香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

考察33 相掛かりヒネリ飛車 その3

こんにちは

竜王戦ランキング戦が進んでいますね。先日は、6組の決勝が行われ高勝率を叩きだし続けていて将来が有望視されている藤本五段が優勝を果たされました。決勝の相手は奨励会員で15歳の山下数毅三段でした。途中まで藤本五段を相手に指しやすい形勢でいましたが、一瞬のスキを突いて藤本五段がプロの貫録を示す形となりました。今回山下三段には勝てばプロ四段昇段のチャンスがあっただけに残念な結果となりましたが、今後間違いなくプロ入りしてトップ棋士になれる逸材なのでしょう。今後の行く末に注目です。6組優勝を果たした藤本五段も、タイトル初挑戦を目指してどこまで上り詰めることができるのか大注目ですね。楽しみです。

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さて今回は、以前の考察に引き続き”ヒネリ飛車”についてレポートをしたいと思います。

gedankyosha.hatenablog.com

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前回までは、基本図からa)▲3九玉~▲5六歩~▲5七銀と左銀を歩の下から繰り出していく指し方を調べましたが、今回はb)▲6六歩~▲6七銀~▲5六銀と左銀を腰掛銀に構える指し方について調べていきたいと思います。

 

基本図から
▲6六歩    △3三角    ▲6七銀    △2二玉    

▲5六銀    △4四歩 ▲9七角 - 図10   

△6二金    ▲4六歩    △4三銀    ▲6八金 - 図11   

▲6六歩以降先手は銀を足早に繰り出して腰掛銀に構えます。本来であれば玉を戦場から離して美濃囲いに移したいところですが、5七の地点が薄くなってしまうため玉を4八に留めておくのが良いかもしません。▲9七角(図10)と上がり攻撃態勢は完成です。石田流の攻撃形で迫力ありますね。これに備え後手△6二金と上がり7筋から5筋にを補強します。先手ここで仕掛けるのは、玉形が薄いので左金を玉に寄せていくのは自然な手順にみえます。

 

図11から

△5四歩 ▲5八金寄  △5五歩 - 図12   

▲4七銀引  △5二金 - 図13

先手左金を▲5八金と引きつけ囲いが強化されましたが、後手からの△5四歩~△5五歩(図12)が嫌な手順です。後手に持ち歩があるため先手▲同銀とできません(△5四歩で銀が死んでしまう)。止む無く▲4七銀として攻撃力が半減しますが、ダイヤモンド美濃の堅陣が完成します。後手も△5ニ金として金駒の連結を良くした局面で、先手は a)▲8六飛から戦いを起こすもしくは b)▲3九玉と深く囲う手が考えられるかと思います。

 

図13から a)▲8六飛    

△5一角 ▲8四歩    △9三桂    ▲9五歩    

△8五歩    ▲同 桂    △8四飛 - 図14 

▲9三桂不成 △8五歩    ▲8九飛    △9三香 - 図15

ダイヤモンドの中に玉が収まっており、攻めて行きたくなるかなと思うところです。▲8六飛~▲8四歩として先手8筋逆襲を目指します。これに後手△5一角~△9三桂と備えます。△8四飛となった局面は桂馬を挟んで先手後手の飛車が向き合い何か技が掛かりそうな局面です。先手9三の桂馬を取る一手ですが、次に▲8一桂成とする含みを残す▲9三桂不成には、丁寧に△8五歩と飛車交換を拒否され△9三香となった局面は8筋、9筋を抑えられ先手の飛車角が危うくそうにみえます。

 

図14から ▲9三桂成  

△8六飛    ▲同 角    △8九飛    ▲8一飛    

△9三香 ▲9四歩 - 図16

▲9三桂成には飛車交換を行い後手が△8九飛と飛車を先着します。これに先手も▲8一飛と角にヒモをつけながら後手陣に打ち込み、▲9四歩とした局面で一区切りとします。双方7~9筋が捌け、玉の固さも互角にみえます。飛車が先手の角を挟んで同じ筋におり動きにくい感じです。この局面から後手は△4五歩や△3五桂としてダイヤモンド美濃の攻略を目指し、先手はとりあえず9三歩成として香車を取った後、何とか飛車角を動けるようにしたいところです。この局面をAI先生は互角と評価されています。若干後手よりの評価値ですが、長く読ませると変わっていきそうな感じです。

次回の考察では、図13から b)▲3九玉と深く囲う手を調べたいと思います。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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