香車は下段から

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第73回NHK杯2回戦第15局 広瀬章人八段 対 中村太地八段

こんにちは

毎週日曜日の午前中に放送されているNHK杯テレビ将棋トーナメントも2回戦が進行しており、残すは来週放送される佐藤康光九段と増田康宏七段となりました。トーナメント表をみると、それほどの大番狂わせもなく実力者が勝ち上がっているようにみえます。そんな中Bブロックでも1回戦で横山泰明七段、2回戦で池永天志五段を破って堂々の3回戦に進出している古森悠太五段の活躍が光っています。これまであまり古森五段の将棋を目にする機会がなかったのですが、今回のNHK杯を見る限りセンスの良い振り飛車党といった印象を受けました。3回戦では天才肌の新A級棋士佐々木勇気八段と対戦されることとなっており、どんな将棋になるのか今から楽しみですね。

古森悠太|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

佐々木勇気|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

対局予定・結果 - NHK将棋 - NHK

 

さて今回は、先ほど放送されたNHK杯2回戦第15局を振り返りたいと思います。いずれもバリバリのA級棋士であり、且つ早稲田大学の先輩後輩にもあたる広瀬章人八段と中村太地八段の対戦となりました。解説も同大学の先輩にあたる丸山忠久九段が務められました。早速みていきましょう。

対局予定・結果 - NHK将棋 - NHK

広瀬章人|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

中村太地|棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)

 

初手から

▲2六歩    △3四歩    ▲7六歩    △8四歩    

▲2五歩    △8五歩 ▲7八金    △3二金    

▲2四歩    △同 歩    ▲同 飛    △8六歩

▲同 歩    △同 飛    ▲3四飛    △3三角    

▲3六飛 - 図1

両者はともにタイトル獲得の経験のある大棋士ですね。中村八段は幾度となく羽生王座に挑み、2017年第65期王座戦で羽生当時王座から初タイトルを奪取されました。一方の広瀬八段は、若手のころは振り飛車穴熊で勝ちまくり若くして王位のタイトルを取りました。また、近年では2018年第31竜王戦でタイトル通算100期のかかった当時羽生竜王を破り世間の期待を見事裏切ったことが記憶に新しいですね。現在居飛車本格派同士の本局は、中村八段の指向で横歩取りの将棋となりました。

 

図1から

△8四飛 ▲2六飛    △2二銀    ▲8七歩    

△6二玉    ▲5八玉 - 図2   △2三銀 

▲7七角    △7二銀    ▲6八銀    △9四歩    

▲9六歩    △1四歩 ▲1六歩    △5四飛    

▲3八銀 - 図3

序盤は穏やかな進行となりました。中村八段が△6ニ玉と玉を右側に進めたのに対して、広瀬八段は▲5八玉とオーソドックスに中住まいに構えました。以降じっくりとした駒組が進みましたが、中村八段が△5四飛と先手玉頭に飛車を振ってきました。攻めをみた手にみえましたが、5三の地点の利きを増やして玉を7一に移動する準備でもあるとの解説がありました。なるほどですね。

 

図3から

△7一玉    ▲7五歩    △8二玉 ▲8六歩    

△8三歩    ▲8五歩    △7七角成  ▲同 桂    

△3三桂 ▲2八歩 - 図4   △2四銀   

▲7九金    △2五銀    ▲5六飛 - 図5    

駒組が飽和状態になりつつあります。後手から角交換が行われ△3三桂と攻撃態勢を整えます。これに対する先手の▲8八歩打は渋い手ですね。飛車が移動したときの角打ちの事前に防いだ手なのでしょうか。以降後手が攻めの銀を繰り出し先手の飛車に圧をかけていきましたが、▲7九金と低く構えてから▲5六飛と飛車にぶつけていきました。

 

図5から

△同 飛 ▲同 歩    △4四角    ▲7四歩    

△同 歩    ▲4六角    △7三桂 ▲9五歩    

△同 歩    ▲7五歩    △7六飛 - 図6   

▲7四歩    △同 飛 ▲6五桂 - 図7   

飛車交換が行われ激しい中盤戦です。双方好位置に角を据えて攻め立てますが、玉を直接睨む先手の角の方が利いているようにみえます。しかし、後手も△7六飛打と攻防に放ち崩れません。それでも先手強引に▲6五桂と跳ね執拗に後手玉のコビンを攻め立てていきました。中村八段が広瀬八段の攻めを凌げるかといった展開になりました。

 

