香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記24 対先手四間飛車 右四間飛車エルモ囲い

こんにちは

竜王戦決勝トーナメントで伊藤匠六段の快進撃が止まりませんね。先週1回戦、2回戦と勝ち進み、3回戦では1組5位の広瀬八段に70手の短手数で快勝されました。藤井竜王と同世代で勝率も高く将来を有望視されている若手が本格的に開花しつつあるように見えます。この先どこまで勝ち進むことができるのか大注目です。

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今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番でお相手の方が四間飛車の将棋になりました。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲7六歩    △3四歩    ▲6六歩    △6二銀    

▲7八銀    △4二玉 ▲6八飛 △6四歩 - 図1    

お相手の方の四間飛車に対して、後手のこちらは飛車先の歩は保留して△6四歩と突き右四間飛車を狙っていきました。この局面で先手から▲6五歩と反発する手は、△8八角成があるので大丈夫ですね。

 

図1から

▲4八玉    △6三銀    ▲7七角    △5四銀

▲6七銀    △6二飛 ▲5六銀    △3二玉    

▲3八玉    △4二銀    ▲2八玉    △3一金

▲3八銀 - 図2

こちらが飛車を振り右四間飛車に構えた後は、双方が玉形の整備を進め先手が美濃囲いに、こちらはエルモ囲いになりました。右四間飛車とエルモ囲いの組合せは、最近はやっているように思います。私も、玉がそこそこ堅く、攻撃力が高いので特に後手番でたまに採用しています。

 

図2から
△1四歩    ▲1六歩    △9四歩    ▲9六歩    

△5一金 ▲7五歩    △3三角 ▲5八金左

△9三桂 - 図3

△3三角としてこちらの囲いはほぼ完成です。先手から▲7五歩とされたため、こちらの右桂を中央に使いづらくなりましたが、地球の裏側9筋に跳ねて次の△8五桂を狙いました。中盤戦の始まりです。

 

図3から

▲9七桂    △6五歩    ▲6七金 - 図4   

こちらの端桂に対して、先手も端桂で対抗してこられました。しかし、この手は疑問手だったようで、先手7七の角の支えが無くなってしまったため、こちらから△6五歩として先手が困っているように思いました。止む無く▲6七金と対抗してこられましたが、守りの金が上ずる手でもありこちらが指しやすくなったかなとみていました。

 

図4から

△6六歩    ▲同 金 △6五歩    ▲7六金    

△7七角成  ▲同 金    △3三角    ▲6七飛

△6六歩    ▲6八飛    △6五銀 - 図5   

後手指しやすくなりましたが、ここから優位をどう拡大できるかといった局面でした。本譜は、角交換をしてから再び△3三角打と進めましたがあまり良くなかったようです。△6五歩打とした局面で、AI先生は△9五歩から桂馬を入手して△6五桂を狙う手順を推奨されていました(図A)。▲同金は△7七角成、▲同銀は△同銀 ▲同金 △7七角成、先手角が逃げる手は△5七桂成があります。なるほどの手順がありました。

 

図5から

▲同 銀    △同 飛    ▲5六角 △6七銀    

▲6五角    △6八銀成  ▲8二飛    △6七歩成 - 図6 

本譜形勢は互角まで戻ってしまいましたが、悪くなったわけではありませんでした。銀交換を果たし、飛車取りに▲5六角打とされましたが、強く△6七銀打と切り返し飛車も交換となりました。▲2二飛打と飛車を先着されましたが、こちらのエルモ囲いが健在でとても心強い限りです。△6七歩成とと金を作り、終盤の攻め合いとなりました。

 

図6から

▲7六金 △5八と    ▲3九金    △9九角成  

▲6三歩 △6一香 - 図7  

先手金取りを交わして▲7六金としましたが、終盤でこの一手はつらいところでした。こちらはと金を寄せてから△9九角成として香得になりました。これに対して、先手も▲6三歩打とと金づくりを狙ってきましたが、駒得を活かしてしっかり▲6一香打としました。盤面をみると、先手の▲7六金が遊び駒となっているのがつらいようにみえます。

 

図7から

▲5二銀    △同 金    ▲同飛成    △4四馬    

▲6一龍 - 図8

先手も▲5ニ銀打として食い下がってこられましたが、こちらも万全を期して△4四馬と引きつけました。”馬は金銀3枚分”で心強いです。止む無く先手▲6一龍として駒損を回復してこられましたが、ここからこちらは寄せに移ります。

 

図8から

△4八銀 - 図9   ▲4六香    △3九銀不成 

▲同 玉    △4八と    ▲2八玉 △3八と    

▲同 玉    △4八金 - 図10   ▲同 玉    

△5八飛    ▲3九玉 △2八銀 ▲4九玉    

△5九成銀 まで後手の勝ち

図9の△4八銀が狙いの寄せでした。△4四馬の利きがあって、この手が詰めろになっています。先手▲4六香と攻めてこられましたが、本譜の通り△4八とや△4八金打(図10)と捨てる手があり、先手玉は詰みとなりました。

一局を通して、中盤の端桂から先手陣を揺さぶりペースを掴むことができました。途中こちらの緩手で寄りが戻ってしまいましたが、エルモ囲いの堅陣を活かして確実な攻めができたかなと思います。右四間飛車エルモ囲いの優秀性を改めて感じた一局となりました。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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