香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

将棋棋士01 羽生善治

こんにちは

王将戦第6局で藤井王将が勝利し、4勝2敗となり王将位防衛が決まりました。

羽生善治九段、タイトル100期獲得は持ち越しに 藤井聡太王将との“世紀のタイトル戦”に2勝4敗で敗れる/将棋・王将戦七番勝負 | ニュース | ABEMA TIMES

シリーズを通じて羽生九段の綿密な作戦準備が窺われ、大熱戦が多かったと思います。近年のトップ棋士の将棋は、AIの席巻により一手の緩みも許されないハイレベルな戦いとなることが多いように思われます。攻めの手を優先し主導権を奪う、玉の守りは最低限の手数でバランスを重視する、相手が緩い手を指したらためらわずに咎めていくといった感じでしょうか。大変ですね。一昔前の矢倉24手組が流行っていたころが懐かしいです。

矢倉24手組

羽生九段は、順位戦でB級1組に降級されたりと一時は調子を落とされていましたが、最近はタイトル戦にも登場されており、残り1期に迫ったタイトル通算100期の可能性はあると見ています。

今回は、羽生九段の益々の活躍並びにタイトル通算100期獲得を願いつつ、各棋戦における羽生九段の現状の確認および展望を考えようと思います。

 

羽生善治|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

1)竜王戦藤井聡太竜王

1組に所属。現在ランキング戦が進行中で1組ランキング戦準決勝まで勝ち残っています。準決勝の対戦相手永瀬王座に勝つor永瀬王座に負けて出場者決定戦で稲葉八段-(木村九段-都成七段の勝者)の勝者に勝つと本戦トーナメントに出場できます。

 

2)名人戦順位戦渡辺明名人

B級1組に所属。第81期の順位戦が終了して、6勝6敗の成績で第6位となりました。A級から降級する糸谷八段、佐藤康光九段とB級2組から昇級する大橋七段、木村九段、増田七段を含めた13人でA級昇級2枠を争います。”鬼の棲み処”と言われるにふさわしい棋士がそろっています。

 

3)伊藤園お~いお茶杯王位戦藤井聡太王位

挑戦者決定リーグの紅組入りをされており、初戦で幸先よく徳田四段に勝利されています。今後、紅組優勝をかけて永瀬王座、石井六段、服部五段、豊島九段と対戦されます。白組は、池永五段、佐々木太地七段、渡辺名人、増田康宏六段、富田四段、岡部四段で争われています。

 

4)叡王戦藤井聡太叡王

本戦トーナメントが佳境に入り菅井八段と山崎八段-永瀬王座の勝者で挑戦権が争われます。羽生九段は、残念ながら九段戦予選決勝で永瀬王座に敗れてしまいました。

 

5)王座戦永瀬拓矢王座

二次予選が進行中。羽生九段は、二次予選8組決勝で及川七段-佐藤康光九段の勝者と挑戦者決定トーナメント進出をかけて戦われます。

 

6)棋王コナミグループ杯:渡辺明棋王

現在渡辺棋王に藤井竜王が挑戦しており、藤井竜王が2勝1敗とタイトル獲得に王手をかけています。羽生九段は挑戦者決定トーナメントベスト4まで残りましたが、残念ながら佐藤天彦九段、藤井竜王に敗れてしまいました。

 

7)ALSOK杯王将戦藤井聡太王将

第72期王将戦挑戦者決定リーグ戦で見事6戦全勝とし挑戦者となりましたが、既報のとおり残念ながら2勝4敗で王将位獲得なりませんでした。来期は、挑戦者決定リーグからの参加となり、豊島九段、永瀬王座、近藤七段に予選勝ち上がり3名と挑戦権を争います。

 

8)ヒューリック杯棋聖戦藤井聡太棋聖

決勝トーナメントが行われています。予選で森内九段、梶浦七段を破り決勝トーナメント一回戦で斎藤明日斗五段と戦います。

 

以上の通り、羽生九段どの棋戦でもしっかり勝たれています。順位戦は”鬼”しかいないB級1組で苦戦を強いられるかもしれません。他の棋戦はタイトル挑戦の可能性が十分あると思いますが、間違いなく渡辺名人、永瀬王座、豊島九段ら現在のトップ棋士の壁を超える必要があります。各棋士との対戦成績は以下の通りです。

羽生九段 対 渡辺名人 42勝38敗

羽生九段 対 永瀬王座 5勝13敗

羽生九段 対 豊島九段 20勝26敗

永瀬王座とは相性が悪いように見えます。豊島九段には当初は若手を跳ねのける強さを見せていましたが近年は分が悪いように見えます。逆に渡辺名人には近年は分が良いように見えます。今後、竜王戦王位戦で永瀬王座に勝つことができればタイトル挑戦の可能性が高まると思います。

 

タイトル獲得の可能性で考えると、2日制のタイトル戦で藤井5冠に勝つことは非常にハードルが高いと思います。今回の王将戦でも入念な準備で互角の展開に持ち込みましたが、1日制のタイトル戦の方がより勝機があるように思います。そう考えると、

1)棋聖戦で斎藤明日斗~渡辺名人~永瀬王座に勝利して藤井棋聖に挑戦~獲得

2)王座戦で2次予選突破~挑戦者決定トーナメント優勝~永瀬王座に挑戦~獲得

3)棋王戦で挑戦者決定トーナメント優勝~渡辺or藤井棋王に挑戦~獲得

上記のシナリオが考えられます。いづれもハードルは高いですが、羽生九段ご自身のレーティングで見ると、2022年3月時点の1741から2023年3月現在1847と約100も上げてきています。AIの活用がハマりつつあるのでは推測でき、今後トップ棋士の壁を破りタイトル獲得の可能性も十分あると思っています。

モチベーション高く今後も益々羽生九段に活躍して欲しいと願っています。

今回は、この辺りで失礼します。