こんにちは
竜王戦の決勝トーナメントが開幕していますね。27日(火)に行われた出口六段対伊藤六段の一戦は伊藤六段が勝利され、現在レポートを作っている30日(金)現在2回戦伊藤六段対大石七段の一戦が行われています。戦況は終盤戦になっており伊藤六段が寄せに行っている局面です。伊藤六段は、昨年の竜王戦決勝トーナメントでも勝ち上がり3回戦まで進みましたが、「1組の壁」に押し返されてしまいました。今年は壁を突破できるか注目です。
さて今回は、以前に引き続き相掛かりについてのレポートをあげようと思います。局面を図1まで戻します。
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀
▲9六歩 - 基本図 △8六歩 ▲同 歩
△同 飛 ▲8七歩 - 図1
基本図から後手が早速飛車先の歩交換を行ったのに対して、先手が率直に▲8七歩打として後手の飛車の位置を打診した局面です。前回のレポートでは、ここでa)△8四飛と浮き飛車に構えた形を考察しましたが、今回はb)△8二飛と深く飛車を引く形を考察しようと思います。
図1から b)△8二飛
▲3六歩 △3四歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △1四歩 ▲5八玉 △4二玉
▲3七桂 ‐ 図6
後手が引き飛車にした場合、先手としては棒銀・早繰り銀等で後手の角頭を狙っていくことが考えられます。手が広い局面ですが、いろんな含みを持たせてまずは▲3六歩とするのが自然に見えます。これに対して後手の△3四歩も自然な手で、これ以外の手では先手から▲3五歩と位を取られ角が使いにくくなります(図B)。次に、△3三角と上がられると歩交換ができなくなるので、先手は▲2四歩とて一歩を手持ちにします。これに対して、AI先生は自然に△2三歩打とする手を良しとせず△1四歩~△4ニ玉と頑張る手を推奨していました。△2三歩とすると先手から▲3四歩と横歩を取りやすくなることを嫌ってるのかもしれません。
図6から
△2三歩 ▲2九飛 △8三銀 ▲7六歩
△7四銀 ▲7七桂 - 図7 △6四歩
▲2七銀 △6三銀 ▲2六銀 △7四歩
▲2五銀 - 図8
図6の局面になり、ようやく後手が△2三歩打として先手の飛車先を抑えます。これに対して横歩を取る▲3四飛はAI先生の候補に挙がらず、△3三金~△2四金と飛車をイジメに来られて若干評価値が後手よりに動くようです。そこで、△2三歩打に対しては▲3七桂としている形を活かして▲2九飛と深く引きます。これに対して後手は△8三銀~△7四銀と先手角頭を目指して足早に銀を繰り出して来ますが、角道が止まることを気にせずに▲7七桂として後手の銀の進軍を止める手をAI先生は推奨されていました。銀の前進を止められた後手は、立て直しを図るべく△6四歩~△6三銀と組み替えを行います。この間先手からは、▲2七銀~▲2六銀~▲2五銀と棒銀で後手角頭を目指して行きます。
図8から
△3五歩 ▲3四銀 △4四角 ▲3五歩
△2二銀 ▲2六飛 △5二金 ▲6八銀 - 図9
図8からAI先生の示された一連の流れは「大人の手順」といった印象を受けます。途中△4四角は先受けの手筋で、仮に▲2三銀成と一直線に攻め入っても△2七歩打~△3六歩とされて先手も簡単には2筋突破を果たせません。そこで一旦▲3五歩と取り込みますが、△2二銀~▲2六飛と双方がキズを消し合います。
図9から
△3五角 ▲3六飛 △2四角
▲1六歩 - 図10
図10の局面で一区切りとしたいと思います。中盤のねじり合いが続きそうな局面です。駒割は損得無しですが先手が2歩手持ちにしています。駒の働きは、先手の角が使えておらず後手が若干良いかもしれません。玉の固さは、後手の方が堅そうですが2筋の壁銀が気になるところです。AI先生はこの局面を+78互角と評価されています。この後の展開は、先手は不安定に見える後手の角を責めていき、後手は△3三銀で壁形を解消してから△7三桂と攻めの体制を作っていく手が想定されると思います。
今回は、この辺りで失礼します。
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