香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

考察18 相掛かり06 10手目3四歩型

こんにちは

竜王戦挑決三番勝負の対戦が決まりましたね。1組3位となり豊島九段、羽生九段を破ってきた永瀬王座と5組を優勝され出口六段、大石七段、広瀬八段、丸山九段、稲葉八段を破ってきた伊藤六段が対戦します。レーティング、実績的には永瀬王座が上ですが、一日毎に実力が伸びていて対戦成績でも2勝0敗とリードしている伊藤六段にもかなりのチャンスがあるとみています。過去の対局は、いずれも伊藤六段先手番で相掛かりの将棋でした。先手後手をそれぞれ必ず一局は指す三番勝負に向けて、双方どういった作戦を用意してくるのか注目です。

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さて今回は、以前に引き続き相掛かりについてのレポートをあげようと思います。相掛かりシリーズもこれで第6回になります。局面を基本図まで戻します。

考察13 相掛かり01 - 香車は下段から

考察14 相掛かり02 8筋歩交換型 - 香車は下段から

考察15 相掛かり03 8筋歩交換型その2 - 香車は下段から

考察16 相掛かり04 10手目9四歩型 - 香車は下段から

考察17 相掛かり05 10手目9四歩型 その2 - 香車は下段から

 

初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩

▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀

▲9六歩 - 基本図

これまでの考察では、基本図から△8六歩と△9四歩とする手順をみてきました。今回からは、ここから△3四歩として角道をあける手順をみていきたいと思います。

 

基本図から

△3四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛

△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩

△8四飛 ▲2八飛 △2三歩 - 図24

△3四歩に対して、他の手を指すと△3三角と上がられ飛車先交換を拒否されてしまうので、ここで先手が▲2四歩とするのは自然だと思います。また、▲2四同飛の局面で後手が単に△2三歩と先手の飛車先を抑えると、▲3四歩と先手に横歩を取られるのが面白くなく、後手もここで飛車先を交換しながら手順に△8四飛として3四歩を守ります。これをみて先手は▲2八飛と深く引きつけ後手との違いを作ります。

 

図24から

▲7六歩 △4二玉 ▲1六歩 △1四歩

▲4六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛

▲4七銀 △9四歩 - 図25

先手後手それぞれ飛車先の歩を手持ちにしてから引き続き駒組が続きます。後手が浮き飛車の時は、横利きが強いため棒銀や早繰り銀は得策ではないと思います。そこで、先手は△4六歩から腰掛銀にしていきます。この瞬間に後手は△8六歩と合わせて7六の横歩を取りに動いていきます。△8六同飛に対して▲4七銀とするのがちょっとしたポイントで後手からの横歩取りをけん制しています。仮に△7六飛と横歩を取ってくると▲8二歩打(図B)として先手桂得が確定します。また、▲4七銀として先手の飛車の横利きを通して7八の金にひもがついているため、△8八角成とこられても▲同銀として問題がありません。

 

図25から

▲5六銀 △6四歩 ▲4五銀 - 図26 

△3五歩 ▲3四銀 △8八角成 ▲同 銀

△2二銀 ▲8七銀 △8二飛 ▲8六歩 - 図27

予定通り先手は▲5六銀として腰掛銀に構えます。続く△6四歩に対して、さらに積極的に▲4五銀と進める手をAI先生は推奨されていました。似たような銀の進出は最近行われた藤井七冠と佐々木七段とのタイトル戦で出ており、その時はあまり良くない手だったような気がします。これに対して本譜は△3五歩と歩を逃がす手順に進めましたが、仮に△3三金と3四の歩を守ろうとすると、▲1五歩 △同歩 ▲1ニ歩打 △同歩 ▲3四銀 △同金 ▲2三飛成(図C)と強引に飛車を成り込む手順があるようです。

 

図27から

△3六歩 ▲2五銀 △8五歩 ▲同 歩

△3七歩成 ▲同 桂 △8五飛 - 図28

▲7七桂 △3五飛 ▲3六歩 △5五飛

▲6八玉 - 図29

△3六歩は馬作りを狙っていて、▲同歩には△4七角打があります。そこで先手は、前進できなさそうな銀を▲2五銀と引き付けますが、ここからまた後手は△8五歩の合わせの歩から飛車を捌いていきます。細かく飛車を動かし△5五飛と飛車成を狙った手に対して▲6八玉と上がって受けます。この手で先手を取りながら受ける▲6六角もありますが、△5四飛車と逃げられると打った角があまり働きが良くなさそうです。

 

図29から

△3三桂 ▲3四銀 △5四飛 ▲4五角 - 図30

△同 桂 ▲同 銀 △5五飛 ▲3四桂

△5二玉 ▲2二桂成 △同 金 ▲5六銀打

△4五飛 ▲同 銀 - 図31

△3三桂~△5四飛とされて先手の銀が危うそうにみえますが、▲4五角打の強手があるようです。一瞬駒損になりますが、本譜の通り▲4五同銀として飛車に当ててからの▲3四桂打の王手銀取りがありました。さらに手にした銀を▲5六銀として後手の飛車を捕獲した図31の局面で一段落したいと思います。図31の局面で、駒割は飛車角交換でほぼ互角、玉の囲いは先手の方が堅いように見え、後手の△2二金の離れ駒が気になります。AI先生は、この局面を+353先手有利と評価しており先手が若干指しやすそうな局面と言えると思います。

局面を戻して、図26の局面では△9三桂とする手もAI先生は推奨されており、別のレポートで考察したいと思います。

今回は、この辺りで失礼します。

 

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