香車は下段から

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考察22 対後手雁木03

こんにちは

SUNTORY 将棋オールスター東西対抗戦2023ファン投票の結果が出ましたね。

東日本地区

1位 羽生善治 九段 14,217票

2位 渡辺 明 九段 13,276票

3位 永瀬拓矢 王座 12,688票

西日本地区

1位 藤井聡太 竜王・名人 32,604票

2位 豊島将之 九段 13,852票

3位 菅井竜也 八段 8,498票

順当な結果でしょうか。私の投票は、東:羽生九段および佐藤天彦九段、西:豊島九段および斎藤慎太郎八段だったので5割の当選率でまずまずでした。惜しくも落選された天彦九段と斎太郎八段には、何とか予選を突破できるよう応援したいと思います。

allstartouzaitaikou.shogi.or.jp

 

さて今回は、以前に引き続き対後手雁木について考察していきたいと思います。前回、前々回は、基本図から▲7八銀と▲7七角を調べましたが、今回は、3)▲7八玉(図24):玉を深く囲う手順について調べていこうと思います。

 

gedankyosha.hatenablog.com

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初手から

▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    

▲2五歩    △3三角 ▲4八銀    △4二銀    

▲6八玉    △4三銀    ▲5八金右  △3二金 - 基本図

▲7八玉 - 図24    △8四歩    ▲3六歩    

△8五歩    ▲7七角    △6二銀 ▲8八銀    

△5二金    ▲3七銀    △7四歩    ▲3五歩 - 図25   

先手の方針は、玉をそこそこに囲ってから右銀を使って後手の角頭を攻めることです。後手からの飛車先の歩には、▲7七角と上がってしっかり受けます。先手の角頭も将来的には不安がありますが、先手の利を活かして▲3五歩から早速攻めていきます。

 

図25から

△同 歩 ▲2六銀    △3四銀    ▲5六歩    

△5四歩    ▲6八角 - 図26   

後手の△3五同歩に対して、2筋から銀を繰り出して行きます。4筋から繰り出して行くのは、後手からの△4五歩が気になります。これに対して後手も一旦△3四銀と歩を守りますが、先手の▲5六歩~▲6八角が良さそうな手順です。飛車を2筋に置いたまま、角で3五歩を狙っていきます。前回までの手順では、玉が6八にいるため角を引くことができず、飛車を3筋に動かした瞬間に△4五歩と後手から角を捌く手順が嫌な感じでした。

 

図26から

△4二角 ▲3五銀    △6四角    ▲2六飛 - 図27   

△3五銀    ▲同 角    △1九角成 ▲2四歩 - 図28

先手予定通り角の利きを活かして3五の地点で銀交換を目指します。これに対して後手も、△6四角と上がり先手の飛車を狙います。この局面でAI先生は、香損を甘受する▲2六飛(図27)を推奨しています。仮に、▲3七歩打と飛車取りを受けると、以下△3五銀 ▲同角 △3六歩打(図B)と執拗に飛車のコビンを狙われて先手面白くなさそうです。本譜以下△1九角成で香車を奪われますが、▲2四歩が狙いの反撃で、△同歩とすると▲同角が王手となり先手が2筋を突破できそうです。

 

図28から

△1五銀    ▲3六飛    △3三歩    ▲2三歩成  

△同 金 ▲4六角    △同 馬    ▲同 飛    

△2四銀 - 図29

△2四同歩とできない後手は、止む無く△1五銀打と先手を取りながら受けます。ここに銀を打つのはちょっと辛そうです。これに対して先手の▲3六飛がまた3ニの金を狙っているため、ここでも後手は△3三歩打と辛抱する必要がありそうです。▲2三歩成で後手の金を上ずらせてから、▲4六角として後手の馬を消します。後手が遊んでいる銀を△2四銀と引きつけた局面で、先手の指し手にa) ▲3二角とb) ▲4四飛が考えられそうです。

 

図29からa) ▲3二角

△2二金 ▲5四角成  △3五銀 - 図30   

▲1六飛    △1四歩    ▲5五歩    △1五歩 

▲6六飛    △6四香 - 図31

▲3二角は金桂両取り且つ本譜の▲5四角成を狙って自然な手にみえますが、△3五銀と出られると飛車が危うくなります。以下、飛車を追い回されて△6四香とされた局面は、AI先生の評価値で-22互角となっており先手面白くなさそうです。

 

図29からb) ▲4四飛

△3五銀 ▲5四飛    △4三角    ▲7四飛    

△7三香    ▲5五角    △8六歩 ▲8四銀 - 図32    

△6四歩    ▲同 飛    △3四金    ▲3七桂 - 図33

▲4四飛から先手は後手の歩を次々に取っていきます。中段の飛車が取られそうになりますが、▲5五角打~▲8四銀打(図32)とギリギリ攻めの継続を図ります。後手遊んでいる金を△3四金と中央方面に活用しますが、先手も▲3七桂と力をためます。

   

図33から

△5四歩 ▲6六角    △2六銀    ▲3五歩    

△同 金    ▲2二歩    △6三銀 ▲同飛成    

△同 金    ▲2一歩成 - 図34

後手は△2六銀と上がり先手の桂馬を狙ってきますが、先手も▲3五歩で金を上ずらせてから ▲2二歩と後手の桂馬を狙います。桂馬を取り切ると▲3五歩の効果で▲3三角成を狙えます。本譜△6三銀から先手が飛車を切って▲2一歩成と桂馬を取った図34局面で一区切りにしたいと思います。駒割は飛香と銀桂+と金+2歩得で先手がやや駒得で、玉の囲いは先手の方が断然堅いです。AI先生も+678先手有利と評価されていました。13手目▲7八玉をみてきましたが、3五の地点での銀交換を飛車でなく角で行うことにより、後手の切り札の△4五歩からの捌きを抑えることができ、以下AI先生の手順例ですが先手が指しやすそうな感じでした。対後手雁木に対する考察はここまでにしたいと思います。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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