香車は下段から

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自戦記13 対四間飛車 ミレニアム

こんにちは

第16期マイナビ女子オープン第二局が行われ西山女王が甲斐女流五段に勝たれましたね。中盤甲斐女流五段が角銀を組み替える工夫を見せましたが、西山女王が7筋に歩を垂らして甲斐女流五段の無理攻めを誘発し見事に咎めたような感じでした。終盤も執拗に端攻めをした西山女王の寄せも的確でした。強かったです。第三局は5月28日に行われます。

2023年4月19日 西山朋佳女王 対 甲斐智美女流五段|五番勝負第2局|第16期マイナビ女子オープン (mynavi.jp)

 

今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番です。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲7六歩    △8四歩    ▲7八銀    △3四歩    

▲6六歩    △6二銀 ▲7七角    △8五歩    

▲6八飛    △4二玉    ▲1六歩    △1四歩 - 図1

お相手の方が角道を止めるノーマル四間飛車で来られました。端歩の打診に対して、こちらも穏やかに端歩を受けました。

 

図1から
▲4八玉    △3二玉    ▲3八銀    △5二金右  

▲3九玉    △5四歩 ▲5八金左  △4四角 - 図2

図2の手前がこちらの作戦の岐路ですが、穴熊左美濃、急戦等も考えられましたが久しぶりにミレニアム囲いを目指そうと思いました。

 

図2から

▲6七銀    △2二銀    ▲4六歩    △3三桂

▲5六銀    △9四歩    ▲9六歩    △4二金寄  

▲4五歩    △5三角 ▲4七金 △2一玉    

▲6五歩    △3一金    ▲4六金 - 図3

序盤の駒組が進みます。こちらは3三桂と跳ねて角を安定させた後、金銀を玉に寄せて低く構えます。一方先手は、高美濃囲いの金を前線に繰り出してきました。

 

図3から

△7四歩 ▲4七銀引  △3二金寄  ▲2八玉    

△5一銀    ▲5六歩    △4二銀 ▲5五歩    

△8六歩 - 図4

先手が▲2八玉と囲いに収め、こちらが△4二銀と右銀を引き付けた局面で▲5五歩と仕掛けてこられました。中盤戦です。これに対して△8六歩と飛車先を突いていったのですが、▲5四歩と角取りに歩を取り込まれていたら危なかったかなと思います。この局面をAI先生は+382先手有利と評価されていました。

 

図4から

▲同 歩    △5五歩    ▲同 金    △8六角

▲同 角    △同 飛 - 図5

先手の▲5五同金とした手が良くなかったようです。代わりに▲5四歩(図A)とされていたらこちらが苦しかったと思います。本譜は、こちらの△8六角に対して手筋の▲8八飛とすることができず(▲7七角成~▲5五馬で金が取れる)すんなり角交換から△8六飛と捌くことができこちらが良くなりました。

 

例 以下△8六角 ▲8八飛 △7七角成 ▲2二飛成


図5から

▲6四歩    △同 歩    ▲同 飛    △8九飛成

▲6一飛成  △5八歩 - 図6   ▲6七角    

△9九龍    ▲5八角    △3五桂 ▲3六銀    

△4六香    ▲3五銀    △4九香成  ▲同 角    

△4八金 ▲3四銀    △3九角    ▲1八玉    

△4九龍    ▲同 銀    △同 金 ▲2八香    

△4八金    ▲8八飛    △5八歩    ▲5四桂    

△2八角成 ▲同 玉    △3九角    ▲1八玉    

△3八金    ▲1七角    △2八銀 - 図7 

▲5八飛 △2九銀不成 まで86手で後手の勝ち

図5以降お互いに飛車が相手陣に成りこみ終盤戦です。図6の△5八歩が見えて攻めがつながりそうかなと思いました(▲同銀と取れば△4六桂打、取らなければ△5九歩成)。その後もミレニアムの堅陣を生かして攻めに集中することができ、最後は次の一手問題でよく出そうな△2八銀打で先手玉に必至をかけて勝ち切ることができました。

 

久しぶりにミレニアム戦法を採用したのですが、低くコンパクトにまとまった堅陣で互角のさばき合いができたら攻め合い勝ちが望めそうな優秀な戦法と感じました。これからも機会があれば採用していきたいと思った次第です。

 

今回は、この辺りで失礼します。