香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記43 対先手中飛車 力戦

こんにちは

ABEMAトーナメント2024の予選が進行していますね。先日は、新リーダー中村八段率いるチーム中村がフルセットの末チーム渡辺に勝利しました。序盤は、岡部四段が3勝あげる活躍を見せてチーム勝利に王手を掛けましたが、ここからチーム中村の粘りが素晴らしくフルセットの渡辺対決を和史六段が勝ち切りました。中村八段、佐々木大地七段、渡辺六段全員の粘り強い棋風がそのままチーム戦に発揮された感じでした。対戦相手は嫌でしょうね。今後も楽しみです。

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さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で先手の方の中飛車に対して力戦調の将棋で挑みました。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲5六歩    △8四歩    ▲5八飛    △6二銀    

▲4八玉    △4二玉 ▲3八玉    △8五歩    

▲7八金    △8六歩    ▲同 歩    △同 飛

▲9六歩    △8二飛    ▲8七歩    △6四歩    

▲6八銀 - 図1   

初手▲5七歩の中飛車宣言からのスタートとなりました。中飛車に対しては超速で対抗することが多いのですが、本局お相手の方が角道を開けずにこちらの飛車先歩交換を甘受する力戦調の将棋になりました。こちらは1歩を手持ちにしてまずまずといったところで、ここからは穏やかに駒組を進める方針です。

 

図1から

△7四歩 ▲7六歩    △6三銀    ▲5九飛    

△3二玉    ▲2八玉    △5二金右 ▲3八銀    

△1四歩    ▲1六歩    △9四歩    ▲6六角    

△3四歩 - 図2 

先手の方は▲5五歩を保留されていました。これに歩調を合わせてこちらも角道を開ける△3四歩を保留していました。端を突きながら角道を開けるタイミングを計っていましたが、▲6六角と覗いたタイミングで△3四歩(図2)を指しました。互いの角が向かい合い緊張が走りますが、上がったばかりの角を交換してくるのは指しにくいかなと思いました。

 

図2から

▲7七桂    △3三角    ▲8九飛    △5四歩    

▲8六歩    △6六角 ▲同 歩    △4四角    

▲6七銀 - 図3    △7五歩    ▲同 歩    

△7六歩 ▲同 銀    △6六角    ▲6七金    

△4四角    ▲8五歩    △8三歩 - 図4

角が向かい合ったまま駒組が進み、先手の方は飛車を8筋に転換してこられました。結局こちらから角を交換しましたが、▲7一角と打たれるのを嫌って△4四角と打っていきましたが感触が悪かったです。その後7筋でちょっかいを出したものの戦果が得られず、△8三歩(図4)と誤った局面は苦しいと感じていました。

 

図4から
▲9八香    △9三香    ▲4六歩    △4二金上  

▲4五歩    △6二角 ▲6五歩    △3三桂    

▲6四歩    △同 銀    ▲9一角 - 図5   

図4の局面をAI先生は+668先手有利と評価されていました。苦しい中盤です。苦しいながらも金無双に玉を囲い崩れないよう心掛けました。▲4五歩と角頭を攻められた手に対して、端に効かすように△6二角と引きましたが、本譜の手順を考えると△5三角が勝ったかもしれません。▲6四歩の取り込みに対して△同銀としましたが、▲9一角が厳しく刺さりました。

 

図5から

△7三角 ▲8二角成  △同 角    ▲8四歩    

△7五銀 - 図6    ▲8三歩成  △6四角 

▲8五飛    △7六銀    ▲同 金    △6七角    

▲6五飛    △3七角成 ▲同 玉    △7六角成 - 図7

飛車角交換となり苦戦が続きました。金無双の堅陣だけが頼りです。▲8四歩と角頭を攻めてこられた手に対して△7五銀は勝負手で、▲同銀には△7八角打を狙った手です。先手の方もこれを見破り▲8三歩成と突破してきましたが、△6四角と角を逃げながら3五の銀にヒモをつけギリギリの対応をしました。▲8五飛と執拗に銀を狙ってきましたが△7六銀~△6七角と捌き、▲6五飛の角の両取りに対しても△3七角成~△7六角成として勝負勝負と迫りました。

 

図7から

▲6一飛成  △4五桂    ▲2八玉    △7七馬

▲7一飛 - 図8   △3六桂    ▲1八玉    

△2八金    ▲1七玉    △4四馬 - 図9 

▲2六歩    △7一馬    ▲同 龍    △1五歩 - 図10   

▲2五歩    △1六歩 ▲2六玉    △3五銀

まで後手の勝ち

駒割はこちらの駒損でしたが、金無双の玉形がまだしっかりしていて、7七の桂取り、△4五桂の王手、7六の馬が4九金を狙っている等希望を持っていました。図7から先手当然の▲6一飛車成に対して、一旦△4五桂の王手を利かして▲2八玉をみてから▲7七馬と桂馬を取りました。この手に対する▲7一飛(詰めろ馬取り)が良くなかったようです。狙いの△3六桂の王手から△2八金で先手玉を1七に追いやり、△4四馬(図9)と王手飛車に引きつけるぴったりの手がありました。▲2六歩の受けに△7一馬と飛車を取ってこちらの玉の詰めろを解除し、▲同龍の一手に△1五歩が決め手です。”端玉には端歩”です。こちらの玉は最後まで金無双の形が残っており何とか勝ち切ることができました。

一局を通して、力戦調の将棋で指し手の選択が難しい中盤でミスをしてしまい苦しくしてしまいましたが、終盤放った勝負手が功して逆転することができました。駒損ながらも固い玉形が生きた一局でした。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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