香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

考察21 対後手雁木02

こんにちは

藤井聡太七冠と佐々木大地七段のタイトル戦12番勝負がようやく終わりましたね。結果は、藤井七冠が棋聖戦3勝1敗、王位戦が4勝1敗でいずれも防衛されました。佐々木七段得意の相掛かりを連投しましたが2勝をあげるのがやっとというところでした。全般的に、中終盤で佐々木七段がAI先生の評価で55~60%とやや優勢になる局面がどの将棋でもあったと思うのですが、そこから勝ち切るのが大変にみえました。この二人のタイトル戦は今後もまだまだあると思います。注目です。

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さて今回は、以前に引き続き対後手雁木について考察していきたいと思います。前回は、基本図から▲7七角と囲いの囲いを保留する指し手を調べましたが、角頭から攻められるのが気に入らない感じでした(図6・図8)。

考察20 対後手雁木01 - 香車は下段から

初手から

▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △4四歩    

▲2五歩    △3三角 ▲4八銀    △4二銀    

▲6八玉    △4三銀    ▲5八金右  △3二金 - 基本図

そこで今回は、基本図から2)▲7八銀(図9)として美濃囲いに組む手順をみていきたいと思います。

 

基本図から 2)▲7八銀 - 図9   

△5二金    ▲3六歩    △8四歩    ▲7七角    

△8五歩 - 図16 ▲3七銀     △6二銀    

▲4六銀    △7四歩    ▲3五歩 △7三銀 - 図10    

先手▲7七角で壁形を解消してから早速右銀を繰り出していきます。▲3七銀のところで▲4六歩とためる手は後ほど調べます。一方の後手は、△5ニ金と囲ってから飛車先の歩を突いていきます。先手の早繰り銀が攻めてきているので、後手玉は居玉で先手の攻めから離れたままとするのが良さそうです。先手早速▲3五歩と後手の角頭から攻めます。この歩を取ると手順に銀が5段目に進出してしまうので、放置して△7三銀と後手力を貯めます。

 

図10から

▲3八飛    △4五歩    ▲3三角成 - 図11

△同 桂    ▲3四歩    △同 銀 ▲同 飛    

△4六歩    ▲同 歩    △4三金右  ▲3六飛    

△3四歩 - 図12

先手が攻めの継続を図り▲3八飛と寄った瞬間に△4五歩のカウンターを放つのがタイミングのようです。銀取りと同時に狙われそうな角の筋を開け一気に捌きます。誤って▲4五同銀とすると角交換から△2七角打の飛車銀両取りがあるので、先手はこの歩を取れません。図12の局面は、先手1歩得で角銀を手持ちにしていますが角打ちのスキが多くありそうで、AI先生は-63互角と評価されています。

局面を図10まで戻して、▲3八飛に代えて▲3四歩とする手順をみていきたいと思います。

 

図10から

▲3四歩    △同 銀    ▲3六歩    △4五歩 - 図13   

▲3五銀    △7七角成 ▲同 銀    △6四角 - 図14   

▲3七角    △同角成    ▲同 桂    △3五銀

▲同 歩    △6四角 - 図15

▲3四歩~▲3六歩打は銀を前進させるための手筋ですね。次に▲3五銀ぶつけを狙っているのですが、ここでも△4五歩のカウンターが飛んできます。予定通り▲3五銀と出ますが、角交換から先手の飛車を狙っての△6四角が受けにくそうです。図15となると先手の桂頭のキズもあり先手苦戦にみえます。AI先生も-234互角と評価されていました。

先手単純に早繰り銀で攻めるのは△4五歩のカウンターが強敵で、差はそれほどないものの戦果が上がらず面白くなさそうです。

局面をさらに18手目の局面まで戻します。先ほどはここから▲3七銀としましたが、▲4六歩とためる手をみていきたいと思います。

図16から

▲4六歩    △6二銀    ▲3七銀    △7四歩    

▲2六銀    △7三桂 ▲3五歩    △7五歩 - 図17   

▲4六歩は先手の銀の動きを保留する、後手狙いの△4五歩に備える(▲同歩と取れる)、将来的に△6四角で飛車を狙われる筋を緩和する等の意味があると思います。本譜▲3七銀のところ▲4七銀~▲3七桂とする将棋もあるかなと思いますが、AI先生の候補手上位には挙がってきませんでした。4筋には進めないので本譜は▲3七銀~▲2六銀と2筋に銀を進めてから▲3五歩と開戦します。先ほどと同様に後手この歩は取れません。この間、後手は足の速い桂馬を活用して先手の棒銀に対抗しており、▲3五歩を無視して△7五歩と攻め合います。

 

図17から

▲3四歩    △同 銀    ▲7五歩    △8六歩

▲同 歩    △8八歩    ▲同 角    △8六飛    

▲8七歩 - 図19

先手▲3四歩と取り込んでから、一旦▲7五歩と角頭の歩を払います。ここから後手は△8六歩~△8八歩打~△8六飛と歩を駆使して飛車を捌きます。先手▲8七歩と受けたところで、後手は飛車を逃がしますがa)△4六飛とb)△8四飛が考えられそうです。

 

図18から a)△4六飛

▲7四歩    △6五桂    ▲5五角 - 図19   

△4五歩    ▲4四歩    △8八歩 ▲7七桂    

△同桂不成  ▲同 銀    △7六歩 - 図20

▲6六銀    △4九飛成 ▲4八金    △3九龍    

▲3八金    △2八龍    ▲同 金 - 図21

△4六飛に対して、▲7四歩打~▲5五角が狙いの一手で、飛車香両取りと▲7三歩成の狙いがあります。後手は△4五歩として先手の急所の角を消しにかかりますが、▲4四歩打とこれを拒否するのが冷静な手です。後手忙しい局面ですが、8筋7筋に歩を駆使して攻め立て先手としても気持ち悪いところです。後手の龍を消した図21の局面をAI先生は+253互角と評価されていました。先手から確実な攻めが約束されており、△4八飛と王手されても、2八の金に5五角のヒモがついているため▲5九玉で凌げるようです。

 

図18から b)△8四飛

▲7九玉    △4五歩    ▲3三角成  △同 桂    

▲7四歩    △同 飛 ▲8三角    △8四飛    

▲5六角成  △7七歩 - 図22   

△8四飛に対しては、先手一旦▲7九玉と深く囲います。これに対して後手は、△4五歩から角交換を挑みます。先手▲7四歩から馬を作ることができ好調にみえますが、後手も△7七歩打が狙いの一手です。▲同桂は△7六歩を狙っています。

 

図22から

▲同 銀    △8七飛成 ▲7八金    △8四龍    

▲7四歩    △8五桂    ▲7六銀    △7七歩

▲8八金    △8六歩    ▲6六歩 - 図23

本譜先手は▲7七同銀として後手の△8七飛成を甘受します。龍を作られても▲7八金として潰れてはいないようです。以降後手が7筋8筋に歩を使って責め立て、先手が▲6六歩と馬を玉頭に効かした局面で一区切りにしたいと思います。図23の局面は、先手の陣形はバラバラで指しこなすのに力が要りそうです。また、2六の銀が中途半端で遊んでいるのが気になります。一方の後手は、居玉ですが囲いはまとまっています。現状歩切れですが、一歩でも入れば△7五歩~△9七桂成~△8七歩成とする狙いがありそうです。AI先生は、この局面を+16互角と評価されていました。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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