香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記37 対先手嬉野流

こんにちは

名人戦順位戦の各クラスが佳境を迎えていますね。各クラスの昇級に向けての状況は以下の通りです。

A級(挑戦1名)

 6勝2敗 豊島将之九段 

 5勝3敗 菅井竜也八段、永瀬拓矢九段

B級1組(昇級2名) 

 8勝3敗 千田翔太八段(昇級決定)、増田康宏七段

 7勝4敗 大橋貴洸七段

B級2組(昇級3名)

 7勝1敗 大石直嗣七段、深浦康市九段

 6勝2敗 高見泰地七段、石井健太郎六段、青嶋未来六段、

 5勝3敗 村山慈明八段、阿久津主税八段、戸辺誠七段、

      松尾歩八段、谷川浩司十七世名人、渡辺和史六段

C級1組(昇級3名)

 9勝0敗 服部慎一郎六段

 8勝1敗 古賀悠聖五段

 7勝2敗 伊藤匠七段、出口若武六段、都成竜馬七段、斎藤明日斗五段

C級2組(昇級3名)

 8勝1敗 冨田誠也四段、高田明浩四段、藤本渚四段

 7勝2敗 池永天志五段、八代弥七段、岡部玲央四段、村中秀史七段

 6勝2敗 梶浦宏孝七段、石田直裕五段、佐藤慎一五段

A級とB級1組は可能性がかなり絞られてきましたが、昇級枠が3名あるB級2組以下はまだまだ多くの方にチャンスがありそうです。目が離せません。

www.shogi.or.jp

 

さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で嬉野流と対戦しました。以前一局対嬉野流の自戦記をレポートしていますのでご参考まで。

gedankyosha.hatenablog.com

以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲6八銀 - 図1   △8四歩    ▲5六歩    

△8五歩    ▲5七銀    △8六歩 ▲同 歩    

△同 飛    ▲7八金    △3四歩    ▲8七歩    

△8五飛 ▲2六歩    △4二銀    ▲2五歩    

△3三角    ▲7九角    △3二金 ▲3六歩    

△4四歩    ▲6九玉    △4三銀 - 図2   

初手▲6八銀(図1)。違和感を覚えるとともにスペシャリストと対峙して緊張する一手です。嬉野流に対しては本譜の通り、飛車先歩交換から△8五飛~△3三角として歩交換拒否~△4三銀(図2)として雁木で迎え撃つ作戦をよく用いています。いろいろな方が紹介されていると思います。

 

図2から

▲6六銀    △5二金 ▲4八銀    △4一玉 - 図3   

▲3七銀    △6二銀    ▲2六銀    △1四歩 

▲1六歩    △7四歩    ▲3五歩    △6四歩 - 図4   

駒組をする上で、△4一玉(図3)は早めに指すようにしています。これは3二金にヒモをつける意味で、これを怠ると後々▲7六角と飛金両取りに打たれる恐れがあります。何度も食らったことがあります。嬉野流は足早に銀を繰り出してきますが△3五歩は取ると銀の進出を防げなくなるので無視します。雁木の形を活かして▲3四歩の取り込みには△同銀を用意しています。

 

図4から

▲7六歩    △7三桂 ▲3四歩    △同 銀    

▲7七桂    △8一飛    ▲3五銀    △同 銀

▲同 角    △6五歩 - 図5   ▲同 桂    

△同 桂    ▲3四歩 - 図6   

中盤戦です。3筋で銀交換になった局面で△6五歩(図5)とした手は良くなかったようです。角交換になった後の△5七桂打と”ふんどしの桂”を狙ったのですが、先手の方がこちらの桂馬を取らずに打った▲3四歩(図6)が鋭かったです。ここから2筋を押し込まれて苦戦を強いられてしまいました。

 

図6から

△2二角 ▲2四歩    △同 歩    ▲2三歩    

△同 金    ▲2四角 - 図7   △2七歩

▲同 飛    △2六歩    ▲同 飛    △5七桂打  

▲同 銀    △同桂不成 ▲同 角    △2四歩    

▲同 角    △同 金    ▲同 飛    △1三角打 - 図8

▲3四歩(図6)に△4二角と逃げると▲4四角と出られ香取りが受けづらくなるので△2二角と逃げましたが、本譜の通り2筋を押し込まれてしまいました。 ▲2四角(図7)と出られこちらの角頭が受けにくい形です。苦戦を感じていましたが、ここでのAI先生の評価は-1,237後手優勢を示しており先手指しすぎだったようです。以降数手はこちらが明らかに損な手を指していたようです。▲2四同飛と走られた局面は先手優勢になっていましたが、△1三角(図8)と角取りを受けつつ先手玉頭に効かす一手に希望をつないでいました。

 

図8から

▲2三飛成  △4二金 - 図9    ▲2八龍    

△2六歩    ▲2四歩    △同 角 ▲2三金    

△1三角上  ▲2四金    △同 角    ▲3三桂 - 図10   

終盤戦です。▲2三飛成と飛車が成りこんできた一手に△4二金(図9)と駒を節約して受けたのですが大悪手だったようです。本譜▲2八龍と自陣に引き上げられたのですが、代わって▲4三銀(図A)もしくは▲4三金と玉頭から被せてこられたら絶対絶命でした。何とかスルーした後角を一枚失いましたが、相手の飛車先を垂れ歩で抑え2四の角の利きが生きている局面で ▲3三桂(図10)が飛んできました。桂馬は欲しい駒で、先手の攻め駒がいないこの一瞬がチャンスとみていました。

 

図10から

△同 桂 ▲同歩成    △同 金    ▲3四歩    

△5七桂    ▲7九玉    △4九桂成 ▲8八玉    

△6九銀 - 図11   ▲3三歩成  △7八銀成  

▲同 玉    △8九銀 - 図12 ▲7七玉    

△7八金    ▲6六玉    △6五歩    ▲同 玉    

△5四金 ▲7四玉    △8四金 

まで98手で後手の勝ち

3三で桂馬を取りあってから▲3四歩と厳しくこられましたが、この歩はもう相手にできません(△同歩は▲2三角が王手金取り)。△5七桂打から先手玉に迫り△6九銀と金に掛けていきました。この辺りはお互いに時間も無く、詰めろかどうか見極められていませんでしたが、先手は自玉に詰みなしとみて▲3三歩成。こちらはもう受けも無く、先手玉を詰ますしかありませんでしたが、さいわいにも先手玉は詰めろだったようです。2四角の利きが鋭く、△8九銀(図12)から即詰みに打ち取ることができました。本譜△7八銀成に先手▲同玉とされましたが、▲同龍でも△7九銀から詰んでいたようです。対局中は読み切れてませんでした。

一局を通して、中盤不用意な一手から2筋を攻め込まれる展開となりましたが、それほど悲観する局面でもなかったようでした。この判断を誤り以降無駄な手を続けてしまい逆転を許し、本当に苦戦となってしまいました。一瞬負けになる局面もありましたが、そこから何とか角の利きを頼りに先手玉に迫り、辛くも勝つことができました。角のおかげで勝てた一局でした。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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