こんにちは
藤井聡太七冠と佐々木大地七段のダブルタイトル戦が進んでいますね。先日は、王位戦の第2局が行われ、後手番の藤井王位が勝利され王位戦2勝0敗とリードされました。本局先手番の佐々木七段は、必勝を期して最も得意の相掛かり戦法で積極的に攻めていきましたが、藤井王位がカウンターの角打ちから局面をリードしてそのまま危なげなく勝ち切りました。前例がある手順に進んだようで、藤井王位がどこまで把握されていたかは分かりませんが、正確な中終盤の指し回しが印象的でした。スキなしです。佐々木七段としては苦しい展開ですが、何とかここからの巻き返しに期待です。
さて今回は、以前に引き続き相掛かりについてのレポートをあげようと思います。局面を前回の図11まで戻します。
考察15 相掛かり03 8筋歩交換型その2 - 香車は下段から
考察16 相掛かり04 10手目9四歩型 - 香車は下段から
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀
▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 - 図11
図11は、両端の歩を突き合い▲3六歩としたところで後手から飛車先の歩交換をしてきた局面です。前回はここで▲6八玉とする手順を考察しましたが、玉の位置を早く決めすぎたきらいがあり、あまり面白くない展開となりました。今回は、代わって▲8七歩打として後手に飛車の位置を決めてもらう指し方を調べたいと思います。
図11から
▲8七歩 △3六飛 ▲3七銀 △3五飛
▲4六銀 △8五飛 ▲7六歩 - 図14
▲8七歩に対して、後手が飛車を引くと穏やかな進行になりそうですが、前回と同様に△3六飛と一歩得を主張したいところです。これに対して、先手も手順に銀を4六まで繰り出して行きます。△8五飛とした局面は、前回の図12の局面と似ていますが、玉の位置が異なります。
図14から
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲6八玉
△6二玉 ▲5八金 △3四歩 ▲3七桂 - 図15
双方居玉のままですが、局面は既に中盤といったところです。いろいろ指し手が考えられる局面ですが、▲7六歩に対して後手積極的に△8六歩と合わせて横歩取りを狙う指し方をみていきます。△8六同歩に対して、双方▲6八玉、△6二玉と居玉を避けた後、先手は▲5八金~▲3七桂として本格的な戦いに備えます。
図15から
△9五歩 ▲同 歩 △9七歩 - 図16
▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀 △9五香
▲7七角 △8五飛 ▲8七銀 - 図17
端歩の付き合いを活かして後手が9筋から攻めていきます。△9七歩打と垂らした手が悩ましく、▲同角は△8九飛成、▲同桂は△9五香、▲同香は△9六歩打をみています。そこで▲2二角成~▲8八銀として、△9五香にも▲7七角打~▲8七銀でギリギリ凌ぎます。時間の無い将棋だと、なかなかこういった手順は浮かばないかもしれないですね。
図17から
△9八歩成 ▲同 香 △同香成 ▲同 銀
△8六歩 ▲8七歩 △9五飛 ▲9六歩 - 図18
△9四飛 ▲8六歩 - 図19
8、9筋での攻防です。香車が交換になり、後手から拠点を作りに△8六歩打としますが、先手も即▲8七歩打として反発します。これに対して△9五飛と矛先を変えてきますが、▲9六歩と高い位置で受け(△同飛には▲9七香打の狙い)、止む無い△9四飛に▲8六歩と8筋に手を戻します。図19は、後手からの8,9筋からの攻めを先手が受けて止めて一段落といった局面です。AI先生は、+104互角と評価されていました。
図19から
△4四香 ▲5五銀 △3五歩 ▲2六飛
△3三銀 ▲3四歩 - 図20 △4二銀
▲2四歩 △同 歩 ▲4六歩 - 図21
図19から後手は、盤面の右側での攻防に切り替え、銀取りに△4四香打とします。先手の7七角の効きも止める意味もありそうです。▲5五銀と逃げた手対して、△3五歩~▲2六飛の交換を入れてから、働きの弱かった銀を△3三銀と繰り出します。ここで、▲3四歩が手筋の「たたきの歩」で△同銀とは取りにくいように思います。△4ニ銀と形よく引きつけますが、先手▲4六歩として後手の4四の香車を取りに行きます。
図21から
△3六歩 ▲同 飛 △3八角 ▲2八歩 - 図22
△2九角成 ▲4五歩 △8八歩 ▲同 金
△1九馬 ▲4四歩 - 図23
香取りを見せられて後手が焦らされる展開ですが、△3六歩~△3八角打として先手の攻め駒を責めようとします。ここで、▲2八歩打は勉強になる手で、△2七角成を防ぐことで手を稼ぎ▲4五歩の香取りを間に合わせようとしています。
図23の▲4四歩と香車を取り切った局面で一段落としたいと思います。駒割は先手のニ歩得、玉の固さは互角でそれほど差は無さそうです。双方大駒がどう働くかで優劣がついていきそうな局面です。後手としては、9四の飛車を攻めで使うのは難しそうですが、馬で先手の飛車を責めたい感じです。一方の先手は、3、4筋で攻め駒の飛角銀桂が捌けそうな感じもします。AI先生はこの局面を+213互角と評価されていました。
次回はまた10手目の局面に戻り、△8六歩、△9四歩以外の後手の手を考察したいと思います。
今回は、この辺りで失礼します。
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