図7から

△6四歩    ▲7三桂成  △同 玉    ▲6六桂 - 図8    

△7五飛 ▲2一飛    △4五桂    ▲7四歩    

△6三玉    ▲4八玉    △2三歩 ▲4一飛成  

△3一歩    ▲3九玉 △5四歩 - 図9   

先手の攻めが続きます。7三の地点で桂馬が交換され、▲6六桂も後手の角の利きを防ぎながら飛車取りに当てる味の良い手です。以降▲2一飛と打ちおろし攻めの継続を図りますが、後手も香取りを受けながら攻めを狙う△4五桂や△2三歩~△3一歩と丁寧に受けて決め手を与えません。▲7九玉と自陣に手を入れるのを見て、広瀬八段が攻めあぐんでいるようにみえました。図9の△5四歩も先手からの▲5五角とぶつける手を未然に防ぐ渋い一着です。

 

図9から

▲7三歩成  △同 玉 ▲6一龍    △同 銀    

▲7四金    △同 飛    ▲同 桂    △7二銀

▲5一飛    △3四桂 - 図10   ▲9一飛成  

△4六桂    ▲同 歩    △8一金 ▲9五龍    

△7四玉    ▲4五歩    △6二角 - 図11   

先手は、▲7三歩成~▲6一龍としてから▲7四金として王手飛車をかけていきました。但し決定打とまではいかず、逆に2枚替えの変化のため後手もまだまだ戦えます。△3五桂(図10)と打ってようやく中村八段からも攻めに手が付きました。よく見ると先手の角の行き場がなくなっています。▲4五歩と桂馬を取りながら角取りに当てた手に対して飛車取りにしながら味良く△6ニ角と引いた局面は激戦にみえました。既に終盤戦です。

 

図11から

▲8四歩    △同 角 ▲同 龍    △同 歩    

▲4一角    △6三角    ▲7八香    △7五歩

▲6六桂    △7三玉    ▲7五香 - 図12   

△6二玉    ▲7二香成  △同 金 ▲6三角成  

△同 玉    ▲8一角    △4六香    ▲7三歩    

△5二玉 - 図13

図11の局面は、AI先生の評価は+523先手有利となっていました。先手の飛車と後手の角が交換となり、手番を得た広瀬八段が厳しく攻め立てます。持駒に角桂桂香歩歩がありかなりの迫力です。中村八段も一瞬のスキを突いて△4六香と反撃の布石を残しますが、広瀬八段の▲7三歩が刺さります。止む無く金を見捨てて△5ニ玉と早逃げをして反撃の機会をうかがいます。

 

図13から

▲7二角成  △2六桂    ▲4八銀    △3八桂成  

▲同 玉    △4八香成 ▲同 金    △4六銀 - 図14   

▲3九桂    △4二玉    ▲5四馬    △5三銀

▲6三馬    △5二歩    ▲5八桂 - 図15   

後手は金をぼろっと取られましたが手番を得て△2六桂打から反撃していきました。先手の金銀を剥がしてから△4六銀打として先手玉にプレッシャーをかけます。一旦▲3九桂打と一手入れてから▲5四馬と後手玉に迫りましたが、後手△5三銀打~△5ニ歩打として大分囲いがしっかりしました。これを見て広瀬八段は、▲5八桂打(図15)と後手の攻め駒を責め自玉の安全を確保する方針に切り替えました。激戦です。

 

図15から

△3五銀    ▲2七香    △3四銀 ▲4七桂    

△7八歩 - 図16   ▲6九金    △8九飛    

▲5九金    △8六角 ▲3五桂    △同 銀    

▲3四金    △6八角成  ▲同 金    

△3九飛打 ▲4七玉    △3六銀打

まで146手で後手の勝ち

広瀬八段は、▲2七香~▲4七桂と執拗に後手の攻め駒を責めていきましたが、中村八段も鋭く△7八歩と手裏剣を放っていきました。盤面がよく見えていますね。以降も△8九飛~△8六角と要所に大駒を据えて一発を狙っていきます。先手としては嫌な流れでした。時間切迫の中▲3五桂~▲3四金打とした手順が良くなかったようで、中村八段がズバッと△6八角成と角を切り放ちました。3五の銀にもヒモがついた味の良い一手でした。広瀬八段止む無く△同金としましたが、中村八段は読み切っており△3九飛打から見事に先手玉を即詰みに打ち取りました。

一局を通して、飛車交換からあっという間に終盤戦となりましたが、そこからが長い将棋でした。途中広瀬八段がかなり押していた時間が長かったのですが、中村八段も要所で反撃の種を残しつつきわどく凌ぎました。最後も切れ味鋭く寄せ切った中村八段が素晴らしかったです。

↑↑↑水匠5での解析結果↑↑↑ 141手目▲3四金で形勢逆転

 

今回は、この辺りで失礼します。

 

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