こんにちは
NHK杯も大詰です。日曜日に準決勝第2局藤井竜王対八代七段戦が放送されました。
藤井竜王は誰でも知るところですが、八代七段も朝日杯将棋オープン戦での優勝経験もある強豪です。今季NHK杯もこれまでに、豊川七段、渡辺名人、深浦九段、菅井八段を破って準決勝まで勝ち上がってきました。特に渡辺名人に対しては4-0と相性が良いみたいです。
今回はこちらの準決勝第2局をレポートします。
八代弥五段が歴代最年少で朝日杯将棋OP戦優勝。順位戦、昇級を決めたのは? 【2月6日~12日の中継結果まとめ】|将棋コラム|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
藤井聡太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
八代弥|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7六歩 △3二金 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲1六歩 △1四歩 ▲3八銀 △3三銀
▲3六歩 - 図1
先手となった藤井竜王が角換わりの将棋に誘導しました。早めの1筋端歩突きから▲3六歩と攻撃態勢を築いていきます。
第1図から
△6二銀 ▲7八金 △6四歩 ▲6八玉
△6三銀 ▲9六歩 △9四歩 ▲3七桂
△4二玉 ▲4六歩 △7四歩 ▲4七銀
△7三桂 ▲4八金 △8一飛 ▲6六歩
△7二金 ▲5六銀 △6二金 ▲2九飛
△5四銀 - 図2
八代七段の趣向で、△7二金~△6ニ金とわざと一手損する定跡手順を選ばれました。お互いが下段飛車とする近年流行の角換わり腰掛銀の将棋となりました。
図2から
▲7九玉 △5二玉 ▲8八玉 △4二玉
▲4五桂 △4四銀 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2九飛 △6五歩 - 図3
△4ニ玉~△5ニ玉の手待ちをする後手に対して、▲8八玉と入場した後先手から▲4五桂と仕掛けました。△4四銀と桂先の銀で受けたのに対して先手が2筋の歩交換を果たし、▲2九飛と戻った手に対して後手も△6五歩と反撃を開始しました。ねじりあいの中盤戦です。
図3から
▲同 歩 △7五歩 ▲2二歩 △同 金
▲6四歩 △8六歩 ▲同 歩 △8五歩
▲6九飛 △8六歩 ▲8二歩 - 図4
6~8筋の先手玉頭での攻防が続き、△8六歩と取り込んだ手に対して▲8二歩とカウンター気味に飛車の頭を叩いていきました。途中▲2ニ歩と巧妙な効かしも入れていました。ここまで双方指し手が早く、60手を過ぎても研究範囲内ということが窺われました。AI先生も図4の局面を評価値+18互角の評価をされていました。
図4から
△7一飛 ▲7五歩 △3二金 ▲7四角
△6八歩 ▲同 飛 △5九角 ▲5八飛
△4八角成 ▲同 飛 △8四金 - 図5
△7一飛と逃げた後、△6九角~△4八角成として後手駒損ながらも先手の飛車を中途半端な4筋に追いやり△8四金と先手の角を捕獲しにきました。先手苦戦に思われましたが、藤井竜王もカウンターを用意されていました。
図5から
▲6三歩成 △同 銀 ▲8一歩成 △7二飛
▲6三角成 △同 金 ▲6八飛 △6四歩 - 図6
△8四金の角取りに対して、藤井竜王は▲6三歩成~▲8一歩成と二枚の歩を成捨てました。▲7二角or銀があるため△8一同飛とできずと金が残りました。図6の△6四歩がAI先生的にはあまり良くない手と評価しており、ここで評価値+390先手有利に振れました。
図6から
▲6一銀 △9二飛 ▲2二歩 △6五桂
▲同 銀 △同 歩 ▲2一歩成 △4五銀
▲同 歩 △6六桂 ▲5二銀打 △7八桂成
▲同 玉 △5二飛 ▲同銀成 △同 玉
▲8二飛 △6二銀 ▲5五桂 - 図7
△8七角 ▲8八玉 △7五金 ▲7九桂
△7六歩 ▲8六銀 △同 金 ▲6三桂成
△同 玉 ▲6五飛 △6四銀 ▲同 飛
△同 玉 ▲6二飛成 まで先手の勝ち
以降は、俗にいう”藤井曲線”で形勢がどんどん藤井竜王側に傾き、▲8二飛~▲5五桂の攻めが刺さりました。最後も鮮やかに後手玉を即詰みに打ち取り、藤井竜王が決勝戦に進出することとなりました。一手の緩みもない完勝だったと思います。
決勝戦は、A級昇級を決めた佐々木勇気七段と王将位防衛を果たした藤井竜王の対戦となりました。入念な準備で当時29連勝中だった藤井四段の連勝を止めたのが佐々木勇気七段でした。相居飛車の大熱戦になることは必至で、角換わりもしくは相掛かりの最新形の将棋になるのではと思っています。楽しみですね。
今回は、この辺りで失礼します。