香車は下段から

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第73回NHK杯1回戦第5局 船江六段対里見女流五冠

こんにちは

ゴールデンウィークですね。お休みを頂いてレポートを書かせて頂いています。世界コンピュータ将棋選手権も05/03~05にかけて行われるようです。人智を超える戦いでついていけないのが正直なところです。前回の32回大会は「dlshogi with HEROZ」が優勝されていました。今年は、連覇なるのかそれとも新星が現れるのか注目です。

wcsc33 - 第33回世界コンピュータ将棋選手権 (drhoshiken.com)

 

今回は、NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦第5局の船江恒平六段対里見香奈女流五冠の一戦をレポートしたいと思います。

対局予定・結果 - NHK将棋 - NHK

船江恒平|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

里見香奈|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

振り駒の結果船江六段の先手となりました。船江六段は、関西の実力者で公認会計士の資格も有する多才な棋士です。一方里見女流五冠は、言わずと知れた女流棋界の第一人者で女流タイトル獲得通算52期の歴代最強の女流強棋士だと思います。将棋は、里見女流五冠得意のゴキゲン中飛車に対して、船江六段の超速銀となりました。

 

序盤の駒組が進みます。先手が早々に角道を止め▲6七金と中央を厚くしたのに対して、後手は△5一飛~△5ニ金とあまり見ない指し手をされました。それほど時間を使っておらず里見女流五冠の研究手順なのかもしれないです。

 

先手が▲6五歩と位を取って主張した手に対して、後手も力強く△5四金と進めました。さらに△8四歩と後手が銀冠への組み替えを匂わせた手に対して、先手▲7五歩と二つ目の位を取ってこられました。駒組がもうしばらく続きそうです。

 

後手が銀冠に囲い、先手が玉を深く8八に囲ったところで、△6四歩から後手が仕掛けていきました。六筋の攻防が急所と見るや互いに飛車を振り主導権を取られないように指されていました。中盤戦です。

 

ねじり合いが続きます。先手▲6五歩打と位を確保した後、互いに桂馬を活用しました。ここで後手△3一角と味わい深く引き、おそらく次に△1三角と端角を狙った手があまり良くなかったようです。角が出てくる前に▲2四歩と突き捨てられ、角の活用が難しくなったかもしれないです。AI先生もこの局面を+627先手有利と評価されていました。

 

玉頭戦の将棋となりました。先手が角道を通しながら力強く▲6四金と前線に繰り出しましたが、後手も負けじと△7六歩~△5五銀打と先手の角を攻めました。ここで角取り構わず▲7四歩と玉頭に拠点を作っていきましたが、あまり良くなかったみたいです。形勢はまだ先手有利でしたが、だいぶ評価値が後手側に戻りました。

 

後手が先手の角を奪い△5五角打とした手が厳しかったです。角筋に先手玉がいて先手の▲6六飛車が身動きできなくなってしまいました。また、△5五角は後手の玉まわりにも効いていて攻防に働いています。先手も7三に金を打ち込み迫っていきましたが、▲6五金としっかり打たれて先手困ったかとみていました。しかし、AI先生はこの局面を‐203互角と評価されており、まだまだ難しい局面だったようです。

 

終盤戦で時間切迫の中形勢は二転三転しましたが、先手▲7二金と詰めろをかけた手に対して▲7一銀打とただ捨てで打った手が好手でした。先手は持ち駒が無く、詰めろが続かなくなりました。

 

以降も里見女流五冠が勝ちをしっかり読み切り、先手玉を即詰みに仕留めました。

一局を通して、長い中盤のねじり合いから終盤での玉頭戦が見応えありました。最後は、里見女流五冠の終盤力が光った一戦でした。里見女流五冠強いです。次局も期待大です。

今回は、この辺りで失礼します。