香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記30 横歩取り勇気流

こんにちは

今週は藤井竜王・名人の王座奪取そして八冠達成のニュースが連日流れてますね。敗れた永瀬九段もラスボスとして強さを十二分に発揮して、第3局、第4局は藤井竜王・名人本人も負け筋があったと認めている通り、勝ちにあと一歩というところまで追い詰めました。しかしながら将棋とは非情な戦いであり、1分将棋の中で正解手を指し続けることの難しさを観てとれました。今後は誰が8冠の一角を崩すことができるのかに注目が集まると思います。現在進行中の竜王戦、年明けに行われる王将戦棋王戦等目が離せませんね。

times.abema.tv

 

さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が先手番で横歩取りの将棋となりました。

 

初手から

▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △8四歩    

▲2五歩    △8五歩 ▲7八金    △3二金    

▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △8六歩

▲同 歩    △同 飛    ▲3四飛    △3三角    

▲6八玉 - 図1   

先手番でこちらが横歩を取る横歩取りの将棋になりました。先後どちらでも横歩取りの将棋は指す方なのですが、先手番の際は図1の”勇気流”を指すことが多いです。定跡本として佐々木勇気八段が出されている本が有名ですが、下記のYouTube動画もお勧めです。

youtu.be

 

図1から

△4一玉 ▲3六歩    △6二銀    ▲3七桂    

△2二銀    ▲3八銀    △2三銀 - 図2

▲3五飛    △8二飛    ▲9六歩    △8八角成  

▲同 銀    △4四角 - 図3

勇気流への対応は幾つか手段がありそうですが、本譜は△4一玉~△6二銀として玉を低く中原囲いのように進めてこられました。これに対して先手のこちらは▲3六歩~▲3七桂と攻撃態勢を作り▲3七銀でほぼ囲いは完成になります。ここで△2三銀(図2)とこられ▲3五飛と逃がしたのですが、強く▲3三飛成~▲7七角打とする手順が勝ったようです。後手も飛車を自陣に引きつけたのをみて▲9六歩として▲7七桂から2枚の桂馬を跳ねていく手順を狙いました。しかし、後手から角交換をしてこられ△4四角打と飛車銀両取りを掛けられました。飛車を逃がすと8筋を突破されるため若干ピンチかなと思ってました。

 

図3から

▲8四歩    △3五角    ▲同 歩    △8四飛    

▲6六角    △8二飛 ▲1一角成  

△3三桂    ▲2四歩    △同 銀    ▲3四歩

▲8四歩打と怪しげな歩を打ちとりあえず飛車先を止めました。△同飛とする手をAI先生は推奨されていましたが、後手の方は単純に飛車角交換をしてこられました。ここでの△8四飛が良くなかったようで、▲6六角打(図4)として飛車香両取りを掛けることができました。ここでは、△3六歩打(図A)とされていたらこちらが桂損になってしまいそうで難しかったと思います。本譜は、▲1一角成で香車を取りながら馬を作り指しやすくなりました。後手玉の6筋が壁になっており1~3筋からの攻めが厳しそうです。

 

図5から

△3六歩 ▲3三歩成  △同 銀    ▲4五桂    

△2二銀    ▲2一馬    △3一金 ▲4三馬    

△5二金    ▲6一角 - 図6   △4三金    

▲同角成    △5二角 ▲5三桂不成 - 図7

優勢を意識していましたが、盤上の攻め駒が少ないため攻めが切れる心配があります。そこで、▲6一角打や▲5七桂不成等のように盤上の攻め駒が無くならないように指し手を選びました。

 

図7から

△同 銀    ▲同 馬    △3七歩成  ▲同 銀    

△4二金 ▲5四桂    △3三銀 - 図8   

▲4二桂成  △同 銀    ▲7一馬    △8四飛

▲4六香 - 図9   

お相手の方も△4二金~△3三銀(図8)と守ってこられましたが、ここで▲5一銀打(図B)とする手があったようです。△同玉と取られますが▲6二金打~▲4二桂成~▲5二馬として後手玉は寄っていそうです。本譜はこの手順を逃しましたが▲7一馬と飛車取りに当ててから▲4六香打として後手玉の玉頭を攻めていきました。

 

図9から

△4五歩    ▲同 香    △4三歩    ▲3三歩 - 図10   

△同 銀 ▲5三銀    △4二銀    ▲5二銀成  

△同 玉    ▲6一角 - 図11   △4一玉

▲4三香成 まで先手の勝ち

攻めが切れないように、玉を逃がさないように丁寧に指そうと思いました。途中の▲3三歩打は△同銀とさせて守りを弱体化させる狙いです。最後▲6一角打の局面は、以降30手を超える詰み手順があったようですが、△4一玉に▲4三香成と手堅く指して後手の方が投了されました。

一局を通して、中盤一瞬ピンチを迎えましたがカウンターが決まり優勢となり、以降は攻めを切らさず丁寧に指すことができました。玉がそこそこ堅く、攻撃力が高い”勇気流”は優秀な戦法ですね。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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