませんね。菅井八段の巻き返しに注目です。

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さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で村田システム調の将棋で挑みました。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲2六歩    △8四歩    ▲7六歩    △3二金    

▲2五歩    △6二銀 ▲7七角    △4二銀    

▲4八銀    △1四歩    ▲5六歩    △5四歩 - 図1

これまで相居飛車の後手番では相掛かり・横歩取りを指すことが多かったのですが、最近は本局のような「村田システム」調の将棋を指すようになりました。”嬉野流”等の戦法との違いは正直分かっていないのですが、こちら側だけ見たときに図1のような形が「村田システム」かなと解釈してます。相手の飛車先は受けず、角道を開けるのを保留して序盤は穏やかな進行を目指します。

 

図1から
▲5七銀    △5三銀右  ▲6六銀    △4四銀    

▲6八玉    △4一玉 ▲7八玉    △3四歩    

▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △3三銀上

▲2八飛    △2三歩 - 図2   

「村田システム」はプロ棋士の村田顕弘六段が本を出されていて、去年の王座戦本戦トーナメントで当時の藤井七冠を窮地まで追い詰めた戦法として有名になりましたね。私も最近本を購入して勉強中といったところです。本局は、お相手の方が右の銀を早めに中央へ繰り出し▲6六銀と角道を止めたので早い戦いは起こりそうにない展開となりました。

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図2から

▲5八飛 - 図3   △5二飛    ▲6八銀    

△4二銀 ▲7九金    △3一玉    ▲3八金    

△9四歩    ▲4六歩    △5一飛 ▲3六歩    

△6二金    ▲3七桂    △7四歩    ▲5九飛    

△6四歩 ▲4五歩    △5三銀引  ▲5五歩 - 図4    

2筋で飛車先の歩交換が行われ△2三歩と受けた手に対して、お相手の方は飛車を中央に振ってこられました(図3)。私の駒が左辺に偏っており、機敏な動きだと思っていました。ここら辺りは、まだ「村田システム」を指し慣れていない感が否めませんね。△5ニ飛~△4二銀と形を整えていきましたが、銀の動きで手損をしておりちょっと苦しめに感じていました。お相手の方は、エルモ囲いに構えてから▲3七桂~▲4五歩~▲5五歩(図4)と仕掛けてこられました。中盤戦です。

 

図4から

△6三金    ▲5四歩    △同 銀 ▲5五歩    

△5八歩 - 図5   ▲同 飛    △6五銀    

▲同 銀    △同 歩 ▲5九飛    △7三桂    

▲5四歩    △6六歩 - 図6    

局面の形勢にはまだ差がついていなかったようです。中央からの仕掛けに対してこちらも△6三金と上がり備えました。▲5四歩の取り込みから▲5五歩と銀取りに打ってきた手に対して、こちらも一本△5八歩(図5)と飛車先を叩きました。銀交換になる前に△4一銀の割打ちのスキを作るための狙いでしたが、貴重な一歩を渡してしまう手でもあり微妙なところでした。ただし銀交換が行われた後お相手が▲5九飛と形を整える一手を指されたので、こちらも△7三桂と遊んでいた駒を活用することができました。▲5四歩と飛車先の歩を進めつつ角道を開ける一手を指され、相手の方の大駒が一気に働いてきました。緊張の瞬間ですが、こちらも一本△6六歩(図6)と突き捨て先手玉のコビンに嫌味をつけていきました。

 

図6から

▲同 歩    △8五桂 ▲8八角    △5五銀 - 図7   

▲6五歩    △5四飛    ▲5六歩    △6六銀

▲5五銀    △6七歩 - 図8   

中央での戦いが急所とみて△5五銀打(図7)として盤面制圧を目指しましたが、ここら辺りから形勢が苦しくなっていきました。△5四飛としたところでも△5四金と金を使っていった方が勝ったようです。本譜は▲5五銀と打たれた局面が6六の銀取り且つ飛車取りになっており、大分苦しくなってしまいました。大ピンチです。

 

図8から

▲同 銀    △同銀成    ▲同 玉    △5一飛 - 図9

▲4四歩    △同 歩    ▲6四歩    △5四金    

▲6三歩成  △5八歩 - 図10 

何とか4三の地点で銀交換を果たし大きな駒損は避けれたのですが、△5一飛(図9)となった局面ははっきりこちら苦しいです。中央の位を逆に制圧されてしまい、手も足も出なくなってしまいました。▲4四歩と手筋の突き捨てで角道を止められてしまい益々苦しくなりましたが、△5四金と勝負手気味に駒をぶつけて行きました。▲6三歩成とと金を作られましたが、△5八歩(図10)と再び割打ちの銀を狙って飛車先を叩いていきました。

 

図10から

▲同 玉    △5五金    ▲同 歩    △1三角 - 図11   

▲6八金    △5六銀 ▲4八金    △6八角成 - 図12 

▲同 玉    △6七金 まで後手の勝ち

終盤戦です。双方お駒の働きがいまいちな局面でしたが、△1三角(図11)と端から角を覗いた手は感触が良かったです。先手玉頭を睨みつつ後手玉の逃げ道を確保する味の良い手でした。ただこの手に対して▲5六金打と制空権を確保されていたら苦しかったようです。本譜は逆に△5六銀と先手玉頭を抑えることができ、最後も一瞬のチャンスが巡ってきて△6八角成(図12)として逆転することができました。急転直下の終局となりました。

一局を通して、お相手の方の飛車の機敏な動きで中盤以降ずっと苦しい将棋となりました。△5八歩のたたきの歩や△6六歩の突き捨ての歩を駆使して嫌味を突きつつ耐えたのが実り、最後は角を大きく使って逆転することができました。「村田システム」はこれからも多く指して経験値をあげていきたいところです。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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