こんにちは
今回は以前行った後手角換わり早繰り銀についての考察を引き続き行っていこうと思います。前回の考察では、22手目に後手が早繰り銀を目指して△7四歩とした手に対して、先手がいきなり▲4五桂と跳ねてくる手順を調べました。この手が成立すると後手が早繰り銀に誘導することが難しいのですが、後手がまずまずの展開に持ち込むことができました。今回は、▲4五桂に代わって▲7八金として後手の早繰り銀を先手が受ける展開を調べていきます。後手番目線の局面を示していきます。
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7六歩 △3二金 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △3三銀 ▲4六歩 △4二玉
▲3七桂 △7四歩 - 図1 ▲7八金
△7三銀 ▲4七銀 △6四銀 ▲2九飛
△4四歩 - 図5
先手の▲7八金は必要な手で、誤って▲4七銀と早まると△7五歩~△6五角打(図B)で後手馬を作ることができます。後手は早速△7三銀~△6四銀と予定通りに早繰り銀を繰り出し、仕掛けのタイミングを窺います。本譜先手の▲2九飛に対して△4四歩としましたが、ここで△7五歩から仕掛けるのは、▲同歩 △同銀の局面で▲2四歩(図C)が気になる反撃です。早繰り銀に対する手筋のカウンターで、△同銀には▲5五角(飛香両取り)、△同歩には▲2五歩打と継ぎ歩をして△同歩に▲同飛として十字飛車(銀桂両取り)を狙っています。本譜の△4四歩は、先手の▲5五角を未然に防ぐ意味があって、▲2四歩に△同銀とできるようにしています。
図5から
▲4八金 △5二金 ▲9六歩 △9四歩
▲5八玉 △3一玉 ▲5六歩 - 図6
駒組が進みます。後手からの早繰り銀を見せられており、先手は7筋8筋方面に玉を囲いにくい感じがします。右玉にする作戦もありそうですが、先手番としてはやや消極的かもしれません。そこで▲5八玉と中住まいに構えました。これに対して後手も一旦△3一玉と玉を深く囲い間合いを図ります。ここは先手の指し手の分岐点で▲5六歩(図6)と▲5六銀が考えられます。今回は▲5六歩をみていきます。
図6から
△4二金右 ▲6六銀 △7三桂 ▲7七銀
△6五桂 ▲6八銀 - 図7
後手は△4二金右と引き締めほぼ囲いは完成です。先手が動いてこなければ△7五歩と早繰り銀を発動してよいと思います。これを察知して先手は▲6六銀と上がります。ここで後手は飛車先の歩交換ができそうですが、AI先生は推奨しておらず代わって本譜の△7三桂と遊び駒を活用する手を推奨されていました。桂馬を跳ぶと早繰り銀に行きにくくなるのを見越して先手▲7七銀と引いて後手の飛車先を受けますが、颯爽と△6五桂と跳ねて後手が仕掛けていきます。この桂跳ねを咎めるべく先手▲6八銀と引いた局面は後手の攻めが繋がるか、先手が受け切るかといった局面になります。
図7から
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩
△7六飛 ▲7七桂 △3五歩 ▲6六歩
△同 飛 ▲6七銀 - 図8
後手忙しい局面ですが、△8六歩から飛車先の歩を交換して▲8七歩に対しても△7四飛と横歩を取り攻めの継続を図ります。ここで縦に引き下がるようでは▲6六歩打から桂損となり形勢を損ねそうです。▲7七桂の受けに対しても△3五歩と戦線を拡大しますが、先手も▲6六歩打~▲6七銀として後手の飛車を責めてきます。
図8
△7七桂成 ▲同 金 △6五飛 ▲7六銀
△8八角 - 図9 ▲6五銀 △7七角成
▲7一飛 △2二玉 ▲6四銀 △同 歩
▲4九玉 △5九銀 ▲2四桂 - 図10
後手の飛車が危ういですが、一旦△7七桂成としてから△6五飛と逃がします。しかし、▲7六銀とされると飛車の逃げ場は無さそうです。ここで、△8八角打が攻めの継続手で仮に金が逃げると△6六角成で馬が手厚そうです。そこで先手も金は見捨てて後手の飛車を入手して▲3一飛打として反撃してきます。後手の△5九銀打と先手の▲2四桂打はそれぞれ厳しい攻めの手で、激しい終盤戦が予想されます。ここで、一区切りとしたいと思います。図10の局面は、飛車金交換で先手が駒得となっていますが手番が大きそうにみえます。また、先手から▲3二桂成とされても△同金とした形がまだしっかししているのも後手としては心強いです。AI先生はこの局面を-263互角と評価されており、△4八銀成~△6六馬もしくは△5七桂打~△4八銀成として後手が先手玉を寄せ切れるかといった展開が予想されます。
次回は、図6の▲5六歩に代わって▲5六銀と腰掛銀にして早繰り銀に対抗する手を見ていこうと思っています。
今回は、この辺りで失礼します。
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