香車は下段から

将棋のブログ。プロ棋戦、自戦記、戦型考察等々。

自戦記35 後手四間飛車

こんにちは

A級順位戦の8回戦一斉対局が行われましたね。結果は下表のとおりです。

第82期名人戦・順位戦 七番勝負/A級 (shogi.or.jp)

 

挑戦者も降級者も決まらず最終9回戦に持ち越しとなりました。面白い展開ですね。トップグループにいた豊島九段、菅井八段が揃って敗れ、逆に成績の振るわなかった広瀬九段・斎藤八段が意地を見せた形となりました。挑戦権は、豊島九段、永瀬九段、菅井八段に絞られましたが、直接対決の豊島菅井戦は大注目の対局ですね。一方の降級争いは佐藤九段、中村八段、広瀬九段、斎藤八段、稲葉八段、佐々木八段に黄色信号が灯っており、どうなるのか予想できませんね。ここでも直接対決の佐藤稲葉戦と斎藤佐々木戦は非常にアツいです。大大注目の最終局は2月29日に行われる予定です。

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さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で四間飛車を指してみました。以下後手番目線の局面図を示します。

 

初手から

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    

▲2五歩    △3三角 ▲4八銀    △4二飛    

▲6八玉    △3二銀    ▲7八玉    △6二玉

▲5八金右  △7二玉    ▲9六歩    △9四歩    

▲5六歩    △6二銀 - 図1

基本的に私は居飛車党なのですが、たまに気分転換的に振り飛車を指すことがあり、大抵四間飛車に構えることが多いです。三間飛車は職人的な感覚が必要なイメージで敷居が高いです。無難に駒組を進めていきましたが、普通の美濃囲いにはせず△6二銀(図1)と上がっていきました。居飛車党が指す振り飛車です。

 

図1から

▲3六歩    △4三銀    ▲6八銀    △7一金    

▲5七銀左  △3二金 ▲4六歩    △4一飛    

▲3七桂    △1四歩    ▲1六歩    △1二香 - 図2

お相手の方は▲3六歩から急戦調の作戦でこられました。これに対してこちらも急戦に備えて囲いは△7一金の一手で引き締めつつ△3ニ金と隙なく構えました。さらに△4一飛車と下段飛車にして、△1ニ香(図2)と角筋から逃がしておきました。ここまでしておけばいきなり潰さることはないかなとみていました。

 

図2から

▲2九飛    △8二玉    ▲4七銀    △7二金    

▲6八金上  △6四歩 ▲5五歩    △6三銀    

▲5六銀直  △7四歩    ▲4八金    △7三桂

▲8六歩    △8四歩    ▲6九玉    △5四歩 - 図3   

駒組が続きます。こちらは後手番の振り飛車なので基本的には待ちの姿勢でスキを作らないように心がけました。囲いもエルモ調の囲いから木村美濃へと組み替えましたが、お相手の方に▲5五歩と中央に位を取られました。徐々に駒組が飽和状態になりつつありましたが、▲6九玉と指されたところで△5四歩(図3)と仕掛けていきました。

 

図3から

▲同 歩    △同銀左 ▲5五歩    △6五銀 - 図4   

▲同 銀    △同 歩    ▲7八金    △5七歩 - 図5

中盤戦です。お相手の角頭に空間があったので隙ありとみて仕掛けていきました。▲5五歩と位を確保する一手にも銀を引かずに△6五銀とぶつけていきました。銀交換のあと先手は▲7八金と一手守りに手を入れる必要があり、こちらの仕掛けはまずまずかなと思っていましたが、次の一手は悩ましかったです。本譜△5七歩とぼんやり打ちましたがあまり良くなかったようです。先手玉頭に拠点をつくり、仮に▲同金とされたら△4八銀打で金桂両取りを狙った手でしたが、AI先生的には飛車の活用を図る△5一飛等を推奨されていました。

 

図5から

▲6八玉    △6六歩    ▲同 角    △6五銀    

▲8八角    △7六銀 ▲6六歩 - 図6   

△4五歩    ▲同 歩    △5五角    ▲5六歩    

△3七角成 ▲同 金    △7五桂    ▲9八銀 - 図7   

こちらが攻めていく展開となりましたが、大駒がそれほど働いていないのが気になるところです。△5七歩の垂れ歩に▲6八玉と上がられちょっと焦らされる展開です。△6六歩~△6五銀打と玉頭に嫌味をつけていきましたが、△6六歩(図6)と銀ばさみにハマってしまいますます焦らされました。攻め続けるしかなく△4五歩~△5五角と大駒を使っていき、▲5六歩に対しても△3七角成~△7五桂と攻めの継続を図りました。この瞬間こちらが大ピンチとなっていたようで、▲9八角打(図A)と銀取りに打たれていたら攻めが完全に切れていたようです。本譜の▲9八銀打(図7)も手堅い受けで、こちらの攻めが難しく大分苦しいと感じていました。

 

図7から

△3三桂    ▲4六銀    △4五桂 - 図8

▲4七金    △8七桂成  ▲同 金    △6七歩    

▲7八玉    △8七銀成 ▲同 銀    △5八歩成 - 図9 

▲6七玉    △6八金    ▲7七玉    △5七桂成

まで84手で後手の勝ち

苦戦を感じていましたが、図7の局面をAI先生は-後手有利と評価されていました。何とか攻めの継続を図るため、3三桂と遊び駒の活用を図りました。続いて▲4六銀~△4五桂と進みましたが、このやり取りはこちらが大分得したような気がしました。以下こちらが駒損となっていますが、△5八歩成とと金ができ攻めが繋がる展開となりました。自玉の木村美濃が無傷だったのも心強かったです。最後は△5七桂成と桂馬を捌きつつ味良く飛車の利きを先手陣に通した局面でお相手の方の投了となりました。

一局を通して、タイミングよく仕掛けることができたのですが、大駒の働いていない攻めで大分窮地に陥ってしまいました。▲9八角打ちとされるピンチを何とかスルーし、遊び駒だった左の桂馬を活用することで攻めを継続することができました。対抗形特有の横からの攻め合いではなく、縦の攻防となったあたりはいかにも居飛車党の指す振り飛車といったところですね。

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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