香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

考察16 相掛かり04 10手目9四歩型

こんにちは

棋聖戦第3局は、先手番の藤井棋聖が得意の角換わり腰掛銀で完勝されましたね。佐々木七段が右玉にする用意の変化に誘導しましたが、藤井棋聖の研究範囲内だったようにみえます。端桂からの逆襲、見切りの顔面受け等いつも以上に魅せる将棋を指されていました。次局カド番に立たされた佐々木七段ですが、先手番を何とかキープしてフルセットに持ち込むことを期待してます。

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さて今回は、以前に引き続き相掛かりについてのレポートをあげようと思います。局面を基本図まで戻します。

考察13 相掛かり01 - 香車は下段から

考察14 相掛かり02 8筋歩交換型 - 香車は下段から

考察15 相掛かり03 8筋歩交換型その2 - 香車は下段から

 

初手から

▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩    

▲7八金    △3二金 ▲3八銀    △7二銀    

▲9六歩 - 基本図

前回までは、基本図から”1)△8六歩 として飛車先の歩を交換する”手順をレポートしましたが、今回からは”2)△9四歩 として態度を明らかにしない+△8五飛から9筋の端攻めを狙う”手順をAI先生と考察しようと思います。

 

基本図から 2)△9四歩

▲1六歩    △1四歩 ▲3六歩    △8六歩    

▲同 歩    △同 飛 - 図11    

△9四歩に対して先手としては、玉形・飛車の位置を決めたくないところです。そこで1筋の端歩を突き合うのも自然に思えます。両端の歩を突き合った先手は、何かを指さねばなりませんが、いろいろな含みを残す上で▲3六歩とする手が考えられます。これに対して飛び出た先手の歩を狙って△8六歩と飛車先の歩を交換してきます。

 

図11から

▲6八玉    △5二玉 ▲8七歩    △3六飛    

▲3七銀    △3五飛    ▲4六銀    △8五飛 - 図12

図11の局面で、AI先生は▲6八玉~▲8七歩打もしくは単に▲8七歩打を推奨されていました。自然に見える▲3七銀として歩を守る手は候補には挙がっていませんでした。本譜▲6八玉に対しては、後手も一旦△5ニ玉と居玉を避け、先手の▲8七歩に対して飛車を逃がしながら△3六飛として横歩を取ります。これに対して先手も手順に▲3七銀~▲4六銀と手得を主張します。後手は、△3四飛と逃げると角道が開けられないので△3五飛と逃げながら五段目に引き、9筋からの端攻めの含みを残します。

 

図12から

▲7六歩    △7四歩    ▲5六歩    △4二銀 - 図13

図12から先手が▲7六歩と角道を開け、後手は△7四歩として桂馬もしくは銀が攻撃参加できる体制を作ります。先手は早繰り銀を五段目に進出させたいのですが、後手の飛車の横利きで前進を阻まれています。そこで矛先を変え後手中住まいの玉頭の歩を進めますが、後手も△4ニ銀と上がりこれに備えます。

今回はここで一区切りにしたいと思います。図13以降先手は5筋の歩を進めてから▲3七桂~▲4五桂および▲5八飛として後手の玉頭から攻めかかる狙いがあります。しかし、先手玉も戦場から近いので、攻めを行う前に▲6九玉~▲6八銀としておきたいところです。そうすると玉の動きで手損となるのが面白くなく、玉の位置を決めたのが早すぎたと言えなくもないと思います。図13の局面をAI先生は‐37互角と評価されていますが、先手番の利が無くなっているとも言えると思います。

次回は、図11から単に▲8七歩打として後手に態度を決めるよう促す手を考察しようと思います。

今回は、この辺りで失礼します。

 

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