こんにちは
王座戦挑決トーナメント準決勝で藤井七冠が羽生九段に勝たれましたね。八冠ロードの第一関門突破といったところでしょうか。挑決トーナメント決勝は豊島九段と渡辺九段の勝者、そして永瀬王座が準備万端に待ち構えています。将棋界最高峰の山に藤井七冠が挑むと言えるでしょう。注目の準決勝豊島九段と渡辺九段の一戦は、7月3日に予定されています。
今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が先手番で横歩取りの将棋となりました。
初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △8四歩
▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三桂 - 図1
先手の私が▲3四飛として横歩を取った手に対して後手△3三桂とされました。この手も昔からある定跡手順の一つだと思うのですが、あまり指されることのない珍しい一手と認識しています。最近だと時折佐藤天彦九段が採用されていると思います。
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図2から
▲5八玉 △5二玉 ▲3八金 △7二金
▲4八銀 △7六飛 ▲7七角 - 図2
双方が中住まいに玉を収めたところで、後手も△7六飛として横歩を取ってきました。これで歩の損得が無くなりました。ここで先手▲7七角と自然に指したつもりでしたが、▲2三歩打とする手があったようです。以下△2三金 ▲8四飛 △8三歩打 ▲2四歩打 △8四歩 ▲2三歩成となった局面(図A)は、先手二枚替えの駒得で飛車は取られたものの飛車打ちのスキがなく、AI先生は+954先手優勢と評価されていました。勉強になります。
図2から
△1四歩 ▲3六歩 △1五歩 ▲2四歩
△7五飛 ▲3七桂 △7四歩 ▲6六角
△8五飛 ▲8八銀 △7三桂 - 図3
図2で▲2三歩打をスルーしてしまいましたが、局面的に先手が悪くなったわけではなく、駒組が進みます。途中▲2四歩打としたところはいろいろ指し方があると思うのですが、△2三金とされる手を防ぐ、△1三角と覗かれる手を事前に緩和する、将来▲2三歩成として敵陣を乱す等の狙いがあります。以降後手の飛車にちょっかいを出しながら▲8八銀と上がった手に対して、後手△7三桂と二枚目の桂を跳ねて戦闘態勢を整えてこられました。桂馬が飛び交う空中戦になりそうな予感です。
図3から
▲7四飛 △2五桂 ▲7七桂 - 図4
△8六飛 ▲7六歩 △3七桂成 ▲同 銀
△6六角 ▲同 歩 - 図5
図3の局面から▲7四飛と一歩得を果たしたところで、△2五桂と開戦されてこられました。この手で後手の角筋が通り、▲2五同桂とすると△2五同飛と歩の裏側り回り込まれて飛車成が受けにくくなってしまいます。そこで、こちらも強く▲7七桂(図4)と飛車取りに桂馬を跳ねました。後手もここで激しく△3七桂成~△3八成桂と二枚替えに進める手順も考えられましたが△8六飛と自重されました。この手に対してこちらも自重気味に▲7六歩とした手が良くなかったみたいです。この一手で評価値が一気に下がり-81互角の形勢となりました。AI先生は代わりに▲2二角成~▲2五桂で駒得する手順を推奨されていました。
図5から
△8三角 ▲7五飛 △8四飛 ▲2五飛
△2二歩 ▲4六銀 △9四歩 ▲7五角 - 図6
図5で角と桂馬が持ち駒となりました。▲6六同歩となり先手玉のコビンが空いてしまい気持ちの悪いところです。ここから後手に飛車取りの△8三角打とされましたが、あまり良くなかったかもしれません。というのも後手の飛車の可動域が8三の角で塞がってしまい、図6の局面まで進むと後手の飛車が窮屈な感じになっています。
図6から
△5四飛 ▲4八金 △9五歩 ▲6五歩
△6二金 ▲5五銀 △9四飛 ▲6七金
△6五桂 ▲8四歩 △7七桂成 ▲同 銀 - 図7
図6以降先手としては、飛車を圧迫して盛り上がっていく方針になりました。途中▲4八金や▲6七金と先手玉のキズを消しつつ▲5五銀~▲8四歩打として後手の飛車角を抑え込みました。図7の局面は、遊び気味だった左の銀も手順に玉に近付き働いてきて先手好調です。
図7から
△7二角 ▲8六桂 △9三飛 ▲8五桂
△9二飛 ▲7四桂 △6一金 ▲7三桂成 - 図8
△6五桂 ▲6六銀上 △6四歩 ▲7二成桂
△同 銀 ▲6四銀 △6三桂 ▲5三銀成
△5一玉 ▲6四角 - 図9
局面は、先手優勢になっています。ここから持ち駒の桂馬2枚を使って気持ちの良い手順で進めれました。後手は、飛車角が完全に封じ込められているのが痛いところです。
図9から
△5二歩 ▲6二歩 △7一金 ▲6五銀
△5三歩 ▲同角成 △5二歩 ▲6四馬
△7三歩 ▲8三桂 △8一金 ▲9一桂成
△同 金 ▲8三歩成 △同 銀 ▲6三馬
△7四銀 ▲同 銀 △同 歩 ▲5六香 - 図10
△5三桂 ▲同香成 △同 歩 ▲5二銀
△4二玉 ▲5一角 までで先手の勝ち
終盤は、もっと良い手順があったかもしれませんが、後手の玉頭に攻め駒を残しつつ確実な手を選びました。▲5六香打とした手で後手玉は受けが難しく勝ち切ることができました。
一局を通して、横歩取り3三桂から手将棋模様となり中終盤は桂馬が多く働く派手な将棋となりました。そんな中でも▲4八金、▲6七金と丁寧に玉形を整えつつ、後手の大駒を抑え込む展開に持ち込み良くすることができました。
今回は、この辺りで失礼します。
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