こんにちは
藤井聡太七冠誕生のニュースで沸いている中、最後のタイトル王座への挑戦権をかけた挑決トーナメントが進んでいますね。現代将棋界トップ棋士の一人の豊島九段が若手実力者の本田五段を破りベスト8最後の切符を手にされました。この一戦でちょっと話題となったのは、豊島九段の用いた”三間飛車”戦法です。戦法自体は古くからありますが、居飛車本格派でAI研究先駆者の豊島九段が、飛車を振った瞬間評価値が3%程度下がると言われている振り飛車を採用したという事実にざわついています。相居飛車の将棋に行き詰まりを感じているのか、先の叡王戦で藤井叡王に対してかなり健闘された菅井八段の三間飛車に影響を受けたのか興味深いですね。本田五段との一戦では、どの程度まで研究範囲なのかは未知ですが、内容的にかなりの圧勝だっただけに今後の豊島九段の戦法選択に注目です。
え、昨日をもって、将棋界は新世界に突入きたのでしょうか…??#ShogiLive #第71期王座戦挑戦者決定トーナメント #豊島本田 #3手 pic.twitter.com/70h6R7ge50
— たややん⚖🔮将棋AI水匠(電竜) (@tayayan_ts) 2023年6月2日
さて今回は、以前行った阪田流向かい飛車+筋違い角への対策をさらに考察していこうと思います。
局面を28手目まで戻します。序盤の駒組を進めている場面です。前回は、ここでエルモ囲い調に△7一金と引き締めましたが、4一および5ニの地点に角打ちの隙が生じていました。そこで、△7一金に代えて△5一金とする手が考えられると思います。通常の美濃囲いが一路動いたような形で、角打ちの隙が無くバランス系の囲いに見えます。
図7から
▲5六歩 △2四歩 ▲同 歩 △2七歩
▲同 飛 △2四金 - 図8
先手は▲5六歩と囲いを盛り上げつつ後手の角にプレッシャーをかけます。この後▲6七金まで指せれば好形となります。一方の後手は、囲いがすでに完成しているので、ここで△2四歩と戦いを起こすのは妥当なところかと思います。▲2四同歩に対して、一発△2七歩打とするのは手筋で、先手の飛車の利きを悪くする、後手の角筋に先手の飛車を入れて技をかけやすくする等の効果があります。かといって飛車を逃げれば2筋の制空権を後手に奪われてしまうため、先手怖くても▲2七同飛とする一手かと思います。
図8から
▲4六角 △3五歩 ▲同 角 △2五歩
▲4六角 △3四金 - 図9
中盤の攻防です。後手の棒金に対して、先手▲4六角として2筋からの後手の攻めをけん制するとともに▲7四歩打と後手玉頭を攻める手も狙います。これに対して後手も△3五歩、▲3五同角(▲3五同歩は△2七角成で先手の飛車を取られる)として先手の角筋をずらしてから△2五歩として2筋に拠点を残します(△3五同金は▲2二飛成で後手の飛車が取られる)。ここら辺は、大駒の利きを活かした攻防が続きます。
図9から
▲7四歩 △4五金 ▲7三歩成 △同 銀
▲2三歩 △同 飛 ▲2四歩 - 図10
2筋での折衝が一段落して、先手は▲7四歩打として4六角を使って後手の玉頭を攻めます。序盤で7筋の歩を後手に取られたことを逆手に取った攻めです。そこで後手は、先手の攻めで働いている根元の角を責めるべく△4五金とします。一旦王手で▲7三歩成として後手の形を乱してから、角取りになっているギリギリのタイミングで後手の飛車先を歩で止めます。
図11から
△2二飛 ▲7三角成 △同 桂 ▲2三銀
△7七歩 - 図12
後手一旦△2二飛と逃げますが、先手思い切って▲7三角成~▲2三銀打として後手玉を弱くして且つ後手の飛車を召し取ります。ここで後手も一発△7七歩打と先手の囲いの急所を突いてきます。この歩をどの駒で取っても味が悪い感じです。
図11から
▲同 金 △2三飛 ▲同歩成 △5六金
▲2五飛 △7六歩 ▲6七金寄 △同 金
▲同 金 △3四角 ▲7四歩 - 図12
後手飛車と先手の銀を刺し違えた後、4五で遊び気味の金を△5六金~△6七金と何とか捌きますが、ちょっと遅い感じです。△3四角打として厳しい飛車金両取りをかけますが、先手からの▲7四歩打がそれ以上に厳しい一手です。この局面をAI先生は+1,760先手勝勢と評価されています。この後は一例として△6七角成と迫ったとしても、▲7三歩成~▲7五飛として後手玉は寄り筋になります。
ここで一区切りとしたいと思います。後手側が囲いに隙を無くしてから狙いの棒金で先手陣突破を図りましたが、▲4六角打ちで後手の攻めを受け止めつつ後手玉頭を攻める展開にすることができました。
今回は、この辺りで失礼します。
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