こんにちは
竜王戦の挑戦者が決まりましたね。挑戦者決定戦第二局で伊藤匠六段が永瀬王座に勝利して、2連勝となり挑戦者に決まりました。五組優勝者の挑戦者は初、二人合わせて41歳のタイトル戦は最年少記録みたいです。この竜王戦挑戦により伊藤六段は七段昇段を果たしました。20歳での七段昇段もかなり早い記録で、今後益々タイトル戦等での活躍が期待されるところです。注目の第一局は、10月6-7日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」にて行われます。大注目です。
さて今回からは、タイトルの通り「後手雁木」に対する対応を考察をしていきたいと思います。雁木は近年AIの影響で多く指されているようにみえます。角換わり腰掛銀の研究が深く進み、AI将棋界では先手が必勝とも謳われている中、角換わりを拒否して雁木に誘導することが多くなってるかもしれませんね。
初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩
▲4八銀 △4二銀 ▲2五歩 △3三角
▲6八玉 △4三銀 ▲5八金右 △3二金 - 基本図
「後手雁木」と言っても幅が広いので後手が早々に角道を止めて、振り飛車を匂わせながら駒組を進めた以下の局面を基本図としたいと思います。基本図と同一局面はプロ棋戦ではあまりありませんでしたが、2017年12月28日に行われた王座戦一次予選藤井聡太四段対豊川孝弘七段戦で現れました。
この局面では指し手が多く考えられますが、
1)▲7七角:守りの囲いを保留する
2)▲7八銀:美濃囲いに組む
3)▲7八玉:玉を深く囲う
以上の3つの指し手について考察しようと思います。上記の藤井四段の王座戦予選では▲3六歩を指されていましたが、1)~3)の手順で進めてもいずれは必ず▲3六歩と指すことになりそうです。
基本図から 1)▲7七角 - 図1
△6二銀 ▲3六歩 △7四歩 ▲3七銀
△7五歩 - 図2
▲7七角の後、先手は▲3六歩として攻めの銀桂の活用を図ります。一方の後手も△7四と先手の角頭にプレッシャーをかけ、先手が▲3七銀と繰り出したタイミングで早速△7五歩と突っかける手があるようです。後手は飛車先を突いておらず、最短の手順で角頭を攻めている感じです。
図2から
▲同 歩 △7三銀 ▲2六銀 △6四銀
▲3五歩 △4五歩 - 図3
双方銀を繰り出し角頭を攻めていきます。後手は4三の銀いるのですが先手は角頭が無防備となっており気持ち悪いところです。▲3五歩と突っかけた局面で△4五歩と角交換を挑むのがタイミングなようです。先手の右銀が遊び駒になりそうです。
図3から
▲3三角成 △同 金 ▲8八角 △9五角 - 図4
▲7八玉 △7五銀 - 図5
▲3三角成に△同金とした後手の形が手厚いです。▲2六銀の前進を阻んでいます。そこで▲8八角打として2筋に利きを増やすしますが、△9五角の王手が痛そうです。▲7八玉の一手に△7五銀と歩を回収しながら先手玉にプレッシャーをかけます。
図5から
▲5五角 △6四銀 ▲9六歩 △5五銀
▲9五歩 △4四銀引 - 図6
図5から先手は、▲5五角と飛車取りに飛び出しつつ先手玉左辺の壁形を解消します。しかし、△6四銀としっかり受けられ勢い角交換となりますが、△4四銀と引きつけた図6の局面は後手が手厚そうにみえます。AI先生も-95互角と評価しており、先手としては不満かもしれません。
図5から
▲6八金上 △7二飛 ▲9六歩 △7七歩 - 図7
▲同 金 △8四角 ▲6九玉 △3五歩
▲同 銀 △7三角 ▲1八飛 △3四歩
▲2六銀 - 図8
図5の局面に戻って、▲6八金上とする手もあるようです。金無双の形で、先手玉が右辺に動けるようにしています。後手は、飛車先歩突きの形を活かして△7二飛と袖飛車にして先手玉を睨みます。大駒2枚に睨まれた形の先手玉ですが、▲9六歩として後手の角に働きかけようとしますが△7七歩が痛そうです。▲同桂は後に桂頭を狙われそうですし、▲6九玉と逃げるのも効かされにみえます。但し本譜の▲同金も金が上ずり良い形ではないです。図8の局面で一区切りにしたいと思います。駒割は先手の一歩得ですが、大駒の働きが大差で後手の方が指しやすそうに見えるのですが、AI先生の評価は+203互角となっていました。そういうものなのでしょうか、難しいです。
今回は、この辺りで失礼します。
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