こんにちは
先日来期NHK杯出場をかけた女流出場者決定戦で里見女流五冠が勝利して見事本戦トーナメント入りしましたね。決勝の相手はライバルの西山女流三冠でしたが、正確な差し回しで完勝されていました。第73回本戦トーナメントの組合せも発表され、日曜日の都成竜馬七段対増田康宏七段戦からいよいよ開幕です。
今回は、横歩取り竹部流への対策をAI先生に教わろうと思います。先日ネット将棋で遭遇して対応に苦慮したのがきっかけです。ちなみにその時の棋譜は以下の通りで、後手番がわたしです。
参考棋譜 初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △3四歩
▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三角
▲同飛成 △同 桂 ▲7七角打 △8八飛成
▲同 角 △2七飛 ▲2八飛 △5四角
▲2七飛 △同角成 ▲2一飛 △4九馬
▲同 玉 △4五桂 ▲6八金 △6二玉
▲1一角成 △2二歩 ▲5九香 △2六飛
▲2八歩 △3六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲1八角 △3九飛成 ▲同 玉 △3七銀
▲3八歩 △4八金 まで後手の勝ち
最後はお相手の方が恐らく勘違いされ急転直下の結果になっています。AI先生の評価では24手目△5四角打、36手目△2六飛打を悪手判定されていました。以下、正しい対応について調べていきます。竹部流は先手番の作戦なので、以下後手番目線の局面図を示します。
初手から
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △3四歩
▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △3三角 - 図1
横歩取り3三角戦法の出だしですが、ここから先手が突然強襲を仕掛けます。
図1から
▲同飛成 △同 桂 ▲7七角打 △8八飛成
▲同 銀 - 図2
飛車角交換から▲7七角打ちとするのがいわゆる竹部流だと思っています。飛車を逃げると▲3三角成 △同金 ▲同角成で先手2枚替えの駒得を果たし先手優勢になるので、△8八角成とします。これに対してAI先生は▲同銀を推奨されていますが、▲同角として7八の金に7九銀のひもを付けておく指し方もあると思います。
図2から
△2七飛 - 図3
手番を得た後手は▲2一飛を防ぎつつ龍作りを狙って△2七飛打ちは妥当な指し手だと思います。ここで、先手の対応としてA)2八歩とB)2八飛の2通りが考えられます。
図3から A) ▲2八歩
△2四飛成 ▲9六歩 △5二玉 ▲5八玉
△1四歩 ▲9五歩 △1五歩
▲2八歩に対して龍の引き場所がいろいろありますが、△2四龍は無難な手に感じます。以降はAI先生ご推奨の手順ですが互いに端を狙っていく将棋になりそうです。図4の局面をAI先生は-288互角と評価されています。
図3から A) ▲2八歩
△2五飛成 ▲3八金 △5二玉 ▲9六歩
△7四歩 ▲6六角 △4二銀 ▲6八玉
△8二銀 ▲4八銀 △7一金 ▲5八玉
△6四角 ▲4六歩 △同 角 ▲4七銀
△6四角 ▲4六歩 - 図5
▲2八歩に対して龍の効きを最大限に通す意味で△2五飛成も考えられると思います。以降AI先生ご推奨の手順ですが、△6四角打から一歩奪うことができた局面をAI先生は-218互角と評価されています。
以上▲2八歩以降は、後手の龍の効きが素晴らしいのですが、それほど評価値に差は無く以降中終盤の腕力勝負になりそうです。
図3から B) ▲2八飛
△同飛成 ▲同 銀 △6二玉 ▲2一飛
△4五桂 ▲6八玉 △2二角 ▲同角成
△同 銀 ▲4一飛成 △3一銀 ▲3六角
△5一金 ▲同 龍 △同 玉 ▲4五角 - 図6
▲2八飛打以降は単純に△同飛成から一旦△6ニ玉として、▲2一飛打に対する△4五桂は▲3三角成~▲3一飛成を防ぎつつ先手玉頭に狙いをつける感じの良い手ですね。以降AI先生ご推奨の手順で進めて、後手は飛車を捕獲し先手は桂馬を奪った局面は金桂と飛車の交換となっており、AI先生は-372後手有利と評価されています。
図3から B) ▲2八飛
△2六歩 ▲3八金 △2八飛成 ▲同 銀
△2七角 ▲3九金 △5四角成 ▲2一飛
△4四歩 ▲3六歩 △6二玉 ▲2六飛成
△7六馬 ▲3五歩 △4三馬 - 図7
▲2八飛に対しては△2六歩も考えられると思います。以降AI先生ご推奨の手順で、先手は龍を自陣に引き付け、後手は馬を引き付けた局面をAI先生は-412後手有利と評価されています。
以上対横歩取り竹部流への対応を中盤の途中まで調べてみましたが、若干後手が指しやすそうな局面が多いですが評価値の差はそれほどありませんでした。互いに龍、馬を自陣に引き付けて長期戦になることが予想されますね。
今回は、この辺りで失礼します。