香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

第73回NHK杯1回戦第2局 古森五段対横山七段

こんにちは

ABEMAトーナメント2023のエントリーチーム予選会が放送されメンバーが決まりましたね。

Dリーグ

エントリーチーム (4993)

郷田真隆九段 (1669)

行方尚史九段 (1650)

古賀悠聖五段 (1674)

()の数字は4月9日時点でのレーティング

 

タイトル経験があり実績十分の郷田九段、名人挑戦経験もある行方九段、新人王戦準優勝経験のある若手古賀五段と面白そうなメンバーとなりました。Dリーグに入り、チーム康光とチーム糸谷と対戦します。予選を勝ち上がってきており、フィッシャールール適正は実証済なので十分活躍が期待されます。

最後の1枠は郷田真隆九段、行方尚史九段、古賀悠聖五段の“経験者”チームに!エントリーチーム確定で全15チームが出揃う/将棋・ABEMA トーナメント | ニュース | ABEMA TIMES | アベマタイムズ

 

NHK杯も第73回トーナメントがすでに始まっており、1回戦第2局の古森悠太五段対横山泰明七段の一戦が放送されました。今回はこちらの一局をレポートしようと思います。

古森悠太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

横山泰明|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

対局予定・結果 - NHK将棋 - NHK

 

振り駒の結果、振り飛車党の古森五段の先手番となりました。戦形は古森五段の三間飛車を横山七段が左美濃で迎え撃つ形になりました。横山七段が飛車先の歩を保留して玉の囲いを急いだのが工夫でしょうか。

 

駒組が進み、先手は穴熊に、後手も銀冠穴熊に組み双方玉を深く固め合いました。ここからは、5七と6ニの銀を使って攻めの体制をどう築くかが課題と思ってました。

 

先手は5五の位取り~6筋歩交換でポイントを取ったのに対して、後手も△8五歩と先手玉頭に位を取りプレッシャーをかけました。本格的な戦いはまだ始まらないような局面ですが、AI先生はこの局面を+412先手有利と評価されていました。

 

中盤戦です。3、4筋での折衝を経て後手が△3五歩と二つ目の位を取りました。先手玉からすると非常に圧迫されているようにも見えるのですが、後手玉からすると穴熊の囲いが間延びしているようにもみえます。形勢もそれほど離れていないようです。

 

以降、双方が大駒を動かし戦機も求めます。先手が▲9七桂と跳ね歩得を狙ったのに対して後手も△5四歩と先手の位に反発していきました。中盤のねじり合いです。

 

ねじり合いが続き、先手は7筋の飛車先突破を目指し、後手も銀取りに構わず手筋の歩で先手の守りの銀を攻め立てます。図6で▲4七銀と引けば△5七歩成が銀に当たり後手の攻めが加速するため先手はこの歩を取れません。以降、銀の取り合いとなり局面は終盤戦へ突入してきます。

 

指し手はますます激しくなり、双方敵陣地にと金を作り、飛車も取り合う展開になりました。手数も100手を超えましたが、この局面をAI先生は評価値‐1で互角と評価されていました。ここまで来てまだ互角はさすがプロだなと感じます。

 

先手のと金を使った攻めがうまく、後手の守りの金が上ずってしまいました。ここら辺の攻め方は勉強になります。以降も先手が着実に後手玉を追い詰め、古森五段が見事に勝利しました。

本局は、対抗形の相穴熊の一戦で終盤まで互角の大熱戦でした。穴熊の固さ遠さを生かしてまむしのと金で敵玉を崩す差し回しがとても勉強になりました。初出場で見事勝利された古森五段のトーナメントでの今後の活躍にも注目です。

今回は、この辺りで失礼します。