香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記38 対先手四間飛車 左美濃3

こんにちは

昨日放送されたABEMA地域対抗戦は凄かったですね。チーム関西Aのトップバッター久保利明九段が怒涛の4連勝を決め、誰もが勝利を確信していたところチーム北海道東北のエース広瀬章人九段が圧巻の5連勝を果たしました。フィッシャールールへの準備不足を嘆いていた広瀬九段でしたが、対戦を続けていく中で調子をとり戻した感がありました。勝利した棋士が連続対戦するこのルール、最後まで何が起こるか分かりませんね。

times.abema.tv

久保利明|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

広瀬章人|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番でお相手の方の四間飛車となりました。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲7六歩    △8四歩    ▲6八飛    △3四歩    

▲6六歩    △6二銀 ▲1六歩    △1四歩    

▲7八銀    △5四歩    ▲4八玉    △4二玉

▲3八銀    △3二玉    ▲3九玉    △5二金右  

▲6七銀    △8五歩 ▲7七角    △5三銀    

▲5八金左  △3三角    ▲4六歩    △4四歩

▲6五歩 - 図1    

お相手の四間飛車に対して、こちらは持久戦を目指した駒組を進めました。▲3九玉から早めの▲6四歩はこちらの穴熊を警戒しているようにみえました。△3三角~△4四歩と進めたところで、▲6五歩(図1)と角道を開けてつつ飛車先の歩を伸ばしてこられました。積極的です。

 

図2から

△2二玉    ▲6六銀    △7四歩    ▲5六歩    

△3二銀 - 図2 ▲3六歩    △4三金    

▲4七金    △2四歩    ▲2六歩    △9四歩

▲3七桂    △7三桂    ▲2八玉    △8一飛    

▲5五歩 - 図3   

駒組が進みます。先手の▲5六歩~▲6六銀の早い動きをみて穴熊はあきらめ左美濃としました。こちらが後手番なので、ここら辺りは一手の遅れが大きそうです。双方高美濃に組み上げ、こちらが△8一飛と一手様子を見たところで先手▲5五歩(図3)と仕掛けてきました。

 

図3から

△8六歩 ▲同 角    △5五歩    ▲同 銀    

△8六飛    ▲同 歩    △4五歩 - 図4

▲同 桂    △5五角    ▲5三桂成  △同 金    

▲6四歩    △同 歩 ▲5八飛    △5四歩    

▲5五飛 - 図5

中盤戦です。開戦は突き捨てからですが、図3の▲5五歩に対してこちらも△8六歩と飛車先の歩を突き捨てて応手を問いかけました。本譜▲同角でしたが、▲同歩だった場合は、△5五歩 ▲同銀 △8八歩(図A)として▲同角は△8六飛、▲同飛は△6五桂が読み筋でした。本譜の▲8六同角に対しては、△5五歩から思い切って飛車角交換をしてから△4五歩と角を使っていきました。先手▲4五同桂と角銀両取りに飛んできましたが、△5五角と銀をボロッと取られる筋を先手の方はうっかりしたのかもしれません。こちらが銀得となりましたが、先手も桂馬を捌きつつこちらの金を上ずらせ、▲5八飛~▲5五飛(図5)と飛車を捌いてこられました。

 

図5から

△同 歩    ▲5四歩    △4三金 ▲6三飛    

△5二銀    ▲7三飛成  △6七角    

▲6四龍    △8九角成 ▲6三歩    △6一歩    

▲4五桂    △6七飛    ▲5五龍    △6三飛成

▲6四歩    △5四龍    ▲同 龍    △同 金    

▲5五歩    △4五金 ▲同 歩    △4六歩    

▲3七金    △3三桂打  

図5の局面はこちらの桂得でしたが、手番を握っている先手に飛車を先着され駒を回収されつつ龍を作られました。ここら辺りは苦戦を感じていました。△6七角から馬を作りましたが相手の高美濃囲いは堅く、攻め合い勝ちは望めなさそうなので△6七飛~△6三飛成(図7)と粘りに行きました。何とか龍を盤上から消すことを果たし、▲5五歩の金取りにも△4五金と金桂交換の駒損ながら手番を握り反撃の糸口を求めました。

 

図8から

▲4四金 - 図9    △4七歩成 ▲同 金    △4三歩    

▲3四金    △4五馬    ▲3五金    △5五馬

▲4六歩    △9九馬    ▲5三歩    △同 銀    

▲6三歩成  △4四銀 ▲同 金    △同 馬 - 図10    

▲4四金とプレッシャーを掛けられた局面、今見ると△4六馬として次の△4五桂を狙う手が良さそうですが、本譜は”受ける”方針で馬を自陣に引きつける指し手を選びました。馬は”金銀三枚分”と言われる守りの強さが特徴で、自陣に引きつける指し手は私の好みです。

 

図10から

▲3五銀    △5四馬    ▲5二と    △同 金

▲3四銀打  △3一桂    ▲3三銀成  △同 銀    

▲4一角    △4二金 ▲5一飛    △7六馬    

▲3四桂 - 図11   △同 銀    ▲同 銀    

△3二香 ▲3五銀    △6二銀    ▲6一飛成  

△5一金 ‐ 図12   

先手▲3五銀とこちらの馬を抑えてから▲5ニとと捨てて、ここから猛攻を受けることになりました。終盤戦です。3筋の玉頭から2枚銀で圧迫しつつ、飛車角を一段目から打ってこちらの玉に迫ってきました。誤った対応をすると一気に負けてしまいそうでしたが、△3一桂~△3ニ香と何とか猛攻を受け止めつつ、△5一金と龍角両取りに打ったあたりで何とか残せそうかなとみていました。

 

図12から

▲9一龍    △4一金引 ▲6三歩    △同 銀    

▲2五歩    △3四香    ▲同 銀    △3三歩

▲4五銀    △2六桂 - 図13    ▲2四歩    

△3八桂成  ▲同 金    △4九銀 - 図14 

▲4八金引  △3八銀成  ▲同 玉    △2六桂    

▲2七玉    △2九飛 ▲2八香    △4九角

まで140手で後手の勝ち

△4一金と先手の角を取り切り、△3四香~△3三歩で▲4五銀と先手の攻め駒を後退させることができ、優勢を意識しました。△2六桂から反撃を開始して△4九銀と先手の守りの金に銀を掛けた局面は、先手の持ち駒が受けに適しておらず先手窮しています。以降先手の金を剥がしてから、大駒を使って先手玉を寄せ切ることができました。

一局を通して、中央からの仕掛けに飛車を切って角を捌く展開になりました。以降終始先手の猛攻を受ける展開が続きましたが、馬と桂香を使って丁寧に相手の攻めを受けることができ何とか反撃することができました。AI先生の評価値の善悪はともかく、私好みの一局を指すことができたかなと思いました。馬がよく働いてくれました。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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