香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記14 相掛かり03

こんにちは

先日伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦挑戦者決定リーグ紅組で羽生九段が石井六段に勝利されましたね。現代矢倉の将棋で後手番の羽生九段が中住まいに構える趣向を見せ、終盤も△5二角の奇手を放ち見事に勝たれていました。これでリーグ戦2勝0敗で挑戦者に向けて一歩ずつ近づいているといった感じです。現在のレーティングも1865で渡辺名人、広瀬八段を抑え堂々の第4位です。

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さて、今回は私の将棋をご紹介しようと思います。私が先手番で相掛かりの将棋になりました。

 

初手から

▲2六歩    △8四歩    ▲2五歩    △8五歩    

▲7八金    △3二金 ▲2四歩    △同 歩    

▲同 飛    △2三歩    ▲2六飛    △6二銀

▲1六歩    △1四歩    ▲3八銀 - 図1

先手番となり、飛車先の歩を交換して▲2六飛と浮き飛車に構えました。最近の相掛かりは本譜と異なり、飛車先歩交換の前に端歩を突く、銀を上げる、玉を動かす等を指して形を決めないほうが主流ですね。

 

図1から

△4二銀    ▲9六歩    △3四歩 ▲7六歩    

△4四歩    ▲7七角    △4三銀    ▲6八銀    

△5四歩 ▲7五歩 - 図2   

後手は△4四歩と角道を止めて雁木の形に組んでこられました。これに対して、こちらは▲7七角と飛車先の歩交換を拒否してから▲7五歩と位を取ってヒネリ飛車調に指す作戦にしました。

 

図2から

△5三銀    ▲8八角    △6四銀    ▲9七角    

△9四歩 ▲7七桂    △4五歩    ▲7六飛    

△8四飛 - 図3

駒組が続きます。後手が右銀を繰り出してくるのに合わせて▲8八角~▲9七角~▲7七桂と駒の繰り替えを行いました。手損になるので微妙だったかもしれないです。後手は、△4五歩と角道を通しながら位を取りこちらの攻めをけん制してきました。互いに居玉のままで、もう少し駒組が続きそうです。

 

図3から

▲4八玉    △7二金 ▲3九玉    △5二玉    

▲5六歩    △5五歩 - 図4   

こちらは玉を美濃囲いに、後手はバランス型の中住まいに構えてこられました。こちらが▲5六歩と次に銀の活用を目指した手に対して、△5五歩と仕掛けてこられました。いよいよ中盤戦です。

図4から

▲5七銀    △5四銀 ▲6八金    △5六歩    

▲同 飛    △5五歩    ▲7六飛    △4四角

▲3六歩 - 図5

△5五歩からの仕掛けは後手の玉頭ということもあり、ややリスクの高い手だったかもしれません。こちらは、率直に同歩とはせず▲5七銀~▲6八金と陣形を引き締めました。△4四角と上がり角の可動域を広げた手に対して▲3六歩とした手は良くなかったようです。▲3六歩の代わりにAI先生は▲2八玉(+438先手有利)を推奨されていました。形勢は互角に戻ったといった感じでした。

 

図5から

△6五銀左  ▲同 桂    △同 銀    ▲7九飛    

△5六歩 ▲4八銀    △7六桂    ▲7八金    

△9五歩 - 図6 

△6五銀~△5六歩とやや抑え込まれそうな体制となってしまいました。△9五歩と角頭を攻められ困ったと感じていました。しかし、AI先生はこの局面で+440先手有利と評価されており、▲6六歩 △9六歩 ▲6五歩といった手順を示されていました。

 

図6から

▲5九飛    △9六歩 ▲6六歩    △9七歩成  

▲6五歩    △8八と    ▲6七金 - 図7

本譜は▲6六歩と突いた手がワンテンポ遅れた感じになりましたが、角銀交換となり▲6七金とした手の感触がよく飛車も捌けそうで状況が好転しているように感じました。次に▲5六飛の王手桂馬取りの狙いがあります。一方後手は、角道と飛車先が重い感じになってしまいました。

 

図7から

△9九香成 ▲5六飛    △5五歩    ▲7六飛    

△8七と    ▲9六飛    △9四歩 ▲5四歩    

狙い通りに王手桂馬取りが実現して好調です。先手玉は金銀3枚でしっかり守られているのも心強いです。対して後手は守りの金が離れており、▲5四歩と垂らした局面はこちらがはっきり優勢と感じていました。この歩を放置すると▲5三銀(王手角取り)、△同飛とされたら▲6六桂打~▲5四歩と後手玉頭から攻める予定でした。

 

図8から

△4三玉    ▲4六歩    △9五香    ▲6六飛    

△8八角 ▲4五歩    △2二角    ▲4四銀 - 図9

△5四玉    ▲3七桂    △6四歩 ▲4六桂    

△6三玉    ▲6四歩    △同 飛    ▲同 飛    

△同 玉 ▲7六金    △6九飛    ▲5四銀    

△6六角成  ▲6五歩    △同 馬 ▲5三銀右不成
まで97手で先手の勝ち

後手は△8八角と反撃してきましたが、飛車取りを無視して▲4四銀と玉頭から攻めかかりました。以降は▲3七桂~▲7六金~▲5四銀打と丁寧に後手玉の逃走ルートを防ぎ勝ち切ることができました。

一局を通して、中盤抑え込まれそうな局面がありましたが、何とか難を逃れ以降は中住まいの玉頭から攻め切ることができました。遊び駒が少なく、駒を上手く活用できたのではと思います。駒に感謝です。

今回は、この辺りで失礼します。