こんにちは
JT杯将棋日本シリーズの渡辺明九段と佐藤天彦九段の一戦が行われましたね。結果は既報の通り、先手番の渡辺九段が勝利されました。後手番となった天彦九段が意表の三間飛車を採用し相穴熊のねじり合いとなりました。近年、先手番の勝ちやすさが良く言われている中、トッププロが後手番での作戦選択に苦心されているのが窺われます。勝利された渡辺九段は準決勝で豊島九段と糸谷九段の勝者と対戦されます。
さて今回は、新しい戦型の考察を始めようと思います。AI界隈では「角換わり腰掛銀は先手が必勝」となっているらしく、私も最近後手番で角換わりの将棋を受ける気になれませんでした。そのような状況の中、王座戦第一局で永瀬王座が堂々と藤井竜王名人の先手角換わりを受けて、勝利された際に用いられた戦法が後手早繰り銀でした。昔は角換わり三大戦法(腰掛銀、早繰り銀、棒銀)はジャンケンの関係にあり、腰掛銀に対して早繰り銀は分が悪いとされていましたが、今一度AI先生に教えて頂こうと思った次第です。早速みていきましょう。
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7六歩 △3二金 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △3三銀 ▲4六歩 △4二玉
▲3七桂 △7四歩 - 1図
対先手腰掛銀の考察を行うにあたり、後手番目線の局面図を示します。1図までの進行は一般的な手順と思います。後手が早繰り銀を目指すには、図Aのような王手飛車の筋を防ぐため、△1四歩もしくは△4二玉が必要になります。本譜は先手からの▲4五桂跳ねを未然に受けつつ、図Aの王手飛車を防いで△4二玉としています。早繰り銀に進めるためには図1の△7四歩は必要な一手ですが、飛車のコビンを空ける手でもありこの瞬間先手から▲4五桂からの速攻が気になるところです。
図1から
▲4五桂 △2二銀 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △7三銀 - 図2
▲4五桂に対して、咎めるならば△2二銀しかありません。△4四銀と桂先の銀で受ける手もありそうですが、この展開は桂馬がただで取られることが無く先手十分にみえます。△4四歩打を見せられて先手忙しいですが、▲2四歩から飛車先の歩を交換していきます。ここで、△7三銀が飛車のコビンを防ぎつつ飛車の横利きを通す味の良い一手にみえます。
図2から
▲6六角 △4四角 ▲3四飛 △6六角
▲同 歩 △2三銀 ▲3五飛 △2六角 - 図3
図1の局面で、▲2二飛成~▲5三桂成~▲3一角打の強襲がありそうですが、△4四玉として耐えていそうです(-1,344後手優勢)。飛車の横利きが通っていて2二の金にヒモがついています。図2のところ△7三桂だとこの強襲を食らっていました。先手は▲6六角打~▲3四飛と横歩を取って攻めの継続を図りますが、△4四角打~△6六角から強く△2三銀と飛車取りに上がります。やむを得ず▲3五飛と逃げますが、△2六角打ちが王手飛車となります。
図3から
▲6八玉 △3五角 ▲同 歩 △3七歩 - 図4
先手▲6八玉と逃げて飛車角交換が行われます。序盤は飛車より角と言われますが、本譜は△3七歩打から飛車打ちのスキを作って攻めが続きそうです。図4の局面をAI先生は+5と評価されており優劣に差はありませんが、後手陣に角打ちのスキもなくまずまずの展開かなと思います。今回はここで一区切りします。図1の局面から▲4五桂速攻をみてきましたが、後手も対応できそうです。次回から、後手早繰り銀の攻防を調べていこうと思います。
今回は、この辺りで失礼します。
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